医療ニュース
2009年2月8日(日) フィリピン、エボラウイルスが人に感染
先月(2009年1月)、各マスコミが「フィリピンの養豚場で昨年(2008年)、エボラウイルスが豚に感染していたことが発覚。さらに養豚関係者の1人も同じエボラウイルスに感染していた」というニュースを報道しました。
その後、フィリピン政府は新たに4人のエボラウイルスの感染を確認したことを公表しました。(報道は2月2日の共同通信)
「エボラ」と聞くと、致死的な感染症を思い出す人も多いでしょう。実際「エボラ出血熱ウイルス」はいったん流行すると致死率が8割以上になることもあります。1995年に公開された米国の映画『アウトブレイク』は、エボラ出血熱ウイルスがモデルになっていると言われています。
ここで、エボラウイルスについて簡単にまとめておきます。まず、エボラウイルスには5つのタイプがあります。一番毒性が強いのは「ザイールエボラウイルス」で、過去に何度かアフリカで”アウトブレイク”しています。1976年の流行時には致死率88%、2002年から2003年にかけての流行時は致死率89%を記録しています。
2番目に毒性が強いのは「スーダンエボラウイルス」で致死率は25~65%。3番目は「ブンデブージョエボラウイルス、4番目が「コートジボワールエボラウイルス」、そして最も毒性が弱いのが、今回フィリピンでヒトへの感染が発覚した「レストンエボラウイルス」です。
現在、レストンエボラウイルスに感染した5人には何も症状がなく、今後の経過観察は必要でしょうが、今のところ出血熱のような事態となる可能性は極めて低いようです。
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以前フィリピンの野生ザルに、レストンエボラウイルスが感染して致死的な感染症を発症したという報告があります。今回発覚したヒトへの感染は現時点では問題なさそうですが、今後ウイルスが変異を起こしヒトからヒトへの感染や、致死的な症状を発症する可能性もないわけではありません。
尚、現在の日本はフィリピンから豚肉を輸入していません。また、エボラウイルスは加熱ですぐに死滅しますから、フィリピンでも現時点では豚肉摂取を控える必要はなさそうです。
(谷口恭)
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