医療ニュース

2013年8月3日 土曜日

2008年2月19日(火) 不眠不休は脳にダメージ

 ラットをほとんど眠らせないで5日間活動させると、脳内の下垂体(ホルモン分泌を司る部位)の細胞の一部が死滅することが、大阪市立大学の研究であきらかとなりました。(報道は2月18日の共同通信)

 これは、強いストレスが過剰なホルモン分泌につながり、その結果細胞が働きすぎて死滅すると考えられるそうです。研究者らは、「人間にも同じホルモン分泌細胞がある」と指摘し、「徹夜勤務が続くなど過労が原因で起きる病気に関係しているかもしれない」とコメントしています。

 しかし、ストレスを加えたラットを2,3日休ませると、分泌細胞は元通りに再生するようです。研究者らは、「早めに休み、疲れを溜め込まないことが大切」としています。

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 私が就職活動をしていた1990年当時、「24時間働けますか」という言葉が流行語になっていました。あの頃は不眠不休で働くのが当たり前のような時代でしたが、その後バブル経済の崩壊と共に、「ゆとり」や「癒し」といった言葉が流行るようになりました。

 この研究からも分かるように、適度な休息をないがしろにしていると、身体を痛めることになりますし、仕事の効率も落ちるでしょう。

 「24時間働けますか」と問われていたあの頃よりも、勤務時間が長い今の私もやがて破綻してしまうのでしょうか・・・

(谷口恭)

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2013年8月3日 土曜日

2008年2月25日(月) 出生数が再び減少

 2月20日に厚生労働省が発表した人口動態統計の報告によりますと、2007年の年間の出産数は、前年比1,341人減の1,120,937人であることが分かりました。

 2006年には出生数が6年ぶりに増加しましたが、再び減少したことになります。

 合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子供の人数の推計値)は、2006年の1.32から1.33程度に回復する可能性が高いようですが、これは、子供を産む年齢層の女性人口が減っているからです。

 死亡数は、前年比24,099人増の1,119,492人で、出生数から死亡数を引いた「自然増加」は、1,445人となります。

 婚姻件数は、前年比10,890組減の737,127組で、5年ぶりに増加した前年から減少に転じています。離婚件数は、前年比2,475組減の258,876組で、5年連続減少しています。

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 国が人口を維持するには、合計特殊出生率が2.1程度必要だと言われていますから、この統計をみても、日本は確実に人口減少の一途をたどっています。

 婚姻数に占める離婚件数の割合が35%を超えているのも驚きです。単純に考えれば、3組に1組以上が離婚する計算になってしまいます。

(谷口恭)

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2013年8月3日 土曜日

2008年2月25日(月) 禁煙すれば緑茶が胃癌の予防に

 緑茶をよく飲む女性は胃癌のリスクが3分の1に減少する・・・

 厚生労働省の研究班が、2月22日、このような報告をおこないました。(報道は2月22日の共同通信)

 この理由は緑茶のシブみ成分のポリフェノールにあるようです。今回の研究は、ポリフェノールの血中濃度を測定することによっておこなわれています。

 喫煙との関係をみると、「ポリフェノールの血中濃度が高い非喫煙者は胃癌の危険性が低いが、血中濃度が高い喫煙者は逆に危険性が上がる」という結果がでています。

 この調査は、岩手、秋田、大阪など9府県の40から69歳の男女約37,000人が対象となり平均12年の追跡がおこなわれています。この期間に胃癌になった人494人と、ならなかった人の血液を分析することによって研究がおこなわれました。
 
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 喫煙との関係を別の言葉で現すと、「タバコを吸っていれば、たとえ緑茶をたくさん飲んでポリフェノールを積極的に摂取しても胃癌になりやすい」ということになってしまいます。

 禁煙を考えている人は動機付けになりませんか?

