医療ニュース

2013年8月11日 日曜日

2007年2月6日(火) 女性の飲酒はC型肝炎をより悪化させる

 C型肝炎のある人が大量に飲酒をすると肝硬変や肝臓ガンになりやすいということは、多くの医者が経験上気付いていることですが、女性ではその傾向がより顕著であるとの研究発表が米国でおこなわれました。

 「Clinical and Experimental Research」という医学誌の2007年2月号にこの研究が報告され、2月1日のロイターヘルスが報道していますのでご紹介いたします。

 この研究は2000年から2002年の間に米国のデータベース機関に登録された132,468人のC型肝炎ウイルス(HCV)を保有している人を対象におこなわれました。

 C型肝炎ウイルスに感染している女性で大量に飲酒をしない人の平均寿命が61.0歳だったのに対し、大量飲酒をする人は49.1歳でした。

 一方、C型肝炎ウイルスに感染している男性の間では、飲酒をする、しないで平均寿命にそれほど大きな差はなく、大量飲酒をしない人、する人の平均寿命はそれぞれ50.0歳、55.1歳という結果が出ました。

 この研究が強調しているのは、飲酒がC型肝炎ウイルスに影響を与えるということだけではなく、男女差があるということです。また、今後は人種ごとの差異や、HIVと重複感染している場合の研究をおこなう必要のあることが述べられています。

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 C型肝炎は米国よりもむしろ日本で問題になっている感染症です。割合では血液製剤や輸血によるものが多いのですが、最近では性感染やタトゥー、薬物の静脈注射によるものも増えてきています。感染に気付いていない人も含めると、日本では200万人もの人がこのウイルスを保有していると言われています。心当たりのある人は一度検査を受けるようにしましょう。

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2013年8月11日 日曜日

2007年2月7日(水) コレステロールの判断基準が変更

 日本動脈硬化学会は、2月3日福岡市で開かれた同学会の理事会で、コレステロールの判断基準を変更することを決定しました。

 従来、コレステロールの一般的な判断基準は「総コレステロール」で、およその上限は220mg/dL程度とされてきました。しかし、「総コレステロール」には、いわゆる「善玉コレステロール(HDL)」も含まれており、実際に心筋梗塞や脳梗塞などをおこしやすい「悪玉コレステロール(LDL)」で判断するべき、と変更されたというわけです。

 新しい判断基準は、「悪玉コレステロール(LDL)が140mg/dL以上」、です。(ただし、実際には、この140mg/dLという数字を絶対視するのではなく、年齢、性別、肥満度、高血圧の有無、喫煙の有無などを合わせて考えていく必要があります)

 今までコレステロールが高くて困っていたという人は、一度「悪玉コレステロール」の値を計ってみればいかがでしょうか。もしかすると、善玉コレステロールだけが高くて、心配する必要がないかもしれません。

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2013年8月11日 日曜日

2007年2月9日(金) ピロリ菌初感染は5万年以上前

 多くの胃潰瘍や胃がんにはヘリコバクター・ピロリ菌が関与していることが分かったのは比較的最近のことですが、この菌は5万年以上も前から人類を苦しめていたことが日米欧合同チームの研究で明らかとなりました。

 この共同チームは6年がかりで、世界51民族、769人の胃からピロリ菌を集め、菌の遺伝子の違いを分析しました。結果は科学誌「ネイチャー」の2月7日号で紹介されています。

 5万年以上前というと、人類がまだアフリカにとどまっていた頃であり、人類と同様、ピロリ菌も東アフリカを起源に進化(変化)してきたということになります。

 研究者のひとりは、「ピロリ菌は、人類史初期のアフリカ時代から人類を胃炎で悩まし、まるで遺伝のように受け継がれているらしいことが分かった。菌の感染経路や、国や地域によって胃がんの発生率が違う原因の解明などにもつながるはず」と述べているそうです。

