医療ニュース

2013年7月30日 火曜日

2008年6月1日(日) 中国製精力剤で意識消失

 中国製の錠剤「七鞭粒(しちべんりゅう)」を服用した横浜市内の70代の男性が4月中旬に意識消失で入院していたことが明らかとなりました。(報道は5月26日の共同通信)

 横浜市衛生研究所が錠剤の成分を調査したところ、バイアグラの主成分と血糖を下げる作用のある糖尿病治療薬の2つが確認できているようです。

 横浜市によりますと、この男性は中国を訪れた友人に依頼して錠剤を購入し、4月中旬に自宅で1錠を服用したところ、意識をなくしたそうです。

 尚、この錠剤はインターネットでも簡単に購入できるようで、横浜市は使用を控えるよう警告を発しています。

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 こういうニュースが一向に減らないことを考えると、いかに多くの人が”いかがわしい”薬品を入手しているかが分かります。

 70代の男性が精力剤を服用、と聞くと微笑ましい気もしますが、命取りになることもあるので注意が必要です。バイアグラも医師の指導の下で服用すればこわい薬品ではありません。”精力剤”が必要な人はまずは医療機関を受診するようにしましょう。

(谷口恭)

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2013年7月30日 火曜日

2008年6月1日(日) 百日ぜき、過去10年で最多

 昨年あたりから百日咳が急激に増えていますが、国立感染症研究所の報告によりますと、5月12日から18日は過去10年間で最多の325人を記録しています。(報道は5月27日の毎日新聞)

 最近の百日ぜきは、小児だけでなく成人にも増えているのが特徴で、この週の報告も成人患者が113人と全体の35%を占めています。

 2008年の5月18日までの累積報告数は2,177人で、そのうち成人は38%の817人です。過去10年の同期比で最多だった2000年の累積報告数は1,365人ですから、今年は記録を更新しそうな勢いです。

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 成人の百日ぜきは、小児のものに比べると、症状も検査データもはっきりとしないことが多く、また気管支炎などで処方される抗生物質で治癒することも多いので、実際には報告数よりもずっと多い可能性があります。

 長引く咳で悩んでいる方がおられたら早めに医療機関を受診するようにしましょう。

(谷口恭)

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2013年7月30日 火曜日

2008年6月6日(金) まめな動きが長生きにつながる!

 身体をまめに動かしている人は、そうでない人に比べ、死亡リスクが30-40%低い・・・

 これは、厚生労働省の研究班が6月4日に発表した研究結果です。(報道は同日の共同通信)

 この調査は、岩手から沖縄までの10都府県の45~74歳の男女計約8万3000人が対象となっています。1995年以降の追跡期間中に約4500人が死亡しています。

 研究班は、筋肉労働やスポーツ、歩いたり立ったりしている時間などをアンケートし、対象者の1日当たりの平均身体活動量を算出し、その量に応じて4グループに分け、活動量と死亡との関連を調べています。

 その結果、活動量が最多のグループは、最少グループに比べて男性で約30%、女性では約40%、死亡リスクが低いことが分かりました。

 疾患別にみると、男性では、最多グループが、がんで死亡するリスクが約20%、心疾患による死亡リスクが約30%低下していました。女性ではがん死亡のリスクが約30%低下していました。

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 興味深いのは「身体を動かす」というのは、仕事・余暇のいずれでもいいということです。ということは、わざわざ身体を動かす時間をつくらなくても、日常のちょっとした時間に工夫をすることで長生きできるかもしれません・・・

(谷口恭)

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2013年7月30日 火曜日

2008年6月6日(金) 自殺者が再び3万人超え

 日本の自殺者は2003年から3万人を超えていましたが、2006年は3万人を下回っていました。ところが昨年(2007年)には再び3万人を超えていたことが明らかとなりました。

 厚生労働省が6月4日に好評した人口動態統計によりますと、2007年の自殺者は30,777人と、前年より856人増えています。

 年代別では、50代後半が3,802人で最多、次いで60代前半が2,893人です。

 全体の死因別では、がん、心疾患、脳血管疾患が1~3位でしたが、20代と30代では自殺がトップを占めています。

 人口10万人当たりの自殺者数を都道府県別にみると、最多は秋田の37.5人で、宮崎の34.6人、青森の33.3人と続きます。最も少なかったのは奈良の18.0人で、愛知の19.7人、三重の19.9人と続きます。

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 尚、自殺者の発表は厚生労働省以外にも警察庁がおこなっています。警察庁のデータでは、1998年以降10年連続で3万人を超える見通しだそうです。

 自殺が少ない3つの県が、奈良、愛知、三重と地理的につながっているのが気になります。この地域には何か特徴的なものがあるのでしょうか・・・

(谷口恭)

