医療ニュース
2010年8月30日(月) カルシウム・サプリで心筋梗塞のリスクが増加?
カルシウムのサプリメントは心筋梗塞などの心臓病のリスクを増大させる可能性がある・・・
ニュージーランド、オークランド大学のMark J Bolland氏がこのような研究を発表し、注目されています。(医学誌『British Medical Journal』で発表、詳細は注参照)
この研究は、「メタ解析」といってこれまでに報告されている研究のデータベースをもとに総合的に解析する方法をとっています。対象とされた研究は、100症例以上、平均年齢40歳以上、試験期間1年以上、1日に500mg以上のカルシウムサプリメントを摂取していたことなどを条件としています。
その結果、心筋梗塞などの心臓病を発症するリスクが約30%も増大するという結論が算出されたというわけです。
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この結果をどのように解釈し、患者さんに助言すべきか、今、私は悩んでいます。この研究では、カルシウムサプリメントは、ビタミンDを併用していない症例を対象としていますが、ビタミンDを併用すれば心筋梗塞のリスクが減るかどうかについては調べられていませんし、著者もそのあたりについてははっきりした言及をしていません。(一般的にカルシウムのサプリメントが勧められるのは骨粗しょう症を予防したいときで、その場合、ビタミンDの併用が勧められます)
また、この研究では、カルシウムのサプリメントを200mgとか300mgにした場合はどうなのか、また、マグネシウムと併用した場合はどうか、といった点にも触れられていません。
さらに、食品からカルシウムをとる場合はどうなのか、食品からカルシウムを摂り過ぎる危険性はあるのか、といった点も不明です。
参考までに、日本人は(特に食事が西洋化してからは)カルシウムが不足していると言われています。厚生労働省が基準にしている1日のカルシウムの摂取量は、下限値が210mg、上限値が600mgとされています。
次の研究を待ちたいところですが、当分の間、「規則正しい食事をする」以上のことは言えそうにありません。
(谷口恭)
注:この論文のタイトルは「Calcium supplements in people with osteoporosis should not be given without concomitant
treatment for osteoporosis」で下記のURLで全文を読めます。
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