医療ニュース

2013年7月26日 金曜日

2009年1月15日(木) ガン患者は「死後の世界」を信じない?!

 ガン患者はガンでない人に比べて、死後の世界や生まれ変わりなどを信じない傾向にある・・・

 これは、東京大学が2008年におこなった大規模調査の結果です。(報道は1月14日の毎日新聞)

 調査は、ガン患者の死生観を知るために東京大学の研究チームが、2008年1月から1年間かけて実施しています。東大病院放射線科に受診したことのある患者310人と、同病院の医師109人、看護師366人、さらに無作為抽出した一般の東京都民353人の合計1,138人が調査に協力しています。ガン患者は、75%が治療済みで、治療中の人は20%でした。

 「死後の世界がある」と考える人の割合は、ガンでない人が34.6%なのに対して、ガン患者は27.9%、「生まれ変わりがある」と考える人は、ガンでない人29.6%に対して、ガン患者20.9%で、いずれもガン患者が低い傾向にあります。

 一方で、「生きる目的や使命感を持つ」割合は患者の方がガンでない人より高く、「自分の死をよく考える」という人も患者に多いという特徴があるようです。

 この調査ではもうひとつ、興味深い結果がでています。

 「望ましい死」に関して、ガン患者の多くが健康な時と同様の生活を理想とし、「(死ぬまで)身の回りのことが自分でできる」(93%)、「意識がはっきりしている」(98%)などを望んでいます。一方、医療関係者はこれらについての期待がそれぞれ30~40ポイント低い結果となっています。「最期まで病気とたたかうこと」を望む患者は8割に達していますが、医師は2割にとどまっています。

 研究班は、「ガン患者は死と正面から向き合っているようだ。望ましい死に対する認識の差は、医師らが終末期の現実や治療の限界を知っているのに対し、患者は死の経験がないため生じるのだろう。生きている時間を大切に過ごしたいという患者の思いに応える医療が必要だ」とコメントしています。

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 終末期の希望について、ガンの患者さんと医療従事者で大きな差異があるのは、おそらく多くの医療従事者が、「あのガン末期の痛みと戦ってもそれほど長く生きられないのなら、少々意識がぼーっとしても痛みを取り除く治療をしてほしい」と思うからでしょう。

 この研究で私が気になったのは、ガンになったから死を現実のものととらえ死後の世界や生まれ変わりを信じなくなるのか、もともと死後の世界や生まれ変わりを信じない人がガンになりやすいのか、ということです。

(谷口恭)

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2013年7月26日 金曜日

2009年1月17日(土) タミフル耐性のインフルエンザが急増!

 インフルエンザの特効薬「タミフル」が効かないインフルエンザが急増しているようです。

 厚生労働省の1月16日の発表によりますと、今冬に流行しているAソ連型のインフルエンザの97%がタミフル耐性です。(報道は1月17日の日本経済新聞)

 人がかかるインフルエンザは主に3つあります。「A香港型」「Aソ連型」「B型」の3種です。国立感染症研究所の集計によりますと、今冬は1月15日までに検出された671件のインフルエンザのうち、A香港型が45%で最多、Aソ連型は36%、B型は19%です。

 タミフル耐性のAソ連型は、昨冬に欧州で出現し、すでに米国やアフリカなど各地で高頻度に検出されています。日本でも昨冬に検出されていますが、耐性の割合は全体の2.6%にとどまっていました。

 尚、A香港型とB型は現時点ではタミフル耐性は見つかっていません。

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 日常診療の現場では、インフルエンザのA型とB型はその場で鑑別できますが、A型が香港型かソ連型かは分かりません。ただ、一般にA香港型の方が重症化するため、症状が強いケースではタミフルが有効である可能性が高いと言えます。

 Aソ連型に対しては、タミフルが無効でも、インフルエンザのもうひとつの特効薬である「リレンザ」に対する耐性はみつかっていませんから、A型で症状がそれほど強くないケースではリレンザの使用が適しているといえるでしょう。

(谷口恭)

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2013年7月26日 金曜日

2009年1月23日(金) 後発品処方希望カードに6億円以上も!

