医療ニュース
2013年8月11日 日曜日
2007年1月23日(火) 世界のはしかの死者、6年間で6割減少
1月19日の共同通信によりますと、WHOが、「はしか(麻疹)による死者が世界全体で1999年の約87万3000人から2005年には約34万5000人に減少した」ことを発表しました。6年間でおよそ6割が減少したこととなり、WHOのチャン事務局長は「公衆衛生面での歴史的な勝利だ」と述べたそうです。
特にアフリカでの減少率が大きく、6年間でおよそ75%も減少しているようです。
「はしか封じ込めキャンペーン」は、WHO、国連児童基金(ユニセフ)、米国赤十字社などが連携して2001年に開始されました。アフリカなどの発展途上国を中心に、3億6000万人以上の子どもたちに予防接種を実施し、日本の国際協力機構(JICA)もキャンペーンに参加しています。
WHOは、キャンペーンは今後も世界中で継続し、はしかによる死者数を2010年に2000年の10%まで減らすことを新たな目標としています。国連は、2015年までに5歳未満の子どもの死亡率を1990年の3分の1に削減する「ミレニアム開発目標」を掲げていますが、「はしか封じ込めキャンペーン」がこの目標に貢献することが期待されています。
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はしかの予防接種は世界中で普及するようになってきており、いずれ撲滅する感染症であろうと言われています。先進国ではほとんどの人がワクチン接種をおこなっていますが、例外的にワクチン接種率の低い先進国があります。それは”日本”です。実際、日本人が世界にはしかを蔓延させていると言われることもあり、「日本ははしかの輸出国」と他の先進国からは非難されています。2006年には茨城県と千葉県で集団発生の報告もあります。
はしかは罹患してもほとんどが自然に治癒しますが、重症化することもあり、ときには命に関わる感染症となります。もしもあなたに就学前のお子さんがいるなら、早めにワクチン接種をおこないましょう。
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|2013年8月11日 日曜日
2007年1月24日(水) 関西テレビが納豆ダイエットを捏造
1月21日の毎日新聞によりますと、関西テレビは1月7日にフジテレビ系で全国放送したテレビ番組「発掘!あるある大辞典2」で、事実とは異なる内容が含まれていたことを発表しました。
関西テレビによりますと、被験者がやせたことを示すのに別人の写真を使用し、アメリカの大学教授の発言の日本語訳の一部を捏造し、被験者の一部の中性脂肪値を測定せずに正常値になったと言い、血中イソフラボン濃度やホルモン値のデータを捏造したそうです。
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このような事件は決して許されるべきではありません。私自身はその番組を見たことがありませんが、患者さんと話していると、テレビの影響を受けて(風変わりな)ダイエットをしていると話す人が少なくありません。
納豆は植物性のたんぱく質が効率よく摂れますから、とかく動物性たんぱく質の摂取に偏りがちな現代日本の食卓に取り入れることはすすめられます。骨粗しょう症の予防になることもよく知られています。また、現在注目されているイソフラボンが豊富に含まれているのも事実です。
しかし、摂りすぎには危険性もあります。納豆はビタミンKが他の食品に比べるとかなり豊富に含まれています。ビタミンKは血液が固まるときに必要ですから不足すると問題が起こります。しかしビタミンKを過剰に摂りすぎると、肝臓にも影響を与えるでしょうし、血液が逆に固まりやすくなってしまう可能性もあります。ビタミンKの過剰摂取は問題ないとする説もありますが、この手の学説はコロコロ変わりますから”過剰に”信じるのは考え物です。
もともとダイエットを気にする人は、メタボリックシンドロームや生活習慣病に罹患している、もしくはその予備軍であることが多いわけで、そのような人の血液が固まりやすくなると、かえって脳梗塞や心筋梗塞のリスクが上がってしまうことも予想されるわけです。
別のところでも述べましたが、ダイエットの王道は「バランスのとれた食事」と「運動」で、これらをないがしろにすればどんなすぐれたダイエット法も成功しないと考えるべきなのです。
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|2013年8月11日 日曜日
2007年1月25日(木) 国連が糖尿病対策強化を決議
国連が対策強化をおこなう疾病と言えば、結核、マラリア、HIVなどの感染症が有名ですが、先月の総会では糖尿病への対策強化が決議されました。感染症以外の疾患が特定の疾患対策で決議されたのは今回が初めてだそうです。
1月22日の毎日新聞によりますと、国連が発表した決議文で、糖尿病が「深刻な合併症を引き起こし、経済的負担も大きい慢性疾患」と位置づけられています。毎年11月14日は国連が定める「世界糖尿病デイ」となるそうです。
国際糖尿病連合(IDF)によりますと、現在の世界の糖尿病患者は現在2億4,600万人で、成人人口の5.9%を占めます。2025年までに3億8千万人に増加し、糖尿病とその合併症の医療費は3,025億ドル(約36兆円)を超えるとみられています。
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糖尿病は、私が子供のころはぜいたく病だと言われていましたが、最近は世界全体がぜいたくになってきたからなのか、もはや先進国のみの病気ではありません。実際、中国やタイでも糖尿病の患者さんが急増しています。
もちろん日本でも患者さんが増え続けています。2002年の厚生労働省の調査では、患者740万人、予備軍880万人と推計されています。