(谷口恭)

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2013年8月3日 土曜日

2008年2月25日(月) アメリカで日本人がはしかの感染源

 米国CDC(疾病管理局)は、2月21日、昨年(2007年)夏にスポーツの国際大会で訪米した日本人の少年が感染源となって、米国内で日本人1人を含む合計6人がはしか(麻疹)を発症したことを発表しました。(報道は2月22日の共同通信)

 CDCによりますと、2007年8月に米国東部で開かれた大会に、日本から12歳の少年が参加し、米国滞在中にはしかを発症し隔離されています。日本に住むこの少年の兄弟もはしかの症状を発症していたそうです。

 国際大会では、主催者が海外参加者に対し、はしかの予防注射の証明書を提示させることを検討すべきだとしています。通常、日本以外の国では、はしかの予防注射が徹底していますから、近年の発生はほとんどありません。

 米国の保健関係者は「日本ははしかを輸出している」とこれまでも度々非難してきています。

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 海外ではしかを発症し、現地の人に感染させて隔離される・・・

 この少年に罪はないでしょうが、はしかのワクチン接種がきちんとされていない日本の公衆衛生は非難されてもしかたがありません。

 はしかだけではありません。B型肝炎ウイルスやインフルエンザのワクチン接種も日本は極めて低いのです。

 日本で先進国なみにワクチンが普及するのはいったいいつになるのでしょうか・・・

 参考までに、WHOは昨年、韓国がはしかの排除に成功したことを発表しています。

(谷口恭)

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2013年8月3日 土曜日

2008年2月29日(金) はしか感染者が2200人に

 昨年に引き続き、今年もはしか(麻疹)が大流行しそうであるというニュース(「はしか(麻疹)が今年も大流行の兆し」)をお伝えしたばかりですが、すでに今年の感染者が2,200人にのぼることがわかりました。(報道は日経新聞2008年2月27日)

 国立感染症研究所は、「現状のままでは3月から4月にかけて流行がさらに拡大する可能性が高い」として、ワクチン接種をよびかけています。

 感染者を地域別にみると、神奈川がトップで、以下、福岡、北海道、東京、秋田と続いています。また大阪と兵庫県でも感染者の報告が上昇しています。

 感染者の約半数はワクチン接種をしていなかったそうです。

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 ということは、感染者の半数はワクチン接種をしていたということです。

 ワクチン接種をした後は、抗体ができているかどうかを確認する必要があります。

 昨年は、はしかが大流行した季節には、抗体検査の需要が増えすぎて結果が出るまでにかなり時間がかかりました。また、ワクチンが不足して必要な人に接種することができませんでした。

 気になる人は、まだ大流行にいたっていない今のうちに、抗体検査(+ワクチン接種)をおこないましょう。

(谷口恭)

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2013年8月3日 土曜日

2008年2月29日(金) 韓国では出生率が2年連続上昇

 過酷な受験戦争、引きこもりやニートの急増、自殺率の増加、・・・、など、最近の韓国の社会ニュースにはあまり明るい話題がありませんでしたが、2年連続で出生率が上昇していることが明らかとなりました。

 2月26日に韓国統計庁が発表した報告によりますと、2007年の合計特殊出生率は1.26となり2年連続で上昇していることになります。(報道は2008年2月27日の日経新聞)

 韓国では2005年に合計特殊出生率が過去最低の1.08にまで落ち込みましたが、2006年は1.13と3年ぶりに上昇しました。2007年は出生数が約497,000と前年より約45,000人増加しています。

 ただ、2007年に子供が増えたことの理由として、「韓国では2007年は生まれた子供が金運に恵まれるといわれる”黄金豚年”にあたり、縁起担ぎの出産が増えたため」、との指摘もあり、今後再び減少していくという悲観的な見方もあるようです。

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 韓国とは逆に、日本では2007年の出生数が減少したというニュースを報告したばかりです。(「出生数が再び減少」2008年2月25日)

 ただ、日本は減ったといっても合計特殊出生率は1.3以上あり(ただしこれでもかなり少ないですが・・・)、少子化が急速に進行しているのは韓国のようです。

 ところで、自殺率が高い国といえば、先進国では日本が長い間首位でしたが(日本より上位にくるのは旧ソ連がほとんど)、2007年は韓国が日本を追い抜いたのではないかとの報道が一部にあります。

(谷口恭)

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2008年2月29日(金) 相次ぐ違法健康食品

 2月27日の毎日新聞によりますと、EDに効果があると謳われている健康食品「うたまろ」からバイアグラに似た医薬品成分が検出され、薬事法違反に当たることから販売先の確認と商品の回収がおこなわれる見込みです。

 また、2月27日の共同通信によりますと、健康食品「スカイフルーツ」から、やはりバイアグラに似た成分が検出され、薬事法違反に相当することが判りました。

 「うたまろ」、「スカイフルーツ」は、インターネットや健康食品の販売店などで、それぞれ1箱3,160円、9,450円で販売されているそうです。

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 バイアグラをはじめとするED改善薬はすてらめいとクリニックでも扱っていますが、副作用が少なくありませんし、他の薬との飲み合わせにも注意が必要ですし、必ず医師の指導の元で服用しなければならない薬品です。

 個人の判断で安易に服用するのは極めて危険ですが、健康食品にも同様の注意が必要です。

(谷口恭)

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2013年8月3日 土曜日

2008年3月3日(月) お酒は憂さ晴らしに逆効果?!

