医療ニュース
2010年4月8日(木) 適度な飲酒は女性の体重増加を抑制
1日に1~2杯程度の飲酒をする女性は、まったく飲酒をしない女性に比べて体重が増加する確率が30%も低い・・・。
お酒好きの女性には朗報となるこのような研究結果が米国ボストンのBrigham and Women’s HospitalのLu Wang氏らにより発表されました。発表された医学誌は『Archives of Internal Medicine』の2010年3月8日号です。(詳細は下記参照)
今回の研究では、BMI(注参照)が正常の39歳以上の女性19,220人が平均で13年間追跡調査されています。全般的には、年月が経つとともに体重が増加する傾向が認められていますが、まったく飲酒をしない女性は体重増加が最も大きく、アルコール摂取が多くなるにつれて体重の増加幅が減少するという結果がでています。
一般的には、男性はお酒を飲む人の方が太りやすい、と考えられています。しかし、今回の研究では、女性に関してはお酒を適度に飲む方が太りにくい、という結論が導かれています。
この理由に対して、研究者は、「男性が食事にアルコールを加えるのに対して、女性は食事の代わりにアルコールを摂取する傾向があるようだ。適度な飲酒の習慣のある女性はアルコール以外からのエネルギー摂取量が少なく、また、アルコール摂取が、アルコール自体から摂取したエネルギーよりも多くのエネルギー消費を誘発する傾向があることから、適度な飲酒習慣が結果としてカロリー消費につながるのではないか」と述べています。
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この研究は「女性の飲酒は身体によい」ではなく、要するに、「アルコールを摂取するときに、あまり食事をとらなければ体重は増加しない」、ということだと思われます。したがって、よく食べる人が食事の量を減らさないでやせる目的でお酒を飲もうとしても、余計に太る可能性が強いというわけです。
尚、今回の研究では、「適度にお酒を飲む人」が太りにくいという結果がでていますが、「大量にお酒を飲む人」に関しては、サンプル数が少なく充分に検証できなかったようです。
今回の研究では、お酒の利点が述べられているわけですが、逆に女性の飲酒は病気のリスクになるという研究もあります(下記医療ニュース参照)。ひとつの研究だけをみて飲酒習慣を変えるのはあまりにも短絡的です。ただし、常識的に考えて、「一度に飲みすぎないこと」「休肝日を週に1~2回はつくること」は守るべきでしょう。
この論文のタイトルは、「Moderate Alcohol Consumption in Women May Reduce Risk
of Becoming Overweight or Obese」で、下記のURLで概略を読むことができます。
http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/short/170/5/453?home
(谷口恭)
参考:医療ニュース
2009年10月8日「酒飲みの女性は乳ガンになりやすい」
2007年2月6日「女性の飲酒はC型肝炎をより悪化させる」
注:BMIはBody Mass Indexの略で、体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割って算出します。例えば、体重88キログラム、身長2メートルの人であれば、88÷2の2乗=88÷4=22となります。
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