糖尿病は早期発見、早期治療が一番です。気になる人は検査を受けましょう。
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|2013年8月11日 日曜日
2007年1月28日(日) 人間の冬眠?遭難男性24日ぶりに生還
1月24日の毎日新聞によりますと、六甲山で遭難し24日ぶりに救出された男性が奇跡的に生還していたことが分かりました。
この男性は、昨年10月7日に六甲山のがけから転落し遭難しており、10月31日に発見されました。発見時の体温(直腸温)はわずか22度で、浅い呼吸と1分間に40-50程度の弱い心拍数が認められたそうです。その後搬送先の病院で一度は心停止に陥ったものの、院内の救命処置で一命をとりとめ、現在は後遺症もほとんどなく職場にも復帰しているそうです。
この男性は3週間以上もの間、食べ物はおろか水すら口にしておらず、なぜ生還できたのか現在の医学的常識では説明がつきません。
たしかに、「低体温療法」という治療法があり、脳の外傷などの際には用いられることがあります。これは、低体温下では脳細胞が死滅しにくくなるという理由に基づいていますが、内蔵の障害を起こしやすくなるという危険性が伴います。それに、低体温療法で推奨されている体温はせいぜい32から33度程度であり、22度などというのは常識的には考えられません。
この記事を報道した毎日新聞によりますと、一部の専門家は「冬眠」ではないかとみているそうです。
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|2013年8月11日 日曜日
2007年1月30日(火) 運動後の筋肉痛にはコーヒーを
以前、コーヒーが生活習慣病やがんの予防になるという話をしましたが、コーヒーには運動後の筋肉痛が緩和する可能性もあるようです。
「The Journal of Pain」という医学雑誌の2006年12月11日号によりますと、運動前にコーヒーを2杯飲むと、その後の筋肉痛を50%近く減らせることが新規の研究で示唆されたそうです。
研究者らは、「コーヒーの筋肉痛緩和効果はアスピリンのような鎮痛薬で一般にみられる鎮痛効果より高い」、とコメントしています。 しかしながら、日頃からコーヒーやカフェイン飲料を飲んでいる人には効果がないそうです。「カフェインが最も効きやすいのは普段カフェインを摂らない人や運動しない人」と述べられています。
ということは、普段はあまりカフェインを摂らない人が新たに運動を始めたような場合には、運動前にコーヒーを飲む価値がある、ということになります。
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コーヒーの様々な効能について世界中で多くの発表が相次いでいます。最近は、「身体によい」とする報告が多く、コーヒーは身近なものであるだけに注目度も高いと言えます。 しかしながら、どんなものでも”摂りすぎ”は逆効果であるということは肝に銘じておくべきでしょう。
参考:
はやりの病気 第30回 コーヒー摂取で心筋梗塞!?
はやりの病気 第22回 癌・糖尿病・高血圧の予防にコーヒーを!
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|2013年8月11日 日曜日
2007年1月31日(水) ALSのワクチン実用化の可能性
ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病をご存知でしょうか。
運動神経が侵され、感覚や知能ははっきりしたまま全身の筋肉が徐々に動かなくなり、進行すると食事や呼吸ができなくなります。重症化すると人工呼吸器が必要となることもありますが、現在のところ有効な治療法はありません。日本の認定患者は約7,300人で、イギリスの宇宙物理学者ホーキング博士が罹患していることでも有名です。
ALSの1割は遺伝性で、日本とカナダのグループがこの遺伝性のALSのワクチンの開発に取り組んでいます。マウスを使った実験では延命効果が認められ、この結果は米科学アカデミー紀要電子版に1月30日に発表され、同日の共同通信が報道しています。
研究グループによりますと、生後約11カ月でALSを発症し寿命が約13カ月のモデルマウスにワクチンとして使うと、使わないのと比べて寿命が約30日延びたそうです。研究グループは、「ヒトへの応用が可能で、早期治療が期待できる」としています。
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私はこれまでALSの患者さんを何人かみてきましたが、呼吸管理が大変で長期入院を強いられるか、自宅療養の場合でも家族が相当大変な負担を強いられます。今回開発に成功したワクチンは遺伝性のALSのみに有効とのことですが、これからもこの難病の治療法が相次いで開発されることに期待したいと思います。
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|2013年8月11日 日曜日
2007年2月3日(土) セレウス菌集団感染、病院は因果関係を否定せず
昨年(2006年)の春から夏にかけて、栃木県のある大学病院でセレウス菌の院内集団感染が起こりました。合計24人が感染し、そのうち2人が死亡、1人が失明しています。2月2日の共同通信によりますと、この集団感染に関して、大学病院は「感染と死亡との因果関係が否定できない」とし、遺族に謝罪をおこないました。
セレウス菌はそれほど強い毒性を持っていないため、通常は重症化することはありません。亡くなった2人は、もともと重い病気で免疫力が低下していたことがわかっています。今回のケースでは、大量のセレウス菌が患者さんの使っていたタオルやシーツから検出されており、これらを洗濯していたクリーニング業者の洗濯機が付着の原因とみられているようです。