 尚、ヘリコバクター・ピロリ菌は日本人の間で広く普及しており、2人に1人はこの菌を保有していると言われています。ピロリ菌を持って入れば必ず胃潰瘍や胃がんを発症するというわけではなく、生涯にわたり無症状の人が大半ですが、早期に除菌をおこなうべきとの考えもあります。

 最近は人間ドックでの検査も一般化してきました。すてらめいとクリニックでもヘリコバクター・ピロリ菌の検査目的で受診される方が増えてきています。

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2013年8月11日 日曜日

2007年2月10日(土) 普及しない後発医薬品

 最近はテレビコマーシャルもおこなわれており、「後発医薬品(ジェネリック薬品)」という言葉が随分浸透してきているように思われます。後発医薬品とは、特許の切れた先発医薬品と同じ主成分のものでつくられている安価な薬剤です。

 しかし、実際は、普及しているのは言葉だけで、処方はそれほどされていないことが厚生労働省の調査で明らかとなりました。

 2月8日の共同通信によりますと、医師が処方箋に「後発品への変更可」と記載しても、実際に薬局で後発品が出されるケースは、このうち5.7%しかないことが分かりました。

 調査対象となった549の全国の保険薬局では、合計969,365枚の処方せんのうち、「変更可」と医師が記載していたものが17.1%に相当する165,402枚で、実際に後発品が出されたのはわずか9,452枚だったそうです。さらに調査対象となった全国549薬局のうち、4割弱にあたる210の薬局では後発品への変更を一切していなかったことも分かりました。

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 すてらめいとクリニックでは、薬を処方する際に、クリニックでお渡しするか、院外処方とするかを患者さんに選択してもらっています。オープンしておよそ1ヶ月が過ぎますが院外処方を希望された方はひとりもおらず、全員がクリニックでの処方を望まれます。

 患者さんからみたときには、同じ薬をもらうにしても院外処方の方が高くつきますし、すてらめいとクリニックでは後発医薬品中心の処方をおこなっていますから、当然と言えば当然なのでしょうが、医薬分業の利点を考えると院外処方を希望される方が少しくらいはおられてもいいのではないかと思います。

 院外処方を希望する人がいないことと、今回の調査結果は関係があるのかもしれません。

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2013年8月11日 日曜日

2007年2月11日(日) アジア渡航者はデング熱にご用心

 デング熱という病気をご存知でしょうか。

 この感染症は主に東南アジアでよくあるもので、ネッタイシマカと呼ばれる蚊がデングウイルスを人から人に媒介することによって発症します。

 最近は、東南アジアの急速な都市化もあってなのか、デング熱が東南アジアで流行しています。2月9日のチャンネル・ニュース・エイジアによりますと(報道はバンコクポスト)、現在この感染症が急増しているそうです。

 このデング熱の大幅な減少に成功しているのがシンガポールです。シンガポールの2005年のデング熱罹患者は14,200人でしたが、昨年(2006年)は3,100人にまで減少しています。

 先週は、シンガポールでWHOの地域会議があり、シンガポールの公衆衛生学者が、「デング熱の対策は国ごとではなく東南アジア一体で取り組むべきだ。シンガポールはネッタイシマカの棲息地域を明らかにすることによってこの感染症の減少に成功している。今後はこの対策を東南アジア全体でおこなうことが必要である」、と述べました。

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 デング熱は感染してから数日から2週間くらいの間に、高熱、皮疹などが出現します。(ときに患者さんは急性HIV感染症を疑って医療機関を受診します)

 特別な治療法はなく、点滴と解熱薬のみで経過をみるのが標準的な治療です。感染者のなかには、いったん解熱してから体中から出血がおこり危険な状態になる場合があるので(これを「デング出血熱」と言います)、入院治療をおこなうのが原則です。

 日本にはネッタイシマカが棲息しておらず、感染者のほぼ全員がアジアの旅行から帰った後に発症しています。インドやネパールで発症したという話も聞きますが、私の経験で言えば、特に多いのが、サムイ島やプーケットといったタイのリゾート島です。

