医療ニュース
2013年8月31日 土曜日
8/31 ミドリガメのサルモネラに要注意
2013年8月12日、厚生労働省は、「カメ等のハ虫類を原因とするサルモネラ症に係る注意喚起について」というタイトルの情報提供をおこないました(注1)。
これは米国でサルモネラの集団発生が繰り返し起こっていることを受けてのものです。2011年5月から2013年5月の2年間で、米国で合計8つの集団発生が報告されています。疫学調査の結果、カメもしくはカメを飼育する水槽の水などから感染したことが示唆されるそうです。詳しくは2013年5月24日付で、CDC(米国疾病管理局)が発表しています(注2)。
カメ等の爬虫類については、日本国内においてもサルモネラ属の細菌を保有していることが少なくないことがわかっています。(50~90%は感染していると言われています)
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人がミドリガメなどの爬虫類と接すると、わずかに触れただけであってもサルモネラに感染することがあります。感染すると、最初に起こるのが胃腸炎の症状(特に下痢)です。ミドリガメに接したエピソードがあって、こういった症状が出現したときは軽症であったとしてもサルモネラ感染を疑うべきです。
重症化すると髄膜炎や敗血症に以降することがあり、そうなると、稀ではありますが、命にかかわる状態になることもあります。特に、新生児や高齢者、あるいは免疫不全者などは容易に重症化する可能性があります。
カメに近づいてはいけない、とまでは言えませんが、扱いには充分注意が必要です。少しでも触った可能性があれば直ちに手洗いすることが重要です。本人は感染しなくても、サルモネラが付着した手で新生児や免疫不全の人に触れると大変なことになる可能性があるからです。
注1 この情報は下記のURLで閲覧することができます。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dl/20130812-01.pdf
注2 CDCのこの報告は下記のURLで閲覧することができます。
http://www.cdc.gov/salmonella/small-turtles-03-12/index.html
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|2013年8月30日 金曜日
2013年8月30日 超低用量ピルでの死亡例
飲んで避妊ができる薬としてピルが開発されたのは1955年の米国でした。FDA(米国食品医薬局)で承認されたのが1960年です。当時のピルはホルモン濃度が高く、副作用をいかに克服するかが課題でした。その後、ホルモン濃度を減らしたピルの開発が次々とおこなわれ、日本でも2010年についに超低用量ピルが認可されました。(詳しくは下記「はやりの病気」を参照ください)
超低用量ピル「ヤーズ」は、発売後およそ2年半の間に国内の14万人以上の女性に処方されていると言われており(メーカーの発表)、そのうち副作用の報告は87例に上っています。(87例/14万例は約0.06%になりますが、報告されていない軽微な副作用も実際にはありますから「副作用出現率」はもっと上がるはずです)
87の副作用報告例のなかで死亡例が1例あります。2013年6月、20代の女性が頭蓋内静脈洞血栓症と呼ばれる頭の中に血の塊ができる状態となり死亡しました(注1)。血栓症というのは、ピルを飲めばリスクになるのですが、そのリスクの大きさは個人によって異なります。喫煙や肥満があればリスクは大きく跳ね上がりますし、単純に高齢になるだけでもリスクは上昇します。
今回亡くなられた女性は、やせ型で喫煙はしておらず、過去に血栓症を起こしたエピソードもなく、ほとんどリスクはありませんでした。(厳密に言えば祖父が脳梗塞になったことがあるそうですが、通常は祖父の脳梗塞まではあまりリスクとみなしません)
頭蓋内静脈洞血栓症は頭痛で発症し、そのうち痙攣をきたし意識消失にいたります。この患者さんはヤーズ内服の2日後にすでに頭痛が出現していたそうです。7錠飲んだ時点で服用を中止していますが、主治医が処方してからわずか13日後に死亡しています。
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頭蓋内静脈洞血栓症というのは、ピルを飲んでいる若い女性に起こりやすいという特徴があります。そして、飲みだして数週間以内に起こることが多いことがわかっています。ですから、頭痛が起これば直ちに服薬を中止して主治医に相談しなければなりません。
今回私が驚いたのは、まったくといっていいほど血栓症のリスクがない女性が、中容量や低用量でなく超低用量ピルで発症し死亡にまで至ったということです。薬に副作用はつきものですし、月経困難症が薬を必要とするほどのものであったことは理解できるのですが、なんともやりきれない感じがします。
副作用を恐れすぎるのも問題ですが、現在ピルを飲んでいる人、これからピルを始めようとしているすべての女性にこの症例のことを知ってもらいたいと思います。
(谷口恭)
注1:厚労省の報告を参照ください。
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|2013年8月12日 月曜日
2007年1月7日(日) インフルエンザ発症者がチラホラ
12月28日の毎日新聞によりますと、札幌市地域衛生課は27日、市内の医療機関を受診した1歳女児と10代男性の計2人から、北海道では今冬初のA香港型インフルエンザウイルスを検出したと発表しました。全国では岐阜県に次いで2番目で、今年は全国的に発生が少ない冬になっています。
私の所属するプライマリケア医のメーリングリストでも、東京と奈良でのインフルエンザの発生が各1名ずつ報告されています。