 後発医薬品(ジェネリック薬品)という言葉はかなり普及してきているように思われますが、もう一度確認しておくと、新薬(先発品)と有効成分が同じで安価な薬のことです。薬にもよりますが、安いものであれば先発品の5分の1以下のものもあります。

 厚生労働省は1月20日までに、患者が病院窓口や薬局で提示して後発医薬品の処方を希望できる「お願いカード」を、中小企業の従業員らが対象の協会けんぽや後期高齢者医療制度の加入者に配布する方針を決めました。(報道は1月21日の共同通信)

 厚労省は、2009年度予算案に後発薬使用推進費を前年度比4倍増の約9億2000万円を盛り込み、このうち、約6億1000万円をカード配布する費用の補助に充てるそうです。さらに、市町村が運営する国民健康保険がカードを配布する場合は別途補助する方針です。

 現在の後発医薬品の普及率は17%(2006年度、数量ベース)にとどまっており、12年度までに30%以上に引き上げる国の目標達成には厳しい状況にあります。2008年度の診療報酬改定で処方せんの様式が変わり、医師が後発医薬品への変更を認めない場合だけ「変更不可」欄にチェックするようになりましたが、後発医薬品の処方はあまり進んでいないのが現状です。

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 カードを配布する費用に果たして6億1千万円も必要なのでしょうか。こんなお金をかけなくても、医療機関や薬局が自主的に後発医薬品を患者さんにすすめればいいだけの話ではないでしょうか。

 ところで、後発医薬品が普及しない理由のひとつに、我々医師が「本当に後発医薬品は先発品と同様の効果があるのか。そして、副作用の心配はないのか」と感じていることが挙げられます。実際、きちんとしたデータはないものの、日頃の経験として「先発品とまったく同じとは思えない」後発医薬品があります。(太融寺町谷口医院では、効果に疑問のある後発医薬品は処方していません)

 カード配布に6億1千万円もの費用を使う余裕があるなら、後発医薬品が先発品に比べて有効性や副作用の観点からの問題はないのかを検証するために予算を計上してもらいたいと私は感じています。

(谷口恭)

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2013年7月26日 金曜日

2009年1月27日(火) 一般市民によるAED救命率が42.5%!

 AED(自動体外式除細動器)が随分普及してきています。空港、コンサート会場、フィットネスクラブなどには必ずといっていいほど置かれているように思われます。太融寺町谷口医院にも昨年(2008年)の秋からAEDを設置しています。

 2007年、一般市民がAEDを使って救命措置をおこなった心肺停止の人の1ヶ月後の生存率が42.5%にものぼることが、総務省消防庁の調査でわかりました。(報道は1月23日の毎日新聞)

 42.5%という数字がピンとこない方もおられると思いますが、救急の現場を経験したことのある医療者なら、この数字の高さに驚かされます。少し前までは、一般市民がAEDを使用することはなく、心肺停止になると救急車が到着して初めて救命措置が開始されたわけですが、その頃の救命率とは比べ物にならないほどです。

 調査結果を詳しくみてみると、2007年に市民の目の前で心肺停止状態となりAEDの措置を受けた287人のうち、1ヵ月後も生存していたのは122人(42.5%)で、うち102人(35.5%)は日常生活をほぼ支障なく送れるまで回復しています。一方、AED措置を受けなかった人の1ヶ月後生存率は9.7%にとどまるそうです。

 消防庁は、「一般市民の迅速な救命手当てが非常に重要だと明らかになった」と分析しています。

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 救急の現場にいると、心肺停止の状態から心拍が再開したとしてもそのまま意識が戻らないことをよく経験します。それだけに、1ヵ月後の生存率42.%という数字以上に、35.5%が日常生活を支障なく送れているということに驚きます。