 デング熱はワクチンもなく、ときに致死的な状態になりますから、予防対策をしっかりとおこなわなければなりません。アジアのリゾート地に行くときは、蚊よけのクリームや蚊取り線香を忘れないようにしましょう。

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2013年8月11日 日曜日

2007年2月14日(水) HAM患者会が難病指定を求めるが・・・

 HAMという病気をご存知でしょうか。

 HAMの正式名称は「HTLV-1関連脊髄症」といいます。HTLV-1はウイルスの名前で、人の血液、母乳、精液などに含まれており、血液感染、母子感染、性感染などでヒトからヒトに感染します。

 HAMは発症すると、足のしびれや痛み、歩行障害、排尿障害などの症状が進行し、患者さんの多くは車イスや寝たきりの生活を強いられます。

 2月13日の共同通信に、このHAMの患者団体「アトムの会」を設立し、国に難病指定を求めている49歳の女性の声が報じられています。

 この女性は、輸血によってHTLV-1に感染し、33歳のときHAMと診断されたそうです。この女性は言います。

 「人生が突然裏返るような体験で若い人が苦しんでほしくない。難病に指定し、国が主導して治療法の研究を進めてほしい。原因が分かっていても治療法がなければ、患者の苦しみは同じ・・・」

 HAMは原因がウイルス感染であることが判っているために、国が指定する”難病”には該当しません。このため公費などの援助を受けることもできないのです。

 HTLV-1のキャリア(このウイルスを持っている人)は、日本全国で120万人と推定されています。HAMを発症するのは、キャリア10万人に対し年間3人の割合で、患者数は約1,500人と言われています。

 しかし、このウイルスをもっていると、HAMを発症しなくてもATL(成人型T細胞白血病)という白血病を発症することもあり、こちらも有効な治療法がありません。

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 HTLV-1に感染しているかどうかは血液検査で簡単に分かります。輸血、危険な性交渉(unprotected sex)などの経験のある方は一度調べてみてはいかがでしょうか。

参考:HTLV-1感染症

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2007年2月14日(水) インフルエンザ院内感染で死亡例も

 2月14日の読売新聞によりますと、東京都内の大学病院で、1月中旬から入院患者及び看護師の計21人がインフルエンザに集団感染し、2名の患者さんが亡くなっていたことが分かりました。

 死亡されたひとりについては、院内の感染対策指針で推奨されている治療薬(タミフルもしくはリレンザ)の予防投与がおこなわれていなかったそうです。

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 インフルエンザが高齢者や小児を襲うと、ときに致死的になることがあります。このため我々医療従事者は原則として流行前にワクチン接種をしますし、場合によっては薬剤の予防投与が検討されます。若い方でも、高齢者や小児と接する方は特に注意が必要です。

 すてらめいとクリニックでも、インフルエンザの予防と治療をおこなっています。気になる方はお気軽にお問い合わせください。

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2013年8月11日 日曜日

2007年2月17日(土) インドネシアでデング熱がアウトブレイク!

 すてらめいとクリニックは東梅田という都心部に位置しているからなのか、海外帰りという患者さんが少なくありません。C型肝炎やマラリア、HIVなどの感染症を心配して受診される方が目立ちますが、これらの感染症以上に罹患しやすいのが「デング熱」です。

 先日も東南アジアでデング熱が流行しているというニュースをお伝えしましたが(「アジア渡航者はデング熱にご用心」2007年2月11日)、インドネシアでは大流行(アウトブレイク)しています。

 インドネシア保健省によりますと、同国では今年に入ってからデング熱に罹患した人がすでに2万人を超え、307人が死亡しています。(報道は2月14日のバンコクポスト)

 被害が特に多いのがジャワ島西部で4,958人が罹患し86人が死亡しています。また首都のジャカルタでも2,970人が罹患し9人が死亡しています。

 同国保健大臣のSiti Fadilah Supari氏は、罹患者及び死亡者はまだ増加するとみています。これは、今月上旬のジャカルタを中心とした集中豪雨による水害が原因のようです。

