医療ニュース
2013年7月14日 日曜日
2010年7月28日(水) 日本人の寿命がさらにさらに長く
厚生労働省が7月26日に公表した「簡易生命表」によりますと、日本人の平均寿命が昨年に引き続き過去最高を更新しました。(報道は7月27日の共同通信など)
同省によりますと、日本人の平均寿命は女性が86.44歳で、これは4年連続で過去最高を更新し、25年連続で世界一ということになります。一方、男性は79.59歳で、こちらも4年連続で過去最高を更新しています。しかし、共同通信が伝えている世界ランキングでは、昨年の4位(一昨年は3位)から5位に後退しています。
共同通信の報道から他の長寿国をみてみると、女性の2位は香港の86.1歳、3位はフランスの84.5歳となっています。男性は1位がカタールで81.0歳、2位は香港の79.8歳で、3位はアイスランド(昨年1位)とスイス(昨年2位)の79.7歳となっています。
寿命がさらに延長したことに対して同省は、「主に心疾患や肺炎で死亡する割合が下がっていることが平均寿命の延びにつながっている」と分析しているようです。
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男性の1位がカタールというのは本当なのでしょうか。7月27日の共同通信はそのように報道していますが、国連統計部(United Nations Statistics
Division)のサイト(http://unstats.un.org/unsd/demographic/products/socind/health.htm)ではカタール人男性の平均寿命が76歳(2010年6月)と、共同通信の報道とは5歳も異なっています・・・。
カタールがどうであれ、日本人の平均寿命が伸びているのは事実です。男女差は6.85歳で、これは昨年より0.09歳広がったことになります。同省は「心疾患や肺炎で死亡する割合が下がっている」ことを平均寿命の延びの原因として説明していますが、これが正しいとすれば、今後喫煙者が減少することによりさらに寿命が延びる可能性があります。日本では圧倒的に喫煙者は男性に多いですから、もしも日本人の大半が一斉に禁煙に取り組めば男女差は縮小するのではないでしょうか・・・。
(谷口恭)
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|2013年7月14日 日曜日
2010年7月30日 座りっぱなしの時間が長い人は短命?
座りっぱなしの時間が長い人ほど寿命が短くなる・・・
これは、米国アトランタの米国ガン協会(American Cancer Society)に所属するAlpa Patel博士らによる研究結果で、医学誌「American Journal of Epidemiology」2010年7月22日号に掲載されています。
この研究では、特に病歴のない成人(男性53,440人、女性69,776人)を対象として1993年から2006年にかけて14年間追跡調査がおこなわれています。調査期間中に、男性11,307人、女性7,923人が死亡しています。
BMIや喫煙による影響を取り除いた調査の結果、1日6時間を座って過ごす人は、座る時間が3時間未満の人に比べて、死亡リスクが女性で34%、男性で17%高くなっていることがわかりました。
さらに、長い時間座って過ごし、なおかつ運動をあまりしない人に限ってみれば、座る時間が短い人に比べて、女性で94%、男性で48%死亡リスクが高くなっていたそうです。
また、今回の研究では、死因としてガンよりも心疾患の比率が高かったようです。
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この研究で興味深いのは、「運動をすれば死亡リスクをいくぶん軽減することはできるものの、運動(physical activity)を考慮に入れても死亡リスクへの影響は依然として有意である」、ということです。
つまり、座る時間の長い人は、禁煙して肥満に気をつけて定期的な運動を取り入れたとしても、座る時間の短い人に比べると死亡リスクが高くなる、というわけです。
今のところこの原因はわかりませんが、座りっぱなしで運動時間(特に脚の運動時間)が短いことで寿命に影響を与える生物学的因子があるのではないかと推測されています。
この研究結果が普遍的なものだとすれば、職種によって寿命に差がでるはずです。例えば、事務職は(外回りの)営業職に比べて短命、とか、(長時間立ちっぱなしの)脳外科医や心臓外科医は(座りっぱなしの)精神科医より長生き、とかです。周りを見渡してそのような傾向があるようにも思えないのですが、実際はどうなのでしょうか・・・。
