医療ニュース
2013年7月26日 金曜日
2009年2月2日(月) 日本脳炎の新ワクチン承認の見通し
2005年に厚生労働省が勧告をおこなって依頼、事実上ストップしていた日本脳炎ウイルスの予防接種(ワクチン)が再開される可能性が強くなってきました。
日本脳炎ウイルスの従来のワクチンは、副作用が少なく有効性が高いものとされていましたが、2004年に山梨県の女子に副作用が出現し、それを受けて厚生労働省は2005年にこのワクチンを控えるように勧告していました。新しいワクチン開発が急がれていましたが、開発の途中で副作用が出るなどの理由から時間がかかっていました。
1月29日に開かれた薬事・食品衛生審議会部会が新しいワクチンの製造販売を了承し、これを受けた厚生労働省は集団接種の安全性を検討し、今夏の流行シーズンまでに定期接種を再開するかどうかを決めることになります。(報道は1月30日の毎日新聞)
この度製造販売の了承を受けた新型ワクチンは、臨床試験で重い副作用はなかったものの、数百万人規模で接種した場合の安全性は不明なため、副作用の情報収集と対応の徹底が承認条件とされています。
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以前何度かお伝えしましたが、日本脳炎はいったん発症すると3分の1が死亡、3分の1が命は助かるものの後遺症を残します。元通りの生活が営めるのは3人に1人しかいないのです。もしも流行すれば大変なことになります。
新しいワクチンの安全性が確かなものであり、1日も早く接種できるようになることを切に願います。
(谷口恭)
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|2013年7月26日 金曜日
2009年2月8日(日) フィリピン、エボラウイルスが人に感染
先月(2009年1月)、各マスコミが「フィリピンの養豚場で昨年(2008年)、エボラウイルスが豚に感染していたことが発覚。さらに養豚関係者の1人も同じエボラウイルスに感染していた」というニュースを報道しました。
その後、フィリピン政府は新たに4人のエボラウイルスの感染を確認したことを公表しました。(報道は2月2日の共同通信)
「エボラ」と聞くと、致死的な感染症を思い出す人も多いでしょう。実際「エボラ出血熱ウイルス」はいったん流行すると致死率が8割以上になることもあります。1995年に公開された米国の映画『アウトブレイク』は、エボラ出血熱ウイルスがモデルになっていると言われています。
ここで、エボラウイルスについて簡単にまとめておきます。まず、エボラウイルスには5つのタイプがあります。一番毒性が強いのは「ザイールエボラウイルス」で、過去に何度かアフリカで”アウトブレイク”しています。1976年の流行時には致死率88%、2002年から2003年にかけての流行時は致死率89%を記録しています。
2番目に毒性が強いのは「スーダンエボラウイルス」で致死率は25~65%。3番目は「ブンデブージョエボラウイルス、4番目が「コートジボワールエボラウイルス」、そして最も毒性が弱いのが、今回フィリピンでヒトへの感染が発覚した「レストンエボラウイルス」です。
現在、レストンエボラウイルスに感染した5人には何も症状がなく、今後の経過観察は必要でしょうが、今のところ出血熱のような事態となる可能性は極めて低いようです。
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以前フィリピンの野生ザルに、レストンエボラウイルスが感染して致死的な感染症を発症したという報告があります。今回発覚したヒトへの感染は現時点では問題なさそうですが、今後ウイルスが変異を起こしヒトからヒトへの感染や、致死的な症状を発症する可能性もないわけではありません。
尚、現在の日本はフィリピンから豚肉を輸入していません。また、エボラウイルスは加熱ですぐに死滅しますから、フィリピンでも現時点では豚肉摂取を控える必要はなさそうです。
(谷口恭)
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|2013年7月26日 金曜日
2009年2月8日(日) 大学入学前にはしか(麻疹)のワクチンを
若年者のはしか(麻疹)流行がここ数年問題となっていますが、全国の主な大学の8割が、来年度の入学予定者に対し、入学前の感染予防対策を求めていることが日本小児科学会などの調査でわかりました。(報道は2月2日の読売新聞)
この調査は昨年(2008年)、日本小児科学会、京都小児科医会、京都市学校医会が、一学年の定員が2,000人以上の総合大学と医学部のある全国の大学計112校に行い、93校から回答を得ています(回答率83%)。「入学前にはしか対策を行う」と答えた大学は72校(77%)で、そのうち、「予防接種を受けるよう指導する」大学は51校(55%)、「感染や予防接種歴の調査を行う」大学は41校(44%)となっています。
接種指導などを「入学後に行う」とした20校(22%)を合わせると、ほとんどの大学が対策を予定していることになります。はしかの免疫があることを教育実習や病院・介護実習などの参加条件にする大学は48校(52%)との結果がでています。
2007年、2008年と2年連続で、はしか流行のため休講措置を取った神戸大学では、来年度(2009年度)の入学者全員に対し、予防接種済み証明書か、抗体検査で免疫があることを証明する書類などの提出を義務づけることを決めています。
はしかの予防接種は、以前は1回接種でしたが、予防効果が不十分なことから、2006年度から1歳と小学校入学前の2回接種に変更されています。1回接種しかしていない世代の若者に対し、国は2008年度から5年間に限って、高校3年生と中学1年生での追加接種を実施しています。厚生労働省によりますと、2008年9月末時点で、高3のはしかワクチンの接種率は48%と低迷しています。特に、東京、大阪、神奈川、埼玉、京都など都市部で低い傾向にあります。