 デング熱ウイルスを媒介するネッタイシマ蚊は、きれいな水に卵を産みます。危険なのは、廃棄タイヤ、植木鉢、ドラム缶などです。東南アジアに渡航する際には、そのようなものが置いてある場所に近づかないことが重要です。また、蚊よけクリームの外用も必要でしょう。

 尚、世界全体でみると、デング熱には毎年約5千万人が罹患しています。圧倒的多数を占める地域が東南アジアと西太平洋地区です。

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2007年2月20日(火) 電子カルテは非効率?

 2月19日のJapan Medicineによりますと、内閣官房のIT担当室の調査の結果、電子カルテの導入によって、現場の業務が「非効率化した」と感じている医師が「効率化した」と感じている医師よりも多いことが分かりました。

 この調査は昨年12月、医療機関(病院2000、診療所2000)、患者・被保険者(1000)、保険者(3571)、審査支払機関(94)、都道府県(47)を対象に実施されています。医師が電子カルテをなぜ非効率化したと感じているかは報道からはよく分かりませんが、患者・被保険者サイドからはITの恩恵を受けているとの実感が多いようです。診察の待ち時間についても、電子カルテ導入前は75.6分だったのが、導入後は55.3分へと短縮しています(それでも長すぎるように感じますが・・・)

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 すてらめいとクリニックでも電子カルテを導入していますが、患者さんの声で最も多いのが「診察室で料金が分かるので安心できる」というものです。種類にもよりますが、電子カルテがあれば、治療や検査の説明をおこなったその場で瞬時に料金を提示することができます。

 勤務医の頃は、検査や治療でいくらくらい必要なのかが漠然としか分かっていなかったのですが、クリニックで電子カルテを導入してからは料金の仕組みがよく分かるようになってきました。料金のことがよく分かるようになっただけでも、電子カルテを導入してよかったと、私自身は感じています。

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2013年8月11日 日曜日

2007年2月20日(火) 14歳少女の転落死はタミフルが原因か

 インフルエンザの特効薬のひとつにタミフルがあります。タミフルはインフルエンザに対し効果の高い薬ですが、飲んだ人が異常行動で死亡したり、突然死したりするなどの副作用を指摘する声が以前からありました。

 2004年には17歳少年がタミフル服用後にトラックに飛び込み死亡、2005年には14歳の男子中学生がマンション9階から転落死、2006年には12歳少年がマンションから転落死するなど、毎年のようにタミフルが原因の可能性のある事故が起こっています。2006年7月には名古屋市で、「タミフル被害者の会」も結成されています。

 製薬会社及び厚生労働省の調査では、これらの事故がタミフルの副作用に直接結びついているかどうかの判断は現時点ではついていません。しかし、タミフルの添付文書には、異常行動の警戒を促すような内容が含まれるようになりました。

 2月17日の毎日新聞によりますと、2月16日、愛知県の14歳の少女が自宅マンションの10階から転落死しました。少女が転落死する前にタミフルを1カプセル飲んでいたことが分かり、因果関係が示唆されています。

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 タミフルはインフルエンザに対し高い効果のある薬ですが、(乳幼児や高齢者を除けば)必ずしも飲まなければならないわけではありません。(つい最近まで、インフルエンザの薬などなかったのですから)

 タミフルは、異常行動との因果関係は現時点では判断されていませんが、日常の臨床でよく遭遇する副作用は、腹痛や吐き気・嘔吐などです。

 一方、インフルエンザのもうひとつの特効薬である「リレンザ」は吸入薬ですから上気道(主にのど)が重点的なターゲットになっています。全身に吸収される量はそれほど多くなく、飲み薬よりも気軽に使えるかもしれません。

 また、患者さんのなかには、クリニックにはインフルエンザの診断だけを目的に受診し、(タミフルやリレンザに頼らず)解熱剤と自然治癒力で治す、という人もおられます。

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