医療ニュース
2010年4月30日(金) ビタミンB6、葉酸などで心血管疾患のリスク低下
最近、ビタミンB6の有用性の報告が相次いでいるように思えます。過去にも何度かお伝えしてきましたが(下記医療ニュース参照)、今回のニュースも心不全や心筋梗塞といった心血管のリスクが低下するという情報です。
この調査は大阪大学公衆衛生学教室が中心となってすすめられ、研究結果は医学誌『Stroke』の2010年4月15日号(オンライン版)で発表されています。(下記参照)
研究は、Japan Collaborative Cohort Study Groupと呼ばれる調査(1988~90年に実施)に参加し、食事調査票に答えた40~79歳の男性23,119例と女性35,611例が対象とされています。調査開始時点で心筋梗塞など冠動脈疾患やガンにかかったことがある人は除外されています。平均14年間の追跡期間中に、2,087例が心血管疾患により死亡しています。
その結果、男性では,ビタミンB6と葉酸の摂取量増加が心不全による死亡リスクの低下に関連していることが確認されました。一方、女性では脳卒中や心筋梗塞など冠動脈疾患といった心血管疾患による死亡リスク低下との関連が示されました。年齢やBMI、高血圧、糖尿病、さらに喫煙、飲酒などの因子を補正した後も同様の関連が認められたようです。
ビタミンB6や葉酸の摂取量が多いほど冠動脈疾患や脳卒中のリスクが低下することは欧米では以前から報告されているのですが、アジア人における有用性に関するデータはあまりないようなので、今回の調査結果は今後注目されることになるでしょう。
尚、ビタミンB12では、心血管疾患に対しての死亡リスクの明らかな低下は認められなかったそうです。
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今回の研究にもサプリメントの有用性については指摘がありません。以前、食事からビタミンB6の効果的な摂取をおこなうには、結局のところバランスのいい食事を心がけるのが最適というお話をしましたが、葉酸も同様です。野菜やフルーツに豊富に含まれているのが葉酸の特徴ですが、動物性の食品にも含まれています。詳しくは下記URLを参照してみてください。特に妊婦さんは葉酸摂取について積極的に検討されるべきでしょう。
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail652.html
ビタミンB6については、興味深いニュースがあります。広島大学大学院生物圏科学研究科が、広島県三原市名産のタコを使って、健康食品としてのタコの可能性を探る研究に取り組むことを発表しました。タコにはビタミンB6が豊富に含まれており、タコをマウスやラットに与える動物実験で効果を検証するそうです。将来的にタコ由来の健康食品が誕生するかもしれません。
上記の論文のタイトルは、「Dietary Folate and Vitamin B6 and
B12 Intake in Relation to Mortality From Cardiovascular Diseases.
Japan Collaborative Cohort Study」で、概要を下記のURLで読むことができます。
(谷口恭)
参考:医療ニュース
2010年4月3日「やはりビタミンB6は大腸ガン予防に有効か」
2008年6月1日「心疾患の予防にはビタミンB6」
2007年8月4日「大腸がんの予防、男性ビタミンB6、女性はコーヒー」
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