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2013年7月30日 火曜日

2008年6月6日(金) 出生率が2年連続上昇

 2007年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むと推定される子供の数)が2年連続で上昇し、1.34になったことが厚生労働省より発表されました。

 ただし、出生数は1,089,745人と、前年より約3千人減少しています。

 出生率が減少したのは、15歳から49歳の出産期の女性人口が減少したことが原因であり、少子化の傾向が変わってきたわけではなさそうです。

 出生数は2006年に増加となりましたが再び減少したことになります。

 死亡数は1,108,280人で、前年より約2万4千人増加しています。出生数から死亡数を差し引いた自然増加数は、マイナスおよそ1万9千人です。2005年に減少した後に2006年は増加しましたが再び自然減となっています。

(谷口恭)

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2013年7月30日 火曜日

2008年6月9日(月) サマータイムは健康損なう?

 現在、サマータイム制度を導入する法案が検討されていますが、6月5日、日本睡眠学会は、「サマータイム制度は、健康に悪影響を及ぼす恐れがある」として導入に反対する声明を発表しました。(報道は6月6日の共同通信)

 同学会によりますと、夏季に時計の針を1時間進めるこの制度は、必ずしも省エネにつながらず、医療費の増加など経済的損失をもたらす可能性があるそうです。

 同学会は次のようにコメントしています。

 「夏時間への変更後数日から2週間程度は、睡眠時間の短縮や、眠りが浅くなるなどの睡眠の質の低下、抑うつ気分や自殺増加などが起こる恐れがある。特に西日本を中心に暑さが残る時間帯に就寝時間を迎えるため、寝付けずに睡眠時間の短縮などを招く可能性が高い」

 睡眠障害は、うつ病やメタボリック症候群などの要因となることが指摘されています。また、現在でも医療費増加や作業能率の低下などで国内で年間約3兆5000億円の経済損失が生じているとの試算もあります。同学会は、「サマータイム制度導入で1兆2000億円の経済的な損失が新たに生じる可能性がある」としています。

 米国ではサマータイム制度導入後に、冷房使用の増加などで電気消費量が増えたとの報告もあるようです。

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 韓国では88年のソウルオリンピックの年に、欧米諸国に合わせるためにサマータイム制度を導入しましたが、わずか2年で中止されています。

 以前、この理由を韓国人に聞いたことがあるのですが、彼女によりますと「サマータイム制を導入して出勤時間は1時間早くなったが、必ずしも帰宅時間が1時間早くなるわけではなく、結局のところ朝のサービス残業が1時間増えただけだった」、そうです。

 ワーカホリックの日本人も韓国と同様の結果に終わりそうな気がします・・・

(谷口恭)

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2013年7月30日 火曜日

2008年6月18日(水) メンタルヘルスの労働相談が急増

 東京都産業労働局によりますと、都内6か所の労働相談情報センターで受け付けている労働相談のなかでメンタルヘルスが急増しています。(報道は6月14日の毎日新聞)

 同局によれば、2007年度にメンタルヘルスの内容の相談が5,946件で、2006年度の2,891件から倍増しています。2001年度が711件で、2002年度が672件と微減していますが、その後は増加の一途をたどっています。

 労働相談情報センターに寄せられた他の相談をみてみると、最も多かった内容は「賃金不払い」で9,208件(前年度比9.3%減)、次に多かったのは「解雇」の9,124件(前年度比10.7%減)です。例年は「解雇」が最多なのですが、今年は減少幅が大きく、そのため減少幅の小さい「賃金不払い」がトップになっています。

 もうひとつ注目すべき点は、「解雇」が減った分、「退職強要」が3,615件(前年度比79%増)と大幅に増加している点です。

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 「賃金不払い」「解雇」「退職強要」などに対する不安や恐怖から、メンタルヘルスに支障をきたす人がでてくることは想像に難くありません。

 ということは、職場の環境が新たな”病”をつくりだしている可能性もあるということになります。

(谷口恭)

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2013年7月30日 火曜日

2008年6月24日(火) 警察庁の発表では自殺者が10年連続3万人超

 日本の年間の自殺者について、厚生労働省の発表では、2006年に3万人を切っていたのが2007年には再び3万人を超えた、というニュースをお伝えしましたが(2008年6月6日「自殺者が再び3万人超え」)、警察庁の発表では、10年連続で3万人を超えていることが明らかとなりました。

 まず、なぜ厚生労働省と警察庁で自殺者の人数が違うかについて説明しておきます。厚生労働省は、「死亡届」を基に人口動態の統計を取ります。一方、警察庁は、死亡届が出された後に、自殺と判明したケースも「自殺者」に含めます。また、警察庁の統計には、日本国内で自殺した外国人も含まれています。