 AEDは数を増やすだけではあまり効果がありません。AEDの使い方だけでなく一次救命処置をより多くの方がおこなえるようになれば、もっともっと救命率が上がるのは間違いありません。

(谷口恭)

参考:
医療ニュース 2007年2月20日「沿道配備のAEDが心肺停止の2人を救う」
メディカルエッセィ2007年1月号「あなたはAEDが使えますか」
しゃべるカラダ№9 「救命の主役は”大阪のおばちゃん”」
しゃべるカラダ№10 「心肺蘇生は愛と勇気とハイテンション!?」

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2013年7月26日 金曜日

2009年1月27日(火) マレーシアでデング熱が急増

 一昨年(2007年)あたりから東南アジアや南米でデング熱が急増しており、その状況はこのウェブサイトでも何度か紹介しています。

 2009年に入ってからマレーシアでもデング熱が急速に広がり、すでに前年同期2倍の8人が死亡しています。(報道は1月21日の共同通信)

 マレーシア保健省の1月20日の発表によりますと、1月4日から17日までの2週間でデング熱感染者が3,211人にのぼり、これは前年同期1,514人の2倍以上になります。死亡者も感染者も昨年の2倍ということになりますが、いずれも半数以上が首都クアラルンプールと、隣接するスランゴール州で報告されています。

 保健省は、今回の流行拡大の原因として、雨期が長く続いて住居の周囲に水溜りができるなど不衛生な状態となり、感染源である蚊が大量に発生したことを挙げ、国民に対して家の周りから植木鉢や空き缶などを除去するなどの予防措置を取るよう呼び掛けています。

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 デング熱には特効薬もワクチンもありません。感染しても多くは数日間の発熱や倦怠感のみで終わりますが、なかには「デング出血熱」に移行するケースもあり、こうなると命にかかわる状態になることもあります。そして、デング熱は地球温暖化と共に北上しており、アジアで言えば現在台湾でも流行の兆しをみせています。

 薬もワクチンもないなら、最重要なのは予防です。長袖のシャツ、虫除けスプレー(クリーム)などは一般の旅行の際にも必要だと考えるべきでしょう。

参考:はやりの病気第60回「虫刺されにご用心」

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2013年7月26日 金曜日

2009年1月28日(水) 自己判断で抗生物質を中止した人が4割!

 抗生物質を処方された患者の4割が途中で治ったと思い込んで服用をやめた経験がある・・・

 ファイザー製薬の調査によりこのようなことが明らかとなりました。(報道は1月26日の毎日新聞)

 同社は、昨年(2008年)10月にインターネットで各都道府県の男女100人ずつ合計9,400人に調査しました。その結果、40%に抗生物質の服用中止の経験があり、そのうち8割以上の人は「症状が改善された」と自己判断していたそうです。

 薬が余ったとき、中止の経験がある人の42%が、「保存しておき、同じ症状が出た時に再度使う」と答えています。「中断すると、その後は薬の効きが悪くなる可能性がある」ことを知っていたのはわずか48%という結果もでています。

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 その感染症にもよりますが、抗生物質を中途半端に飲めば、生き残った病原菌に対してはその抗生物質が効かなくなる可能性があります。(これを「耐性化」と呼びます)

 薬を薬局で買うよりも医療機関で処方される方が有益なのは、適切な薬を処方されることだけではなく、適切な量を処方してもらえるからです。つまり、同じ感染症であっても、医師の判断でその時に応じた必要な期間の抗生物質が処方されるのです。(ただし、その処方が必ずしも正しいとは限りませんが・・・)

 薬を自己判断で中止するのは、抗生物質に限らず危険なことだということはもっと認識されるべきでしょう。

(谷口恭)