(谷口恭)
注:この論文のタイトルは、「Leisure Time Spent Sitting in Relation to Total Mortality in a Prospective Cohort of US Adults」で、下記のURLで概要を読むことができます。
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|2013年7月14日 日曜日
2010年8月3日(火) ヘルパンギーナが増加中
ヘルパンギーナという病気をご存知でしょうか。子育ての経験がある方ならきっと一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
ヘルパンギーナはいわゆる「夏風邪」のひとつです。高熱と咽頭痛(かなり痛がります)の他に、口の中に赤いブツブツがでたり、それがただれた状態(潰瘍)になったりすることもあります。
今年はそのヘルパンギーナが全国的に増加しているようです。
国立感染症研究所感染症情報センターによりますと、全国の小児科定点医療機関当たりの患者報告数が、7月12~18日の週は6.51で、前週より0.69ポイント増え、これにより10週連続で増加したことになります。(過去5年間の同時期の平均は3.75だそうです)
都道府県別では富山(12.43)が最も多く、宮城(12.02)、神奈川(11.58)、山形(11.48)、埼玉(10.91)と続いています。
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ヘルパンギーナは、ほとんどは一般的な対処療法(水分補給と必要に応じて解熱剤)だけで充分ですが、重症化すれば無菌性髄膜炎を起こすこともありますから注意が必要です。
今年は手足口病も流行していますし、インフルエンザも再び不気味な動きを見せていますし、O157を含む感染性胃腸炎も続いていますし、春先にはA型肝炎も流行りましたし、海外に目を向けるとアジア諸国や中南米ではデング熱が異常に増加していますし・・・、と、感染症には要注意の年となりそうです。
(谷口恭)
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|2013年7月14日 日曜日
2010年8月16日(月) 7つの質問に答えると糖尿病のリスクがわかる
イギリスの糖尿病啓蒙団体「Diabetes UK」が、インターネット上で7つの簡単な質問に答えるだけで糖尿病のリスクが算出されるサイトを開始しました。
サイトを立ち上げると、性別、年齢などの質問が現れそれらに答えていきます。合計7問の質問に答えると、現在、そして10年後の糖尿病の発症リスクが算出されます。
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このサイトの開発にはもちろん専門医もかかわっていて、それなりに有用だと思われます。ネット上の操作が簡単ですし、人種ごとにリスクが異なるという点についてもカバーされていると言えるかもしれません。(ただし人種の選択肢は「ヨーロッパ系白人」「その他有色人種」の2つだけですからそれほど綿密なものではありません。ちなみに南アジア系、黒人カリブ系が糖尿病のリスクが特に高い民族と言われることがあります)
早速私自身もおこなってみると、現在糖尿病を発症しているリスクは50分の1(2%)、10年後のリスクは10分の1(10%)となりました。私の場合、親族に糖尿病を発症した者がいることがリスク上昇につながったようです。
1分程度でできますし、もちろん無料ですから、あなたも一度試してみればいかがでしょうか。下記のURLを参照ください。
http://www.diabetes.org.uk/riskscore
(谷口恭)
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|2013年7月14日 日曜日
2010年8月16日(月) 喫煙率、男性は過去最低、女性は再び増加
JT(日本たばこ産業)は毎年5月に全国の男女の喫煙率を調査しています。昨年(2009年)の調査では、男女とも過去最低となりましたが、今年は、男性は36.6%(2.3ポイントの減)で19年連続の減少となったものの、女性は12.1%(0.2ポイントの増)で2年ぶりの上昇となります。全体では23.9%で15年連続での過去最低となります。
調査は全国の成年男女32,000人を対象に調査票を郵送して実施し、20,631人から回答を得ています。喫煙率から推計した全国の喫煙人口は24,950,000人で、昨年から1,060,000人減少していることになります。