 警察庁の発表を少し詳しくみていきましょう。

 まず、2007年に自殺した人は前年比938人増の33,093人です。これは、過去最悪となった2003年の34,427人に次ぐ過去2番目です。

 年代別では、60歳以上と30歳代で過去最多となっています。60歳代は前年比987人増の12,107人、50歳代は7,046人、40歳代で5,096人です。一方、19歳以下は前年比75人減の548人で、このうち「いじめ」が原因なのが10人、「友達との不和など」が25人です。

 性別では男性が71%を占めています。

 原因をみると、「うつ病」が6,060人で最多。2番目が「身体の病気」で5,240人、次いで「多重債務」が1,973人、「その他の負債」が1,656人です。これら以外には、「仕事疲れ」672人、「孤独感」593人、「失業」538人、「職場の人間関係」514人、「介護・看病疲れ」265人、「借金の取立て苦」169人、「自殺による保険金支給目的」151人、「子育ての悩み」121人、「倒産」97人です。また、総数は多くないものの、20~30代で「結婚」「失恋」「不倫」などの理由もあります。

 地域別では、山梨県が人口10万人あたり39人で、前年の秋田県に変わり最悪となっています。
 
 職業別では、「無職」が18,990人と全体の57.4%を占め、そのうち「年金・雇用保険生活者」が4,982人、「失業者」が1,756人です。一方、「被雇用者・勤め人」は9,154人です。

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 山梨県が最悪となっているのは、「自殺の名所」として知られる「青木ケ原樹海」を抱えているからで、これを除くと秋田県が最悪となります。尚、秋田県は、厚生労働省の発表する人口動態統計では1995年から13年連続で「全国最悪」となっています。

 一方、自殺の少ない都道府県トップ3は、奈良、愛知、三重で、地理的につながっているのが興味深いと言えます。

 それにしても、「うつ病」「多重債務」「仕事疲れ」「孤独感」「人間関係」などといった理由をみていると、現代日本の社会的病理が浮き彫りになってくるように思えます・・・。

 (谷口恭)

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2013年7月30日 火曜日

2008年6月30日(月) 低すぎる日本の子宮けい癌受診率

 OECD(経済協力開発機構)が6月26日に発表した国際比較によりますと、日本の子宮頚癌の受診率(検診率)が他国に比べて著しく低いことが分かりました。

 20歳から69歳の日本の子宮頚癌の検診率はわずか23.7%となっています。米国が83.5%、フランスが72.4%、他の欧米諸国は軒並み70%以上ですから、日本の検診率の低さは驚異的ですらあります。

 一方、CTやMRIといった高額な医療機器の設置割合では、日本は世界一位となっています。

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 子宮頚癌がCTやMRIで発見されるようでは遅すぎます。子宮頚癌は早期に発見されれば子宮を取ることなく治療できるのです。いかに検診が大切かということがお分かりいただけると思います。

 子宮頚癌の検診は、子宮頚部(子宮の入り口)をほんの少し綿棒でこするだけで、特に痛みの伴う検査ではありません。もちろん出血もしません。

 一般的には子宮頚癌の検査は「20歳を過ぎたら年に一度はおこないましょう」ということになっていますが、私は「19歳になれば受けましょう」と説明するようにしています。なぜなら、すてらめいとクリニックでは19歳で子宮頚部の異形成(子宮頚癌の一歩手前の状態)がみつかることが少なくないからです。

(谷口恭)

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2013年7月30日 火曜日

2008年6月30日(月) コーヒーはいいことばかり

 以前からコーヒーが身体にいいとか悪いとかいろんな議論がありますが、ここ数年は「身体によい」、少なくとも「身体に悪くはない」という報告が増えてきているように思われます。

 『Annals of Internal Medicine』という医学誌の6月17日号に掲載された論文によりますと、「コーヒーの摂取によって男性または女性におけるあらゆる原因による死亡のリスクが上昇することはなく、心血管系疾患死亡のリスクが低下する可能性がある」ことが分かりました。具体的に検討された疾患は、癌(肝臓癌、結腸癌、口腔癌、咽頭癌、食道癌等)や心筋梗塞などです。

 この研究はハーバード大学公衆衛生学部及び医学部によっておこなわれたもので、男性41,736人、女性86,214人が対象とされています。コーヒー摂取量が1ヵ月に1杯未満の場合と比べて、1日に6杯以上飲む人は、男性20%、女性17%の死亡リスク低下と関連があったそうです。

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 コーヒー好きには朗報と言えるでしょう。

 参考までにこのウェブサイトで紹介した過去のコーヒーに関するニュースをまとめておきます。

はやりの病気第30回 コーヒー摂取で心筋梗塞!
はやりの病気第22回 癌・糖尿病・高血圧の予防にコーヒーを!
医療ニュース2007年10月16日「お酒の代わりにコーヒーを、すい臓ガンを予防」

医療ニュース2007年9月3日「コーヒーは肝臓癌のリスクを下げる」

(谷口恭)

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