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2013年7月26日 金曜日

2009年2月2日(月) リレンザ使用の高校生が転落死

 インフルエンザ治療薬の代表がタミフルとリレンザです。タミフルについては2004年あたりから10代の少年少女が服用したときに異常行動が生じる可能性が指摘されており、現時点でも、異常行動とタミフルには関係がないという調査がある一方で、因果関係を否定できないとする関係者もいて結論がでていません。

 リレンザについては、タミフルほど報告はありませんが、2000年12月の販売開始から2008年3月までに異常行動の報告が57例あります。ただし、飛び降り例はありませんでした。

 ところが1月27日、リレンザを使用した長野県の17歳男子高校生が自宅5階のベランダから転落死して因果関係が懸念されています。厚生労働省は29日、医療機関に使用上の注意を求める通知を販売元などに出しています。(報道は1月30日の毎日新聞)

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 先日お伝えしましたように、今年流行しているAソ連型はタミフルが効かないことが多くリレンザの処方が増えています。私自身は、リレンザは消化器症状などの副作用もなく、大変使いやすい薬という印象を持っていますが、今後未成年への処方には留意したいと思います。具体的には、未成年が使用する場合、保護者がひとりにしないようにする必要があるでしょう。

(谷口恭)

参考:医療ニュース 
2009年1月17日「タミフル耐性のインフルエンザが急増!」
2008年8月8日「厚労省のタミフル異常行動調査で解析ミス」
2008年8月4日「波紋を呼んでいるタミフル調査結果」
2008年7月14日「タミフルは異常行動に関係なし」
2007年3月23日「タミフルの10代への処方が中止に」
2007年3月3日「柳沢厚労大臣が「転落死とタミフルは関係なし」と発表」
2007年2月28日「またもやタミフル服用後に転落死」
2007年2月20日「14歳少女の転落死はタミフルが原因か」

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2013年7月26日 金曜日

2009年2月2日(月) 日本脳炎の新ワクチン承認の見通し

 2005年に厚生労働省が勧告をおこなって依頼、事実上ストップしていた日本脳炎ウイルスの予防接種(ワクチン)が再開される可能性が強くなってきました。

 日本脳炎ウイルスの従来のワクチンは、副作用が少なく有効性が高いものとされていましたが、2004年に山梨県の女子に副作用が出現し、それを受けて厚生労働省は2005年にこのワクチンを控えるように勧告していました。新しいワクチン開発が急がれていましたが、開発の途中で副作用が出るなどの理由から時間がかかっていました。

 1月29日に開かれた薬事・食品衛生審議会部会が新しいワクチンの製造販売を了承し、これを受けた厚生労働省は集団接種の安全性を検討し、今夏の流行シーズンまでに定期接種を再開するかどうかを決めることになります。(報道は1月30日の毎日新聞)

 この度製造販売の了承を受けた新型ワクチンは、臨床試験で重い副作用はなかったものの、数百万人規模で接種した場合の安全性は不明なため、副作用の情報収集と対応の徹底が承認条件とされています。

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 以前何度かお伝えしましたが、日本脳炎はいったん発症すると3分の1が死亡、3分の1が命は助かるものの後遺症を残します。元通りの生活が営めるのは3人に1人しかいないのです。もしも流行すれば大変なことになります。

 新しいワクチンの安全性が確かなものであり、1日も早く接種できるようになることを切に願います。

(谷口恭)

はやりの病気 第63回 「日本脳炎を忘れないで!」

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2013年7月26日 金曜日

2009年2月8日(日) フィリピン、エボラウイルスが人に感染

 先月(2009年1月)、各マスコミが「フィリピンの養豚場で昨年(2008年)、エボラウイルスが豚に感染していたことが発覚。さらに養豚関係者の1人も同じエボラウイルスに感染していた」というニュースを報道しました。

 その後、フィリピン政府は新たに4人のエボラウイルスの感染を確認したことを公表しました。(報道は2月2日の共同通信)

