医療ニュース

2026年6月25日 肌に優しい紫外線吸収剤

 この医療ニュースは、メルマガ「谷口恭の『その質問にホンネで答えます』」に掲載したところ、読者からの反応が予想以上に大きかったテーマです。
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 紫外線対策についての質問はコンスタントに寄せられます。「飲む日焼け止め」はやめておくべきであることは、すでに2014年の医療ニュース「日焼け止めサプリに要注意!」で述べました。

 また、日焼け止め(=サンスクリーン、ここではより一般的な表現である「日焼け止め」で通します)には、その有害性から海外では使用が禁止されているものが少なくない話は2023年の医療ニュース「日焼け止めを使ってはいけない7つの地域」で取り上げました。今回は、そのときに述べた注意点で重要な点を繰り返し、新たに「肌に優しい紫外線吸収剤」を紹介します。

 日焼け止めの成分には紫外線散乱剤と紫外線吸収剤の2種に分けられることは過去に述べた通りで、紫外線吸収剤をさらに2つに分類すると次のようになります(細かく分類するのは困難であり、下記はわかりやすくまとめたものです。尚、かっこのなかは「化粧品表示名」です)。

●紫外線散乱剤 = 酸化亜鉛と酸化チタン

●紫外線吸収剤で海外でも使用できるもの(マウイ島、パラオ、メキシコのエコツーリズム保護区を除く)
・Bemotrizinol(ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)

●紫外線吸収剤で海外で禁止されているもの(国によって異なる)
・Octinoxate(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)
・Oxybenzone(オキシベンゾン-9)
・Octocrylene(オクトクリレン)
・PABA(パラアミノ安息香酸)(パラアミノ安息香酸)
・Homosalate(ホモサレート)
・Ensulizole / Phenylbenzimidazole Sulfonic Acid(フェニルベンズイミダゾールスルホン酸)
・Avobenzone / Butyl Methoxydibenzoylmethane(t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン)
・Octyl Triazone / Ethylhexyl Triazone(エチルヘキシルトリアゾン)
・BEMT / Tinosorb S(ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)
・MBBT / Tinosorb M(メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)
・4-Methylbenzylidene Camphor / 4-MBC(メチルベンジリデンカンファー)
・3-Benzylidene Camphor(3-ベンジリデンカンファー)
・Octisalate(サリチル酸エチルヘキシル)

○紫外線吸収ではないがパラオで禁止されている成分(防腐剤)

・メチルパラベン / ブチルパラベン / エチルパラベン / イソブチルパラベン(パラベン類全般)
・フェノキシエタノール(日本でも非常によく使われる防腐剤)
・トリクロサン

(注意:ブチルパラベンはタイでも禁止)
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 このように、世界どこに行っても使用できる紫外線吸収剤はなく、後述するように米国が安全性を認めたBemotrizinolでさえも使用が禁止されている地域があります。

 ではどうすればいいか。一番いいのは紫外線散乱剤(酸化亜鉛and/or酸化チタン)だけでできている日焼け止めを使うことです。商品名でいえば、ノブの「UV EX」、ミノンの「UVマイルドミルク」が有名です。しかし、紫外線散乱剤だけでできている日焼け止めは塗りにくくて、べたついて皮膚が白くなります。特に肌の黒い人が塗ると、まるでふざけて歌舞伎のメイクをしたような感じになることもあります。

 一方、紫外線吸収剤でできている日焼け止めは塗りやすくて、肌にすっと馴染んで色もよく、国内だけで使用するならば問題は(あまり)ありません。問題があるとすれば海で使うときで、成分によっては珊瑚に有害なことがあります。海外で制限されているのはそれが理由です。

 紫外線吸収剤はBemotrizinolだけでできている日焼け止めがあれば理想といえそうですが、残念ながら私が探した範囲でいえばそういう製品は見つかりませんでした。

 ここで、なぜBemotrizinolが安全なのかをみていきましょう。2026年6月9日、米国FDAはBemotrizinolを「GRASE」として承認しました。「GRASE」とは「Generally Recognized As Safe and Effective」の略語で、「安全性と有効性が認められた物質」のことを指します。

 Bemotrizinolは紫外線吸収剤でありながら、安全性が高く、その理由は分子量が大きいことにあります。分子量が大きいために皮下に吸収されにくいのです。さらに光があたっても分解されにくく、UVA・UVBの双方を長時間強力にブロックすることができます。

 理論上、海外で日焼け止めを使うなら「Bemotrizinol+海外で禁止されていない紫外線吸収剤」を選べばいい、ということになりますが、世界中のどこに行っても承認されている製品はみあたりません。つまり、結局は国ごとに対策しなければなりません。2023年の「医療ニュース」で紹介した7つの国と地域で禁止されている成分をみてみましょう。

ハワイ:州全体ではOxybenzone、Octinoxateが禁止。ただし販売や配布をせずに個人使用のみなら許されるという情報もあり。OctocryleneとHomosalateも推奨されない。マウイ島ではすべての紫外線吸収剤が禁止(Bemotrizinolも禁止)

タイ:Oxybenzone、Octinoxate、4-methylbenzylidene camphor、butylparaben(防腐剤)が禁止

パラオ:すべての紫外線吸収剤が禁止(おそらくBemotrizinolも禁止)

ボネール島:Oxybenzone、Octinoxateが禁止

ヴァージン諸島:Oxybenzone、Octinoxate、Octocryleneが禁止

キーウェスト(フロリダ):Oxybenzone、Octinoxateが禁止

○メキシコのエコツーリズム保護区:すべての紫外線吸収剤が禁止(おそらくBemotrizinolも禁止)

 日本では使用できると言われても、結局のところ、できるだけ紫外線散乱剤のみの日焼け止めを使うのがいいでしょう。例えば、ビーチにいくときだけでも紫外線散乱剤のみのものを使用するようにするのが賢明だと言えます。

 他方、ビーチに近づかず珊瑚にダメージを与える可能性がないのなら、安全性からBemotrizinolが主成分の日焼け止めを使うのがいいでしょう。以下のような製品があります。

・資生堂「アネッサ・パーフェクトUV」
・カネボウ「アリィー・クロノビューティ」
・コーセー「サンカット パーフェクトUV」
・花王「ニベア・UV ディーププロテクト」 「ビオレ・アクアリッチ」
・ロート「スキンアクア・スーパーモイスチャー」

 

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