医療ニュース
2019年4月25日 木曜日
2019年4月25日 カルシウムサプリでがん死亡率1.5倍
ほとんどのサプリメントや健康食品は摂取すべきでない、というのは太融寺町谷口医院のオープン以来、もう12年以上言い続けていることであり、先日はビタミンDについて述べました(はやりの病気第188回(2019年4月)「ビタミンDが混乱を招く2つの理由」)。
今回はカルシウムのサプリメントが不要であるどころか有害性があることを述べたいと思います。とはいえ、カルシウムサプリの有害性は過去のコラム(メディカルエッセイ
第123回「カルシウムのサプリメントは危険か」)ですでに紹介しています。
今回は医学誌『Annals of Internal Medicine』2019年4月9日オンライン版に掲載された「米国成人におけるサプリメントや健康食品と死亡率の関係(Association Among Dietary Supplement Use, Nutrient Intake, and Mortality Among U.S. Adults: A Cohort Study)」から紹介します。
研究の対象者は、米国民保健栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey)に参加した20歳以上の米国人合計30,899人で、1999年から2010年まで追跡調査がおこなわれています。
平均(正確には「中央値」)6.1年の追跡期間中、死亡は3,613例。うち新血管系疾患での死亡が945例、がん死亡が805例。摂取栄養素別にみると、ビタミンA、ビタミンK、マグネシウム、亜鉛、銅の適量摂取例では、全死亡およびCVD死亡の減少が認められていますが、これは食事からの摂取に限られています。
注目すべきはカルシウムです。カルシウムのサプリを摂取していると摂取していないグループに比べ、がん死亡率がなんと1.53倍にもなっていたのです。
尚、この論文の結論としては「サプリメント摂取で死亡減少はない」とされています。
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このような大規模調査がおこなわれると、最近ではほとんど例外がなくサプリメントが有益とする結果は出ていません。にもかかわらずサプリメントの市場は好況のようです。有益性がないだけならまだしも、有害性があるのであるわけですから、太融寺町谷口医院ではこれからも、これまで通りサプリメントの危険性を警告していきたいと考えています。
医療ニュース2014年1月28日「やはりビタミン・ミネラルのサプリメントは利益なく有害」
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|2019年4月25日 木曜日
2019年4月25日 ネコ好き女子は肺がんで死にやすい?!
驚くべき論文が発表されました。
医学誌『Environmental Research』2019年2月25日で発表された論文「米国の18年間の追跡調査からみるペット飼育と肺がんのリスク(Pet ownership and the risk of dying from lung cancer, findings from an 18 year follow-up of a US national cohort)」によると、ネコ好きの女性は、ネコを飼っていない女性に比べて肺がん死亡率が2.85倍にもなるというのです。
この研究の対象者は、1988~94年に実施された第3回米国国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey)に協力した19歳以上の13,725人で、2010年12月31日まで追跡調査が行われています。
対象者の43%がペットを飼育しており、20.4%がネコ、4.6%が鳥を飼っていました。追跡期間中、肺がんで213人が死亡しています。女性でみると、ペット飼育者の肺がん死亡率は2.31倍。なかでもネコを飼育していると2.85倍と最も高くなっています。ちなみに鳥も2.67倍と有意差を持って高く、一方、イヌは1.01倍と関連がありません。
男性ではペット飼育と死亡率に有意な関係は認められていません。
尚、この分析では対象者の喫煙、飲酒、身体活動、体重、アトピー性疾患(喘息を含む)などの影響を調節した上で算出されています。
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この論文では数値を算出しているだけであり、なぜネコを飼育する女性が肺がん死亡率が高くなるのかは分かりません。太融寺町谷口医院の患者さんにもネコ好きの女性患者さんは非常に多く、なかにはネコのせいで喘息発作を起こしているのにネコと離れられないという人もいます。そういう場合は、生活に工夫をすることでネコと”共存”することが可能となりますが、そこまで進むのに時間がかかることもしばしばあります。
私がこの論文を読みかけたとき、きっと喘息発作を繰り返している人が死亡率を上げているのでは、と思っていました(とはいえ喘息と肺がんに関連があるわけではありませんが)。しかし、喘息やアトピーの因子も除外した上で統計処理がおこなわれていました。また、以前紹介したトキソプラズマとも無関係のようです。
今後物議を醸しそうな論文と言えるでしょう。
(参考)はやりの病気
第174回(2018年2月)「トキソプラズマ・前編~猫と妊娠とエイズ~」
医療ニュース2019年2月23日「乳児期に動物に接するとアレルギーを起こしにくい?!」
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