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以前もお伝えしましたが、当院でもはしかの抗体陽性率を調査したことがあります。結果は、全体で抗体陽性率は40.7%。年代別でみると、10代は約2割、20代は約4割、30代でも5割の人にしか抗体はできていませんでした。
大人になってからはしかを発症するケースも増えています。大学に入学される方はもちろん、そうでない方もはしかの抗体検査は受けておいた方がいいでしょう。
(谷口恭)
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|2013年7月26日 金曜日
2009年2月8日(日) 今年の花粉、西日本は多め・・・
1月末頃から、太融寺町谷口医院にも花粉症の患者さんが増えてきていますが、今年の花粉は「東日本で少なく、西日本で多い」ようです。
環境省は1月30日、今年5月までのスギとヒノキの花粉について、「昨年に比べ、東北や関東では同じかやや少なく、東海および北陸から九州は、一部を除いて多くなる」と飛散量予測の確定版を発表しました。(報道は2月2日の共同通信)
近畿地方では花粉の飛散量は昨年の2~3倍に増える見通しです。また、花粉が飛び始める時期は、昨年より1週間程度早くなるようです。
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花粉症対策のポイントは「早めの投薬開始!」です。気になる方は早めの受診を・・・。
(谷口恭)
参考:花粉症対策
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|2013年7月26日 金曜日
2009年2月16日(月) 歯の丈夫な人は長生き
「8020運動」という言葉をご存知でしょうか。これは「はちまるにまるうんどう」と読みます。80歳になった時点で20本の自分の歯を残しましょう、という歯の健康を促す目的でつくられたスローガンです。
「8020運動」を全国に先駆けて始めたのは愛知県で、始めてから20年が経過しました。20年前に自分の歯が20本以上あるということで表彰された愛知県の80歳の人のその後を調査したところ、平均よりも”元気で長生き”だったことが分かりました。(報道は2月9日の読売新聞)
報道によりますと、20年前に表彰された241人のうちその後の状況を確認できたのが81人です。90歳以上まで生きた人は70%、100歳を超えた人も10%いました。死亡時の平均年齢は男性91.0歳、女性は92.7歳です。愛知県の最新の80歳の平均余命は男性8.4歳、女性11.3歳ですから、平均と比べて歯の健康な人は長生きしていることになります。死因は、男女とも「老衰」がトップで、男性24%、女性では52%を占めています。
愛知県健康対策課の関係者は、「自分の歯で食べることが健康長寿につながることが裏付けられた」と話しているそうです。
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歯の治療は医師ではなく歯科医師が担いますが、我々医師からみても歯という臓器が非常に大切であることは間違いありません。例えば、どちらが先かは分かりませんが、メタボリックシンドロームと歯周病を合併している人は大変多いという印象があります。また、虫歯(齲歯)の多い人に栄養不良があったり不規則な生活をしていたりすることもよくあります。
(私は歯科医師ではありませんから詳しいことは分かりませんが)、日々の丁寧なブラッシングや定期的な歯科受診(歯石を完全に予防するのは困難です!)はすべての人に不可欠なものといえるでしょう。
(谷口恭)
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|2013年7月26日 金曜日
2009年2月16日(月) 母子家庭の生活がより厳しい状況
病気の時や病気がちな状態でも働いている母子家庭の母親は32%で、生活苦が原因で進学を断念した遺児(母子家庭の子供)は9%(前年は6%)にもなる・・・
これらは「あしなが育英会」が母子家庭を対象におこなったアンケート調査であきらかになったことです。(報道は2月10日の共同通信)
この調査は、2008年12月から2009年1月にかけ高校1~2年の奨学生がいる1,874世帯を対象に実施され、814世帯から有効回答を得ています。
「病気でも働いている」のは227人で、昨年2月から8ポイント増加しています。就業中の母親692人のうち非正規雇用は58%で、昨年9月より2ポイント増えています。
2007年の平均年収は約134万円で、一般サラリーマン(約437万円)の3割弱まで下がっています。1998年と比べると、サラリーマンの平均年収が6%ダウンだったのに対し、母子家庭の母親は33%と大幅に減少しています。
同育英会は「健康や労働環境、賃金など母子家庭の母親に関するすべての生活条件が悪化している。『どうせ勉強しても進学できない』と感じている遺児も多く、生きることへの絶望感につながらないか心配だ」と懸念しているようです。
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このように母子家庭の生活苦が深刻化する一方で、大阪府のように財政難から母子家庭への福祉軽減が検討されている自治体もあります。
行政がダメなら、国民全体、地域全体で母子家庭を支えていくような方法がないものでしょうか・・・
(谷口恭)
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|2013年7月26日 金曜日
2009年2月18日(水) 献血のHIV陽性が過去最多
2008年の献血について日本赤十字社が発表をおこないました。同社によりますと、献血者数は2007年を約13万7700人上回る約507万7200人で、これは6年ぶりの増加となります。