タバコを毎日吸う人の1日当たりの平均喫煙本数は、男性が20.5本(昨年21.3本)、女性が16.1本(昨年15.9本)と調査から算出されています。
JTでは10月から、103銘柄で60~140円の値上げを実施することが決まっており、同社では、値上げ後1年間で販売数量が25%落ち込むと見ているそうです。
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つい最近私はNPO法人GINA(ジーナ)の関係でタイに渡航していたのですが、タイでも喫煙者は確実に減っているような印象を受けました。田舎の方ではそうでもなかったのですが、バンコクではまずタバコを吸える店がほとんどありませんし、オープンスペースの安い食堂でも喫煙者はほとんどいませんでした。(昔は灰皿がなくてもおかまいなしで、誰もが当たり前のようにタバコを吸い、吸殻は床に捨てていましたから、それを思い出すと別世界のようです)
今、おそらく世界中のほとんどで喫煙者はマイノリティになっているのではないでしょうか。タバコが値上げされる前に、あなたも禁煙に取り組んでみませんか。
参考:医療ニュース
2010年4月2日 「喫煙率は「東高西低」
2009年11月11日 「厚労省の調査、喫煙率21.8%、肥満度改善」
2009年8月17日 「喫煙率、14年連続で過去最低更新」
(谷口恭)
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|2013年7月14日 日曜日
2010年8月18日(水) エイズ発症者が過去最多
新たにHIV感染が判った人数、エイズを発症した人数は厚生労働省が3ヶ月毎に公表しています。今年(2010年)1~3月は、HIV感染が判った人(まだエイズを発症していない人)が227人、エイズを発症した人(エイズを発症して初めてHIV感染が判った人)が94人であったことを6月10日の医療ニュースでお伝えしました。(詳しくは下記参照)
この227人という数字は前年同期から減少しているけれども、これは検査件数が大幅減っていることが原因であり、実際の感染者が減少しているわけでは決してないということを述べました。さらに、エイズを発症した94人は前年同期から増加しており、これはいかに検査に対して無関心になっているかを表している、ということをお伝えしました。
さて、厚生労働省は2010年4~6月(正確には3月29日~6月27日)の3ヶ月に新たに報告されたHIV感染者及びエイズ発症者を報告しました。
同省によりますと、(エイズを発症していない)HIV感染が判った人が263人で、これは前年同期(226人)から比べると3人の減少ですが、検査数が減っていることを考えれば当然でしょう。
注目すべきは、エイズを発症して初めてHIV感染が判った人が129人で、これは過去最多です。また、母子感染も1例報告されており、これは4年ぶりになります。
検査総数は約32,000人で、これは1~3月に比べると約2千件増加しています。しかし、前年同期比でみれば約5千件の減少です。ちょうど前年は新型インフルエンザの渦中にあった時期で、HIVに対する関心が薄らいでいると言われていました。今年は、インフルエンザの騒ぎがないのにもかかわらず、昨年より5千件も検査数が減っているわけですから、国民のHIVに対する意識は相当低下しているのでしょう。
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以前にも述べましたが、2007~2008年頃は、太融寺町谷口医院の患者さんでは、「症状がないけれどもHIVが気になって・・・」という理由で受診されHIV陽性が判明するというケースが多かったのですが、2009年からは、発熱や皮疹など別の症状で受診され、「結果的にHIV陽性であることが判った。患者さんはまさかHIVに感染しているとは考えてもいなかった」、というケースが増えています。
それにしても、HIVに対する関心が日本中で低下している原因は何なのでしょうか・・・。
(谷口恭)
参考:医療ニュース
2010年6月10日 「HIVの「検査数」が大幅減」
2010年2月17日 「検査件数減少で新規HIV感染者も減少」
2009年11月30日 「HIVの検査を受ける人が激減」
2009年6月20日 「日本のHIV、増加傾向は変わらず」
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|2013年7月14日 日曜日
2010年8月23日(月) 飲酒が関節リウマチに有効?
