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2026年11月5日 米国で年間40ドルのHIV予防注射薬が承認、日本人が受ける方法は?

 インドの製薬会社Dr. Reddy’s Laboratories社(以下「Dr. Reddy’s社」)が製造する、レナカパビル(以下「LEN」)という抗HIV予防注射薬が11月2日、米国FDAに承認されました。Scienceによると、Dr. Reddy’s社はこの薬を「年間わずか40ドル」で販売する予定です。

 基本的事項を確認しておきましょう。

 HIVの予防には暴露後予防(以下「PEP」)と曝露前予防(以下「PrEP」)があり、ここでいう「予防」はPrEPのことです。現在日本で主流のPrEPは後発品のTAF/FTCという錠剤を毎日1錠内服する方法です。注射薬も2つあり、一応当院のウェブサイトでも情報は掲載していますが、CABという2か月に一度の注射は1回30万円以上、LENは1回3,530,000円もしますから、いまだに1人も希望していません。事実上、日本のPrEPといえば後発TAF/FTCを毎日内服する方法で、費用は1月あたり5,500円です。

 尚、on demand PrEP (event-driven PrEP、intermittent PrEP、2-1-1 PrEPなどとも呼ばれます)と呼ばれる性行為の前後に4錠内服する方法は安くつきますが、失敗のリスクがそれなりにあるために当院では推奨していません。

 今回発表されたのは、その1回350万円以上(一年で700万円以上)もするLENが、1年で40ドルというのですから驚かずにはいられません。1ドル160円で計算すると、40ドル x 160 / 7,060,000円 ≒ 0.0009、なんと99.9%以上の割引、ということになります。ただし日本でこの恩恵に預かれるわけではありません。

 LENの先発品のメーカーはギリアド・サイエンシズ社(以下「ギリアド社」)です。同社は2025年6月、LENのPrEPとしての販売承認を米国FDAから取得しました。価格は、1年分(2回投与)で28,218ドルです。尚、ここからはLENによるPrEPをLENPrEPと呼ぶことにします。

 ギリアド社の戦略は、米国など(日本も)には自社製の高額な先発LENを販売し、低または中所得国に対しては、後発医薬品の製薬会社6社にLENPrEPのライセンスを供与し、それら6社が製造する後発LENPrEPを供給するというものです。後発LENPrEPの販売対象は低または中所得国の120か国に限定しています。

 米国元大統領ビル・クリントンが設立した医療のNGO「Clinton Health Access Initiative」(=CHAI)は、「(今回米国FDAに承認された年間40ドルの)LENPrEPは、年内には各国で製品を提供できるように考えている」とコメントしています。この「各国で」が上述の「120か国」のことです。

 HIVを予防したい日本人にとっては、「年間40ドルのLENPrEP」と言われても母国で使えないのなら意味がありません。現在の後発TAF/FTCのように、後発LENを日本の医療機関が輸入することもできません。なぜなら、ギリアド社が、後発品のLENPrEPの供給は「120か国」内にとどめ「その地域外への輸入や販売は認めない」としているからです。

 ですが、「その120か国に渡航する」という手が残されています。

 タイ、ベトナム、フィリピン、カンボジアなどが上述の「120か国」に入っています。特にタイは早い段階で導入に踏み切りそうです。The Lancetによると2027年にはタイ国内のクリニックでLENPrEPが開始されそうです。となると、タイに渡航すれば年間40ドル相当の費用でLELPrEPができるようになるかもしれません(年に2回以上タイに渡航する人は大勢います)。

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