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セレウス菌は経口感染をします。要するに食べ物に付着している菌を口の中に入れることによって感染するのです。ですから、クリーニング業者の洗濯機にセレウス菌が付着しているだけでなぜ集団感染したのかが、新聞記事からはよく分かりません。
参考までに、セレウス菌は下痢型と嘔吐型に分かれます。医学の教科書には下痢型が多いと書かれていることが多いのですが、日本では嘔吐型の方が多いと思います。原因の食べ物は、米、特に焼き飯が多いと思われます。ただ、ほとんどの場合は軽症ですので、下痢や嘔吐で外来を受診した患者さんのセレウス菌の検査は、集団感染を疑わない限りはおこないません。
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|2013年8月11日 日曜日
2007年2月6日(火) 女性の飲酒はC型肝炎をより悪化させる
C型肝炎のある人が大量に飲酒をすると肝硬変や肝臓ガンになりやすいということは、多くの医者が経験上気付いていることですが、女性ではその傾向がより顕著であるとの研究発表が米国でおこなわれました。
「Clinical and Experimental Research」という医学誌の2007年2月号にこの研究が報告され、2月1日のロイターヘルスが報道していますのでご紹介いたします。
この研究は2000年から2002年の間に米国のデータベース機関に登録された132,468人のC型肝炎ウイルス(HCV)を保有している人を対象におこなわれました。
C型肝炎ウイルスに感染している女性で大量に飲酒をしない人の平均寿命が61.0歳だったのに対し、大量飲酒をする人は49.1歳でした。
一方、C型肝炎ウイルスに感染している男性の間では、飲酒をする、しないで平均寿命にそれほど大きな差はなく、大量飲酒をしない人、する人の平均寿命はそれぞれ50.0歳、55.1歳という結果が出ました。
この研究が強調しているのは、飲酒がC型肝炎ウイルスに影響を与えるということだけではなく、男女差があるということです。また、今後は人種ごとの差異や、HIVと重複感染している場合の研究をおこなう必要のあることが述べられています。
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C型肝炎は米国よりもむしろ日本で問題になっている感染症です。割合では血液製剤や輸血によるものが多いのですが、最近では性感染やタトゥー、薬物の静脈注射によるものも増えてきています。感染に気付いていない人も含めると、日本では200万人もの人がこのウイルスを保有していると言われています。心当たりのある人は一度検査を受けるようにしましょう。
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|2013年8月11日 日曜日
2007年2月7日(水) コレステロールの判断基準が変更
日本動脈硬化学会は、2月3日福岡市で開かれた同学会の理事会で、コレステロールの判断基準を変更することを決定しました。
従来、コレステロールの一般的な判断基準は「総コレステロール」で、およその上限は220mg/dL程度とされてきました。しかし、「総コレステロール」には、いわゆる「善玉コレステロール(HDL)」も含まれており、実際に心筋梗塞や脳梗塞などをおこしやすい「悪玉コレステロール(LDL)」で判断するべき、と変更されたというわけです。
新しい判断基準は、「悪玉コレステロール(LDL)が140mg/dL以上」、です。(ただし、実際には、この140mg/dLという数字を絶対視するのではなく、年齢、性別、肥満度、高血圧の有無、喫煙の有無などを合わせて考えていく必要があります)
今までコレステロールが高くて困っていたという人は、一度「悪玉コレステロール」の値を計ってみればいかがでしょうか。もしかすると、善玉コレステロールだけが高くて、心配する必要がないかもしれません。
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|2013年8月11日 日曜日
2007年2月9日(金) ピロリ菌初感染は5万年以上前
多くの胃潰瘍や胃がんにはヘリコバクター・ピロリ菌が関与していることが分かったのは比較的最近のことですが、この菌は5万年以上も前から人類を苦しめていたことが日米欧合同チームの研究で明らかとなりました。
この共同チームは6年がかりで、世界51民族、769人の胃からピロリ菌を集め、菌の遺伝子の違いを分析しました。結果は科学誌「ネイチャー」の2月7日号で紹介されています。
5万年以上前というと、人類がまだアフリカにとどまっていた頃であり、人類と同様、ピロリ菌も東アフリカを起源に進化(変化)してきたということになります。
研究者のひとりは、「ピロリ菌は、人類史初期のアフリカ時代から人類を胃炎で悩まし、まるで遺伝のように受け継がれているらしいことが分かった。菌の感染経路や、国や地域によって胃がんの発生率が違う原因の解明などにもつながるはず」と述べているそうです。
尚、ヘリコバクター・ピロリ菌は日本人の間で広く普及しており、2人に1人はこの菌を保有していると言われています。ピロリ菌を持って入れば必ず胃潰瘍や胃がんを発症するというわけではなく、生涯にわたり無症状の人が大半ですが、早期に除菌をおこなうべきとの考えもあります。
最近は人間ドックでの検査も一般化してきました。すてらめいとクリニックでもヘリコバクター・ピロリ菌の検査目的で受診される方が増えてきています。
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