昨シーズンの第1号は11月30日でしたから、今年の流行は例年に比べて遅いようです。
しかしながら、インフルエンザが今年も流行するのはほぼ間違いないでしょうから、うがい・手洗いが重要であることには変わりありません。
例年であれば、今からワクチン接種というのは遅すぎますが、今年はまだ間に合いそうです。おそらく今月の終わりにはある程度の流行を迎えているでしょうから、まだワクチンを接種していないという人は、遅くとも今月中旬までに接種するようにしましょう。
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|2013年8月11日 日曜日
2007年1月8日(月) ホワイトカラー・エグゼンプションに過労死の遺族が反対表明
ホワイトカラー・エグゼンプションという言葉がマスコミをにぎわせるようになりました。ホワイトカラー・エグゼンプションとは、ホワイトカラー労働者に対する労働時間規制を適用免除(exempt)することで、これが施行されると、事実上、雇用者は従業員に対して労働時間の制限なく働かせることが可能となります。
ホワイトカラーは、その働き方に裁量性が高く、労働時間の長さと成果が必ずしも比例しない部分があるため、労働時間に対して賃金を支払うのではなく、成果に対して賃金を支払う仕組みが必要、というのがこの制度の趣旨です。
たしかに、効率をあげずにダラダラと仕事をして残業時間を稼ぐ従業員に高額を支給するのはおかしいという考え方は筋が通っています。雇用者の立場からすれば、ダラダラと残業をおこなう従業員よりも、むしろ効率よく仕事をおこないテキパキと仕事をこなす従業員に高額を支払いたいと考えるでしょう。
したがって、この制度を推進する者のなかには、この制度により労働時間が全体として減少すると考えている者もいます。しかしながら、成果主義を取り入れすぎることにより、一部の者は不当に長時間労働を強いられてそれが過労死につながるのではないかとみる向きもあります。
12月28日の共同通信によりますと、ホワイトカラー・エグゼンプションの導入を求める労働政策審議会分科会の報告書に対し、過労死の遺族らからは27日、「若い人の過労死も増える」との批判が相次いだそうです。
過労死の遺族のひとりは次のようにコメントしています。
「過労死は当時、中高年の問題だったが、最近は20代にも広がっている。(ホワイトカラー・エグゼンプションの導入により)過労死や自殺の増加を加速させるのではないか」
労働政策審議会の報告書には、「自由度が高い」や「104日の休日取得」などの文言が並んでいます。これに対し、父親を過労死で亡くした遺族のひとりは、「働く人に優しい言葉にみえるが、父のことを思うと本当にそういう働き方があるのか疑問」と話しています。
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医師の立場からこの制度をみたときに懸念するのは、残業や休日出勤をすべて「自由」とすることにより、自殺も含めた過労死が起こったときに、その原因を「仕事」や「会社」と特定することができにくくなるのではないかということです。
過労死や自殺までいかなくても、過酷な労働のせいで、様々な身体症状や精神症状が出現している人は少なくありません。もしもあなたに思い当たることがあるなら、ひとりで悩まずに、気軽に医療機関に相談するようにしましょう。
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|2013年8月11日 日曜日
2007年1月10日(水) 鳥インフルエンザの診断キット、開発に成功
大阪府立公衆衛生研究所が、世界で初めて鳥インフルエンザの検査キットの開発に成功しました。鳥インフルエンザを検出するには、特殊な遺伝子診断をおこなう必要があり、これまでは特別な機関でのみ実施され、結果が出るまでに2日ほどかかっていました。
今回、同研究所によって開発された迅速診断キットは、わずか10分で結果が得られるようです。まだ一般の病院やクリニックで使用される目途はたっていませんが、近いうちに市販される可能性もあり期待がもたれています。
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|2013年8月11日 日曜日
2007年1月11日(木) ノロウイルスによる感染性胃腸炎がピークに
国立感染症研究所が12月28日にまとめた全国約3000の小児科の定点調査結果によりますと、ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の患者報告数は、12月11日からの1週間で6万8950人に上り、1施設当たり22.8人と、1981年の調査開始以来過去最多だった前週(22.2人)をさらに上回っています。ただ、同研究所は、感染性胃腸炎の流行は「ピークを迎えつつある」とみています。
私自身も、今シーズンは感染性胃腸炎が例年に比べて多いなという印象があります。
よく患者さんに聞かれるのは、「この胃腸炎はノロウイルスによるものですか」というものです。患者さんによっては、「ノロウイルスの検査をしてほしい」、との希望をもたれていますが、現在のところ、ノロウイルスの検査は保険適用がなく、自費診療でおこなうと1万円以上もするため、私は原則として検査をすすめていません。
ノロウイルスの感染性胃腸炎は、たしかに死亡例も出ており危険な印象がありますが、健常人であれば、それほど重症化することはなく、大半は外来の点滴か、入院が必要となったとしても2~3日で元気になります。
また、ウイルス感染ですから、抗生物質は効果がありません。点滴のなかに入れるのは、せいぜい胃薬か吐き気止め程度で、点滴の主目的は水分補給です。
