医療ニュース

2018年1月26日 金曜日

2018年1月26日 単身者は犬を飼えば長生き 雑種より猟犬が良い?

 動物療法(動物介在療法、ぺット療法、アニマルセラピーなどとも呼ばれる)が心身の健康に良いということが指摘されています。エビデンス(科学的確証)が充分ではなく、すべての医療者が推薦しているわけではありませんが、私の経験からいっても、犬を飼いだしてから笑顔が戻った引きこもりの若者や、パートナーをなくしてふさぎ込んでいたところ犬と一緒に暮らしだして元気になった高齢者などを何人かみていますから、「犬を飼おうと思っているんですけど…」と相談されたときは積極的に推薦するようにしています。

 では、果たして犬を飼うことは本当に健康によいのでしょうか。結論から言えばよさそうです。科学誌『Scientific Reports』2017年11月17日号(オンライン版)に興味深い論文(注1)が掲載されています。

 この研究はスウェーデンのものです。データベースに登録されている合計3,432,153人(男性が48%、中間年齢57歳)が研究対象です。犬を飼っているのは全体の13.1%で調査期間は12年間です。

 犬の飼育は単身者と家族のいる人とで分けて分析されています。犬を飼育していると、死亡リスクは家族のいる人で11%低下、単身者だと33%低下しています。心血管系疾患の死亡リスクでみると、家族のいる人で15%、単身者は36%も低下しています。

 この研究では犬の種類ごとの検討もおこなわれています。結果は下記に示した通りです(ただしこの和訳に自信がないので関心のある人はhttps://www.nature.com/articles/s41598-017-16118-6/tables/3を参照してください。また、ジャパン・ケネル・クラブのサイトではこれと同じ順番で犬の種類が紹介されています)

                               心血管系疾患のリスク   全死亡のリスク
牧羊犬                    1.02           0.84
ピンシャー、シュナウザー        0.97           0.78
テリア                    0.95            0.81
ダックスフンド               0.94            0.76
スピッツ類                  0.98            0.72
セント(嗅覚)ハウンド          0.93           0.63
ポインター                 0.90            0.60
レトリバー                  0.90           0.74
トイドッグ                  1.04            0.85
サイト(視覚)ハウンド          1.02            0.83
雑種                     1.13            0.98

 興味深いことに、猟犬タイプ(ポインター、レトリバー、ハウンドなど)は心血管系疾患のリスクも全死亡のリスクも低くなっている一方で、雑種やトイドッグはさほどリスク低下が認められません。特に雑種は、心血管系疾患のリスクが逆に13%増加しています(全死亡のリスクは2%の低下)。

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 そのままこのデータを信用するなら、雑種でなく猟犬を飼おうとなるかもしれませんが、実際には品種にこだわらずに一緒にいて落ち着けるタイプの犬がいいのではないか、というのが私の考えです。私の家では、私が小さい頃に犬を何度か飼ったことがありますが、すべて雑種でした。一流の血統の犬を飼っている友達もいましたが、私は私の家の犬が一番かわいいと思っていました。

注1:この論文のタイトルは「Dog ownership and the risk of cardiovascular disease and death – a nationwide cohort study」です。下記URLで全文を読むことができます。

https://www.nature.com/articles/s41598-017-16118-6

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2018年1月11日 木曜日

2018年1月12日 高学歴はアルツハイマーのリスクを下げるが喫煙も?

 アルツハイマーのリスクを上げる要因、下げる要因については世界中で様々な研究がおこなわれています。今回紹介したいのはスウェーデンでおこなわれた大規模調査で、医学誌『British Medical Journal』2017年12月7日号(オンライン版)に掲載されたものです(注1)。

 調査は、ヨーロッパのアルツハイマー病の患者17,008例と対照37,154例を比較検討することによっておこなわれています。

 結果は、大学を卒業していればアルツハイマー病の発症を26%低減させるというものです。学歴以外の興味深い結果としては、喫煙(1日10本)で31%のリスク低下(!)、コーヒー(1日1杯)は26%のリスク上昇(!)です。

 アルコール摂取、葉酸、ビタミンB12、血糖値、血圧、脂質などには関連性は認められなかったようです。

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 論文の著者は「高学歴がアルツハイマーのリスクを下げる」ということを最も強調したいようですが、それよりも喫煙がリスクを下げて、コーヒーが逆に上げるということの方が気になります。従来から言われていることと逆になるからです。

 学歴にしてもヨーロッパと日本では事情が異なるでしょうし、大学にも様々なところがありますし、さらに私個人の見解を述べれば、大学卒業後もどれだけ勤勉な態度を維持しているかの方が重要だと思います。

 今回の結果を鵜呑みにするのではなく(特にタバコ!)、従来から言われているように生活習慣病に気を付けて、規則正しい生活をおこなうべきだと私は思います。この論文を読んで喫煙を開始することなどあってはなりません。

注1:この論文のタイトルは「Modifiable pathways in Alzheimer’s disease: Mendelian randomisation analysis」で、下記のURLで全文を読むことができます。

http://www.bmj.com/content/359/bmj.j5375

参考:
メディカルエッセイ第179回(2017年12月)「これから普及する次世代検査」
はやりの病気第131回(2014年7月)「認知症について最近わかってきたこと」
医療ニュース
2017年10月10日「認知症になりにくい性格とは?」
2017年4月7日「血圧低下は認知症のリスク」
2017年10月25日「認知症の治療にイチョウの葉は有効か無効か」

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2018年1月11日 木曜日

2018年1月11日 バイアグラ過剰摂取で全裸の男が空港で逮捕

 バイアグラが効きにくくなってきたとの理由から自己判断で過剰摂取する人がときどきいますが、それをすると世界中に恥をさらすことになるかもしれません。

 2018年1月4日、タイのプーケットから韓国のインチョン行きのフライトに搭乗予定の韓国系アメリカ人の男性が、プーケット空港で全裸になり、なんと自分の糞便を周囲に投げつけ、危険回避のために逮捕されました。世界中のメディアが写真やビデオ付きで報じています。(なぜか日本のメディアは取り上げていないようですが)

 この男性は平静を取り戻した後、自分の罪を認め、損害賠償にも応じると話しているそうです。当然のことながら、韓国行きのフライトには搭乗できず地元の警察に連行されました。

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 突然空港で見知らぬ男性が全裸になり糞便を投げつけてくれば恐怖を覚えますから、この男性が罪に問われるのは無理もありません。ですが、実名を晒され、画像が世界中に拡散されるのは問題ではないでしょうか。もはやこの男性が「社会復帰」するのは困難でしょう。(私自身は、名前や画像が広がることを疑問視していますので、ここではこのニュースの出所は書かないでおきます。検索すれば簡単に見つかりますが…)

 それにしても怖いのはバイアグラです。これからの取り調べで別の薬物が出てくる可能性もあるでしょうし、理論的にバイアグラが原因でこのような行動をとったとは考えにくいのですが、バイアグラを過剰摂取したのは事実のようです。

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