医療ニュース
2019年2月24日 日曜日
2019年2月23日 やはりベンゾジアゼピンは認知症のリスク
ベンゾジアゼピン系(以下BZ)は認知症のリスクになるのかならないのか。これは以前から繰り返し検討されているテーマです。「はやりの病気」第151回(2016年3月)「認知症のリスクになると言われる3種の薬」では、ひとつの大規模調査を紹介し、その結論は「BZは必ずしも認知症のリスクとなるわけではない」でした。
ですが、今回発表されたメタ分析(これまで発表された研究をまとめなおして総合的に検討する分析)では、この結論がくつがえされています。
医学誌『Journal of clinical neurology』2019年1月号に掲載された論文「ベンゾジアゼピン長期使用の認知症のリスク~メタ分析による~(Risk of Dementia in Long-Term Benzodiazepine Users: Evidence from a Meta-Analysis of Observational Studies)」によると、BZを用いることにより認知症のリスクが1.51倍となります。さらに、当然といえば当然ですが、作用時間の長いタイプのBZ使用者、長期使用者で認知症のリスクが高くなっています。
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このサイトで繰り返し述べているようにBZには強い依存性があります。たった1錠飲んだだけで人生が変わるとまでは言いませんが、使用には慎重にならなければなりません。過去に紹介した記憶のないままわが子を殺めた東京の主婦が飲んでいたのは「マイスリー」で、これもBZと同系統の薬剤です。
医療機関で簡単に処方することはありませんが、ときに患者さんは「前のクリニックでは簡単に処方してくれたのに……」と不満を言います。しかし、依存性が強く、記憶がなくなったり認知症のリスクが上がったりする薬剤を簡単に考えてはいけないのです。
参考:
はやりの病気
第164回(2017年4月)「本当に危険なベンゾジアゼピン依存症」
第151回(2016年3月)「認知症のリスクになると言われる3種の薬」
GINAと共に第152回(2019年2月)「アダム・リッポンも飲むベンゾジアゼピンの恐怖」
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|2019年2月24日 日曜日
2019年2月23日 乳児期に動物に接するとアレルギーを起こしにくい?!
意外な結果と言えるかもしれません。
太融寺町谷口医院(以下「谷口医院」)の患者さんのなかにも少なくない犬アレルギーや猫アレルギー。谷口医院ではほとんどの患者さんが犬や猫が好きな人たちです。なかにはペットショップで働く人や、トリマーの人もいます。仕事を替えるわけにもいきませんし、そもそも犬や猫が好きな人たちですからプライベートでも一緒に過ごしていることが多いのです。
なぜ犬や猫が好きな人たちがそれらのアレルギーを起こすのか。それは犬や猫に触れる時間が長いからです。このメカニズムは花粉症と同じように考えればわかりやすいと思います。つまり、同じ抗原に何年もさらされていると、あるときを境にそれまでは何ともなかったものがその人にとって”敵”となるのです。以降は一種の「拒絶反応」が起こる。これがアレルギーのメカニズムです。
ということは、花粉症を防ぐには発症していない時点から花粉に触れないようにするのが最適であり、同様に動物アレルギーを防ぐには動物に触れる時間を短くするのがいい、ということになります。
ところが、です。医学誌『PLOS ONE』2018年12月19日号に掲載された論文「早い段階でペットと触れていれば動物アレルギーのリスクが低下する(Pet-keeping in early life reduces the risk of allergy in a dose-dependent fashion)」によれば、このタイトル通り、小さい頃にペットに触れているとアレルギーのリスクが下がるというのです。
この研究はスウェーデンのものです。対象は7~8歳の小児(1,029例)と8~9歳の小児(249例)です。結果は、生まれてから1年以内に(つまり乳児期に)家庭内に猫や犬を飼っていれば、喘息や鼻炎、湿疹といったアレルギー症状が少なくなるというのです。しかも、ペットの数が多いほどその傾向は顕著になり、ペットのいない子供の49%がアレルギーがあるのに対し、5匹以上のペットを飼っている家の子供ではアレルギー発症はなんと0(ゼロ)だというのです。
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この論文によると「幼少期のペットとの接触がアレルギーのリスクを低下させる」とする研究は他にもあるそうです。ですが、そのメカニズムははっきりしません。食物アレルギーについては、以前は避けるべきだと考えられていたのが、現在はむしろ積極的に摂取すべきだ(注意点はいくつかありますが)と変わってきています(参考:「はやりの病気」第167回(2017年7月)「卵アレルギーを防ぐためのコペルニクス的転回」)。
動物アレルギーも同じメカニズムかもしれません。食物を乳児期に食べさせるときの最大の注意点はアトピー性皮膚炎などの湿疹をきっちりと治しておくということでした。ということは、乳幼児期にペットを飼うときにも湿疹の治療と予防はきっちりとおこなっておくべきでしょう。
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