医学の教科書には「ノロウイルスはカキによるものが多い」と書かれていますが、実際はカキで感染した人よりも、感染している人の近くにいる人が感染していくケースの方が圧倒的に多いといえます。
ノロウイルスに限らず、感染性胃腸炎や風邪にもっとも効果があるのは、”うがい”と”手洗い”であることを再認識することが大切です。
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|2013年8月11日 日曜日
2007年1月12日(金) みずぼうそうを難病と勘違いして自殺
みずぼうそうと言えば、誰もが知っている子供の感染症ですが、子供のときにかかっていなければ、大人になってから発症することがあります。よく言われるように、大人になってからみずぼうそうに罹患すると、ときに重症化することがあり入院を強いられることもあります。
しかしながら、みずぼうそうは決して”難病”ではありません。そのみずぼうそうを難病だと勘違いして自殺を図った男性(タイ人)がいます。
1月11日のバンコク週報(日本語でタイの情報を伝えるメディア)によりますと、タイのサケオ県で26歳の男性が森林でわらに火をつけ炎の中で拳銃自殺をしました。
この男性は工場で働くために医師に診断書作成を依頼したところ、診察の結果、軽度のみずぼうそうに感染していることが判ったそうです。
ところが、この男性は医学の知識が乏しいせいもあってなのか、みずぼうそうを”難病”と勘違いし遺書を残し自殺を図りました。
遺書には次のような記載があったそうです。
「お母さん、ごめんなさい。僕は火の中で死にます。いつまでも愛しています」
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みずぼうそうは”難病”でもなんでもなく、成人になってから感染したとしても、薬を数日間飲めば治ります。ワクチンもありますから、最近は罹患すること自体も減ってきています。
この事件は自殺した患者さんに非があるわけではなく、きちんと説明をしなかった医師に責任があると言えるでしょう。日本で同じようなことが起こるとは考えにくいでしょうが、医師が患者さんに正しい知識を伝える義務を再認識させられる事件だと言えます。
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|2013年8月11日 日曜日
2007年1月13日(土) 広島でインフルエンザ流行開始
1月12日の毎日新聞によりますと、広島県では年末の1週間(12月25日から31日)に県内115箇所の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数が130人となり、県の保健対策室は「インフルエンザの流行シーズンに入った」と発表しました。
同対策室によりますと、県の流行開始から1~3週間後には「インフルエンザ注意報」が発令され、5~6週間後には「インフルエンザ警報」が発令されることが例年の傾向から推測されるそうです。
関西ではまだ本格的な流行の兆しが見えていませんが、流行開始は秒読みの段階に来ていると考えるべきでしょう。
ワクチンは来週までなら間に合うかもしれませんが、おそらく再来週になると遅すぎると思われます。まだ接種していない人はお急ぎを・・・
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|2013年8月11日 日曜日
2007年1月17日(水) 次々にインフルエンザで学級閉鎖 -東大阪も-
インフルエンザでの学級閉鎖が相次いでいます。1月16日の毎日新聞によりますと、東大阪市の中学1年生、三重県内の小中学校合計3校、山口県の幼稚園、熊本県の小学校などが次々と学級閉鎖や学年閉鎖をしたと発表しています。
例年より約1ヶ月遅くインフルエンザのシーズンが到来したという感じです。ワクチン接種は流行が始まった近くに住んでいる人はすでに遅すぎるかもしれません。まだ流行が始まっていない地域の人も来週では間に合わないでしょう。(インフルエンザの予防接種は効果が出るのに2週間程度かかります)
これからは、うがい・手洗いをしっかりおこないましょう。
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|2013年8月11日 日曜日
2007年1月18日(木) アメリカ、がんによる死者が2年連続で減少
1月18日の共同通信によりますと、アメリカのがんによる死者数が、2004年には前年より約3000人少なく、2年連続で減少したことが全米がん協会の最新の統計で17日に分かりました。がんによる死者が増加し続けている日本とは対照的です。
2003年は前年より369人、2004年は2003年より3014人減少しており、アメリカでは1990年代から多くのがんで死亡率が低下しています。
部位別でみると、死者数の多い肺、乳房、前立腺、大腸のいずれのがんでも減っていて、特に大腸がんでの減少が顕著です。女性の肺がんだけが例外的に増えています。
全米がん協会によりますと、がん死者の減少は、大人の喫煙率が1965年の42%から2005年の21%に半減するなど、禁煙の効果が大きいとしています。また、全がんの平均の5年生存率は1975年から77年の50%から、1996年から2002年の66%に上がっており、治療成績の向上も原因のひとつにあげられています。
********
この記事には述べられていませんが、おそらく早期発見される機会が増えたことも要因のひとつではないかと私は考えています。すべてではありませんが、かなりのがんが早期発見されることにより完治が望めます。健康診断や人間ドックの果たす役割が大きいと言えるでしょう。
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