飲酒をすることによって、関節リウマチに罹患するリスクが低減するだけでなく、すでに発症している人の症状緩和にも有効である・・・
このように意外な研究結果が発表され話題を呼んでいます。この研究は英国Rotherham 病院のJames Maxwell氏らによって実施され、医学誌『Rheumatology』2010年7月28日号に掲載されています。
この研究は、健康な被験者1,004人と関節リウマチ患者873人を対象として、①全く飲酒しない群、②月に1~5日飲酒する群、③月に6~10日飲酒する群、④それ以上の頻度で飲酒する群、の4群に分けて比較しています。
研究によりますと、アルコールの摂取頻度が高いほど関節リウマチの程度が軽い、という結果となっています。最も飲酒の頻度が低い群(②)でも、全く飲まない群(①)に比べると明確な差(少しでも飲めば症状が軽い)が認められたそうです。全く飲酒しない群(①)は、関節リウマチのリスクが最も頻繁に飲酒する群(④)の4倍にもなったそうです。この関連は男女ともに認められ、男性の方により強い傾向があったそうです。
この理由について、Maxwell氏は、「アルコールは関節に炎症をきたす免疫反応を低下させ、さらにある程度の鎮痛作用もあると考えられる」、と述べています。
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この研究結果を単純に受け取ると、「では、リウマチ予防にお酒を飲もう、リウマチにかかってしまっても症状を和らげるためにお酒を飲もう」、ということになるかもしれませんが、それほど単純なものではありません。
実際、この論文の執筆者のJames Maxwell氏は、「リウマチの治療目的での飲酒はすすめられない」、と述べています。
この研究では、飲酒の頻度のみが調べられており、飲酒量について触れられていないことも気になります。いったい、どの程度のアルコール量がリウマチのリスクを低減させる可能性があるのかがまるで分かりません。
リウマチとアルコールの関係を分析した研究は(私の知る限り)他に見当たりませんし、今回の研究もまだまだ初期段階と考えるべきだと思います。現時点では、「お酒はほどほどに・・・」と考えるべきでしょう。
注:この論文のタイトルは、「Alcohol consumption is inversely associated with risk and severity of rheumatoid arthritis」で、下記のURLで概要を読むことができます。
(谷口恭)
参考:医療ニュース
2010年5月21日 「飲酒によりリンパ系腫瘍のリスクが低減」
2010年5月24日 「妊娠中の飲酒、子供の白血病のリスク上昇」
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|2013年7月14日 日曜日
2010年8月30日(月) カルシウム・サプリで心筋梗塞のリスクが増加?
カルシウムのサプリメントは心筋梗塞などの心臓病のリスクを増大させる可能性がある・・・
ニュージーランド、オークランド大学のMark J Bolland氏がこのような研究を発表し、注目されています。(医学誌『British Medical Journal』で発表、詳細は注参照)
この研究は、「メタ解析」といってこれまでに報告されている研究のデータベースをもとに総合的に解析する方法をとっています。対象とされた研究は、100症例以上、平均年齢40歳以上、試験期間1年以上、1日に500mg以上のカルシウムサプリメントを摂取していたことなどを条件としています。
その結果、心筋梗塞などの心臓病を発症するリスクが約30%も増大するという結論が算出されたというわけです。
***********
この結果をどのように解釈し、患者さんに助言すべきか、今、私は悩んでいます。この研究では、カルシウムサプリメントは、ビタミンDを併用していない症例を対象としていますが、ビタミンDを併用すれば心筋梗塞のリスクが減るかどうかについては調べられていませんし、著者もそのあたりについてははっきりした言及をしていません。(一般的にカルシウムのサプリメントが勧められるのは骨粗しょう症を予防したいときで、その場合、ビタミンDの併用が勧められます)
また、この研究では、カルシウムのサプリメントを200mgとか300mgにした場合はどうなのか、また、マグネシウムと併用した場合はどうか、といった点にも触れられていません。
さらに、食品からカルシウムをとる場合はどうなのか、食品からカルシウムを摂り過ぎる危険性はあるのか、といった点も不明です。
参考までに、日本人は(特に食事が西洋化してからは)カルシウムが不足していると言われています。厚生労働省が基準にしている1日のカルシウムの摂取量は、下限値が210mg、上限値が600mgとされています。
次の研究を待ちたいところですが、当分の間、「規則正しい食事をする」以上のことは言えそうにありません。
(谷口恭)
注:この論文のタイトルは「Calcium supplements in people with osteoporosis should not be given without concomitant
treatment for osteoporosis」で下記のURLで全文を読めます。
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|2013年7月14日 日曜日
2010年9月6日(月) やはり悪玉コレステロールが高い方が長生き!?