 「エボラ」と聞くと、致死的な感染症を思い出す人も多いでしょう。実際「エボラ出血熱ウイルス」はいったん流行すると致死率が8割以上になることもあります。1995年に公開された米国の映画『アウトブレイク』は、エボラ出血熱ウイルスがモデルになっていると言われています。

 ここで、エボラウイルスについて簡単にまとめておきます。まず、エボラウイルスには5つのタイプがあります。一番毒性が強いのは「ザイールエボラウイルス」で、過去に何度かアフリカで”アウトブレイク”しています。1976年の流行時には致死率88%、2002年から2003年にかけての流行時は致死率89%を記録しています。

 2番目に毒性が強いのは「スーダンエボラウイルス」で致死率は25~65%。3番目は「ブンデブージョエボラウイルス、4番目が「コートジボワールエボラウイルス」、そして最も毒性が弱いのが、今回フィリピンでヒトへの感染が発覚した「レストンエボラウイルス」です。

 現在、レストンエボラウイルスに感染した5人には何も症状がなく、今後の経過観察は必要でしょうが、今のところ出血熱のような事態となる可能性は極めて低いようです。

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 以前フィリピンの野生ザルに、レストンエボラウイルスが感染して致死的な感染症を発症したという報告があります。今回発覚したヒトへの感染は現時点では問題なさそうですが、今後ウイルスが変異を起こしヒトからヒトへの感染や、致死的な症状を発症する可能性もないわけではありません。

 尚、現在の日本はフィリピンから豚肉を輸入していません。また、エボラウイルスは加熱ですぐに死滅しますから、フィリピンでも現時点では豚肉摂取を控える必要はなさそうです。

(谷口恭)

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2013年7月26日 金曜日

2009年2月8日(日) 大学入学前にはしか(麻疹)のワクチンを

 若年者のはしか(麻疹)流行がここ数年問題となっていますが、全国の主な大学の8割が、来年度の入学予定者に対し、入学前の感染予防対策を求めていることが日本小児科学会などの調査でわかりました。(報道は2月2日の読売新聞)

 この調査は昨年(2008年)、日本小児科学会、京都小児科医会、京都市学校医会が、一学年の定員が2,000人以上の総合大学と医学部のある全国の大学計112校に行い、93校から回答を得ています(回答率83%)。「入学前にはしか対策を行う」と答えた大学は72校(77%)で、そのうち、「予防接種を受けるよう指導する」大学は51校(55%)、「感染や予防接種歴の調査を行う」大学は41校(44%)となっています。

 接種指導などを「入学後に行う」とした20校(22%)を合わせると、ほとんどの大学が対策を予定していることになります。はしかの免疫があることを教育実習や病院・介護実習などの参加条件にする大学は48校(52%)との結果がでています。

 2007年、2008年と2年連続で、はしか流行のため休講措置を取った神戸大学では、来年度(2009年度)の入学者全員に対し、予防接種済み証明書か、抗体検査で免疫があることを証明する書類などの提出を義務づけることを決めています。

 はしかの予防接種は、以前は1回接種でしたが、予防効果が不十分なことから、2006年度から1歳と小学校入学前の2回接種に変更されています。1回接種しかしていない世代の若者に対し、国は2008年度から5年間に限って、高校3年生と中学1年生での追加接種を実施しています。厚生労働省によりますと、2008年9月末時点で、高3のはしかワクチンの接種率は48%と低迷しています。特に、東京、大阪、神奈川、埼玉、京都など都市部で低い傾向にあります。

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 以前もお伝えしましたが、当院でもはしかの抗体陽性率を調査したことがあります。結果は、全体で抗体陽性率は40.7%。年代別でみると、10代は約2割、20代は約4割、30代でも5割の人にしか抗体はできていませんでした。

 大人になってからはしかを発症するケースも増えています。大学に入学される方はもちろん、そうでない方もはしかの抗体検査は受けておいた方がいいでしょう。

(谷口恭)

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