ところが、献血者のなかでHIV陽性が判明したのが107人、献血者10万人あたりのHIV陽性者は2.107人で、いずれも過去最多となっています。
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通常、献血のHIV検査は複数の人の血液を混ぜておこないます。ここで陽性反応がでると、どの血液(誰の血液)に含まれていたかを詳しく調べることになりますが、この作業に大変な労力と時間が費やされます。その結果、HIV陰性の人の血液が輸血などに使われるまでに時間がかかってしまうことになるのです。ということは、自身がHIVに感染していると、他に善意で献血をしている人の期待に添えないことにもなるわけです。
このウェブサイトでも何度も書きましたが、感染の可能性のある方は献血ではなくまずは検査にいきましょう。これはHIVだけでなく、梅毒や肝炎でも同じです。
(谷口恭)
参考:医療ニュース
2008年7月22日「献血のHIVが止まらない勢い」
2008年6月1日「大阪が3分の1、献血のHIV」
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|2013年7月26日 金曜日
2009年2月24日(火) 日本のHIV・AIDS、6年連続で過去最多
厚生労働省のエイズ動向委員会は2月18日、2008年に国内で新たに報告されたHIV感染者は1,113人、エイズ患者は432人で、計1,545人に上るとの速報値を発表しました。HIV感染者・AIDS患者の合計報告数は2003年以降、6年連続で過去最多を更新することになります。
新規に感染が判った人の大半は男性で、感染者と(すでにエイズを発症している)患者を合わせて1,442人。女性や外国人男性の報告数は前年からほぼ横ばいだったのに対し、日本人男性の増加が目立っています。
感染経路は、同性間の性的接触が最も多く、感染者・患者の合計は964人となっています。異性間の性的接触は合計365人、注射器による薬物乱用が10人です。
年代別では30代の559人が最多で、20代の377人、40代の303人と続きます。50歳以上は283人と他の年代よりは少ないですが、前年より約50人増え、報告数の増加でみると最も多くなっています。
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50代男性の増加が気になるところです。50代男性から主婦(妻)への感染、という経路も少しずつ増えてきています。HIV/AIDSは、ほとんどの地域で、まず男性同性愛者の間で蔓延し、その後女性への感染が広がっていくと言われています。
気になる人は早めに検査を受けるようにしましょう。
(谷口恭)
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|2013年7月26日 金曜日
2009年2月24日(火) 出生数は増加したものの・・・
2月20日、厚生労働省は人口動態統計を発表し、2008年に生まれた赤ちゃんの数が、前年(2007年)より2,518人多い1,123,455人であることが分かりました。2006年以来2年ぶりの増加となりますが、2008年がうるう年だったことを考慮すると、実態としては前年比でほぼ横ばいとなります。
一方、死亡数は1,153,266人で、国の統計資料が残っている1947年以降で最多となります。出生数から死亡数を差し引いた自然増加数は、2007年の+1,445人から大きく減少し、マイナス29,811人となります。
1人の女性が生涯に産む子供の推定値となる合計特殊出生率は6月に発表される予定ですが、今のところ厚生労働省は、2007年の1.34より0.02程度増加すると予想しています。合計特殊出生率は2005年に過去最低に1.26を記録しましたが、その後はわずかながら上昇傾向にあります。
2008年の婚姻は743,176組で、2007年より6,049組多かったようです。
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うるう年という事情があったにせよ、一応赤ちゃんの数は増えて、婚姻数も増加しているのは好ましいことと思われます。しかし、人口の自然増加数がマイナスになっているわけで、本格的な”人口減社会”がやってきたという感じがします。
(谷口恭)
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|2013年7月26日 金曜日
2009年2月27日(金) 日本脳炎の新ワクチンがついに承認
厚生労働省は2月23日、阪大微生物病研究会が開発した日本脳炎ワクチン「ジェービック5」を正式に承認しました。(報道は2月25日の読売新聞)
この新しいワクチンは、これまでのワクチンよりも副作用が少ないと考えられており、今夏の流行シーズンを前に、5月に発売を開始する見通しです。
日本脳炎のワクチンは従来、定期接種の対象でしたが、重い副作用が出現したために2005年から積極的な接種は控えるように勧告されていました。そのため、現在は年間10例程度の日本脳炎患者が再び増加するのではないかと懸念されていました。
新しいワクチンの定期予防接種の勧奨が再開されるかどうかは、26日に開かれる会合で検討される予定です。
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これで一安心といったところですが、定期接種が実施されだしたときに今度は供給量の不足が起こらないかどうかが心配です。
(谷口恭)
参考:
はやりの病気 第63回 「日本脳炎を忘れないで!」
医療ニュース 2009年2月2日「日本脳炎の新ワクチン承認の見通し」
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