 イヤなことを思い出した直後にアルコールを摂取すると、かえってその記憶が強められる・・・

 ラットを用いた実験で、このような結果がでたことを、東京大学の研究班が「Neuropsychopharmacology」という医学誌に発表し話題を呼んでいます。(報道は2月29日の日経新聞)

 かごに入れたラットに電気ショックを与え、恐怖を学習させると、かごに入れただけで身をすくめて固まるようになります。研究班は、いったん固まった直後のラットに飲酒相当のアルコールを注射しました。

 その結果、注射しないラットと比べると、かごの中で固まり続ける時間が長くなったそうです。その効果は2週間続き、記憶が強くなったと判断されています。

 これを人の場合にあてはめると、イヤなことを忘れようとお酒を飲んで一時的に楽しくなったとしても、翌日には楽しいことを忘れ、イヤな記憶が強く残ることを示していると考えられるそうです。

 研究者らは、「酒を飲まずに、イヤな記憶に楽しい記憶を上書きしてしまうのが良いのでは」と、”しらふの気分転換”を推奨しています。

 アルコールは、記憶力を低下させるのは事実ですが、それは覚える段階だけであり、いったん覚えたものを思い出して記憶に固定していく段階では、逆に記憶を強める効果があるのかもしれません。

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 「アルコールが記憶を強める」というのは本当なのでしょうか。勉強に関する書籍を出版している私としては大変気になるところです・・・

(谷口恭)

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2008年3月3日(月) 米国のインフルエンザ予防接種、18歳まで義務化の見込み

CDC(米国疾病管理局)の予防接種諮問委員会は、2月27日、生後6ヶ月から18歳までのすべての子供にインフルエンザの予防接種を毎年受けさせるべきとの勧告を可決しました。(報道は2月28日の共同通信)

 現行では、6ヶ月から5歳未満の子供と50歳以上が対象ですが、5歳以上の子供も毎年数十人が死亡している事実を受け、18歳まで拡大するのが適切と考えられました。実施後は、全米で約3千万人が新たな対象となります。

 CDCによりますと、全米で毎年人口の5-20%がインフルエンザにかかり、約3万6千人が死亡しています。死亡者のほとんどは高齢者ですが、今季は22人の子供が既に死亡しているそうです。

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 日本の行政はこのような勧告をおこないませんから、ワクチンの重要性は個人が認識するしかありません。タミフル耐性のインフルエンザの報告もみられるようになりましたし、今一度ワクチンの重要性を再考すべきでしょう。

(谷口恭)

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2013年8月3日 土曜日

2008年3月5日(水) オランダ、喫煙者は年金割り増し!

 喫煙者は年金支払額が割り増しになる!

 これは、2月29日にオランダのある民間基金が発表した方針です。喫煙者は平均余命が短いのだから年金支払額が割り増しされるべき、というのが同基金の考え方のようです。(報道は3月3日の共同通信)

 愛煙家の団体は、「喫煙者の権利擁護へ向けた一歩」と歓迎しているそうです。

 報道によりますと、割り増し受給ができるのは、①過去5年間、毎日紙巻きタバコを10本以上吸っていること、②1ヶ月以上、禁煙が続いたことがない、といった条件を満たす年金加入者で、尿検査によって喫煙者であることを証明する必要があります。

 同基金では、喫煙者は非喫煙者に比べて最大16%高い年金が支払われるそうです。

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 本当に驚かされるニュースです。

 正論で考えれば、喫煙者の受給額を上げるのではなく、非喫煙者の掛け金を下げるべきでしょう。

 喫煙者にとって、この年金基金はかなり魅力的です。おそらく喫煙者の多くがこの年金を選択するでしょう。同時にその割をくらう非喫煙者はこの年金を敬遠するでしょう。それでも民間基金として経営が成り立つのは、オランダではそれだけスモーカーが多いからでしょう。

(谷口恭)

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