医療ニュース2010年7月14日「悪玉コレステロールが高い方が長生き!?」で、悪玉コレステロール(以下LDLコレステロール)が高い方が長生きするという研究があり、9月に日本脂質栄養学会で発表されると読売新聞が報道した、ということを紹介しました。
その学会は9月3日、4日に愛知県犬山市で開催されました。学会開催を受けて、読売新聞は再度この研究についての報道をし、さらに毎日新聞も同様の報道をおこないました。
9月3日の毎日新聞(オンライン版)によりますと、日本脂質栄養学会の浜崎智仁教授らは、男性ではLDLコレステロール値が79mg/dL以下の人より、100~159mg/dLの人の方が死亡率が低く、女性ではどのレベルでもほとんど差がないとの結果を発表したそうです。
日本脂質栄養学会は昨年、浜崎教授を委員長に『長寿のためのコレステロールガイドライン策定委員会』という委員会を設置しています。そのガイドラインに「特別な場合を除き、動脈硬化性疾患予防に(コレステロール値)低下目的の投薬は不適切」という内容を盛り込むことを検討しているそうです。
毎日新聞によりますと、浜崎教授は、「日本でコレステロール値を下げる薬の売り上げは年間約2,500億円。関連医療費も含めると7,500億円を上回る。この中には多額の税金も投入されており、無駄と思われる投薬はなくすべきだ」と話しているそうです。
***************
報道を読むと、コレステロールの上限は撤廃してもよい、というような印象を受けますが、本当に正しいのでしょうか。以前にも述べましたが、LDLコレステロールがメタボリックシンドロームの診断基準に入れられていないのは、LDLコレステロールはそれ自体が高いだけで動脈硬化を引き起こし虚血性心疾患や脳卒中のリスクになるからです。(そして、我々はこれを”自明”と考えていました)
本当にコレステロールを下げる必要はないのでしょうか。たとえ肥満があっても喫煙していてもLDLコレステロールが高い人に投薬の必要はないと考えていいのでしょうか。それから、日本脂質栄養学会以外の高脂血症に関連する学会ではどのように考えているのでしょうか。
さらなる報告を待ちたいと思います。
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|2013年7月14日 日曜日
2010年9月8日(水) 5歳未満の睡眠不足は肥満になる
夜遅い時間にファミリーレストランで小さな子供をつれている若い夫婦が非難され始めたのは90年代の終わりくらいからでしょうか。今ではそのような光景をみても別段驚かなくなっている人も多いでしょう。
小さな子供を寝かさなくて問題はないのか・・・。常識的にはそのように感じられますが、やはり問題はありそうです。
5歳未満の小児の夜間睡眠時間が短ければ、5年後に肥満になるリスクが1.8倍に・・・。
これは、米国ワシントン大学のJanice F. Bell氏らによる研究結果で、医学誌『Archives of Pediatrics & Adolescent Medicine』2010年9月6日号に掲載されています。(詳細は下記参照)
この研究は1997年に開始されています。研究開始時、0~13歳の子供1,930例が対象とされています。0~59か月(5歳未満)が822例、5~13歳が1,108例で、この時点で極端に痩せている症例は除外されています。
そして5年間の追跡調査がおこなわれました。その結果、調査開始当時5歳未満だった小児については、夜間に睡眠不足があれば5年後に肥満になるリスクが1.8倍にもなると算出されています。興味深いことに、昼間の睡眠時間の不足によって肥満となるリスクは上昇していないそうです。
一方、調査開始当時0~13歳だった子供は、夜間の睡眠不足とその後の肥満には有意な関連性が認められていません。しかし、興味深いことに、5年たった時点で夜間に睡眠不足があれば肥満になるリスクが上昇する可能性があるとされています。
************
「寝る子は育つ」と言われるように、成長期の子供は夜間就寝時に分泌される成長ホルモンのおかげで大きく成長します。したがって、夜間の睡眠時間が不足すれば成長ホルモンの分泌が減り、充分に発育しなくなる可能性があります。
今回の研究では、夜間に睡眠不足があると肥満のリスクが上昇すると言っています。これら2つを合わせて考えると、子供が夜にしっかり寝なければ、将来「背の低い肥満児」になるかもしれない、ということになります。
やはり、子供は夜間にしっかり寝かせましょう・・・。
(谷口恭)
注:この論文のタイトルは「Shortened Nighttime Sleep Duration in Early Life and Subsequent Childhood Obesity」で、下記のURLで概要を読むことができます。
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