医療ニュース

2009年8月5日(水) 中国で肺ペスト、一帯を封鎖

 ペストという病気をご存知でしょうか。現代の日本にはない病気ですが(明治時代には報告があります)、致死率がおよそ5割、世界史の様々な場面で登場する恐ろしい感染症です。

 そのペストが、中国青海省海南チベット族自治州興海県で流行しつつあるようです。(現地新聞が伝えこれを8月4日の共同通信が報道しています)

 報道によりますと、この地区でペストが流行し、12人の感染が確認され、そのうち3人がすでに死亡しています。残りの感染者は隔離され、地元当局は一帯を封鎖して感染拡大防止に努めているようです。

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 肺ペストというのはペストのなかでも最重症型で、治療が遅れると致死率はほぼ100%です。

 私がペストという病気を大変不思議に感じているのは、世界史を変えるほどの大流行をみせたかと思うと、突然ぴたっとなくなることです。そして、時期をみて(?)再び流行するのです。

 例えば6世紀に東ローマで流行したかと思うと、いったんおとなしくし、およそ900年後の14世紀に突然猛威をふるいます。このときの死亡者は当時のヨーロッパの人口の3分の1から3分の2以上にもなると言われています。しかし、その後はぴたっと流行がやんで、17世紀になると再びイギリスで流行がみられました。

 ペスト菌はネズミの体内で生息し、ネズミを吸血したノミがヒトを刺すことによりヒトに感染します。ネズミの体内に潜んでいるペスト菌は、「そろそろヒトに流行させてやろうか・・・」、そんなたくらみを企てているのではないかと私は時々感じています。

(谷口恭)

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