医療ニュース
2011年2月16日(水) 米国農務省のガイドラインでも厳しい塩分摂取
AHA(American Heart Association、米国心臓協会)が発表した行動勧告(call to action)では、1日あたりの塩分摂取は3.81グラム未満とされているという衝撃的なニュースを先日お伝えしましたが、今度は米国農務省(USDA)が「米国人の食生活ガイドライン(Dietary Guidelines for Americans 2010)」を発表しました(注1)。
そのガイドラインによりますと、1日あたりの塩分摂取量は5.84グラムとなっています(注2)。しかし、51歳以上の男女、すべての黒人、高血圧、糖尿病、慢性腎疾患を有しているすべての年齢の男女は3.81グラム未満とすべき、とされています。年齢、人種、現在のアメリカ人の高血圧などの有病率を勘案すると、全アメリカ人のおよそ半数が3.81グラム未満にしなければならないことになるそうです。
このガイドラインをざっと通して見てみると、野菜・果物をたくさんとりましょう、砂糖は避けましょう、脂肪の摂り過ぎに注意しましょう、といった常識的に考えて納得しやすいことばかりが書かれていますが、この塩分の厳しい上限値には驚かされます。
このガイドラインには現在の米国人の平均塩分摂取量が年齢・性別ごとに紹介されているのですが、例えば30代男性でみると、上限であるはずの5.84グラムのほぼ倍量を摂取していることがわかります。また、平均的な米国人は8.64グラム摂取しているとの記載もあります。
参考までに、日本の厚生労働省が定めている1日あたりの塩分摂取量は男性で9グラム、女性で7.5グラムです。また、日本高血圧学会など生活習慣病に関する学会の多くは6グラム未満を推奨しています。一方、日本人の実際の塩分摂取量は1日あたり11~12グラムと言われています。
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結局のところ、アメリカ人も日本人も推奨される塩分のラインを大きく超えて摂取しているのが実情であり、高い目標を掲げること自体は簡単ですが、目標に到達するにはかなりの努力が必要になります。
健康な食事の代表のように言われている和食は、「塩分」という観点でみればよほど注意して料理しない限りは不合格となります。漬物、味噌、醤油などを普通に摂れば、6グラムなどすぐに超えてしまいます。米国のガイドラインの3.81グラムなど、和食を食べるなら塩分控えめで体にいいとされているメニューを選んだとしても、おそらく1食だけで上限ギリギリくらいになってしまうはずです。
いったい我々は何を食べればいいのでしょうか・・・。
(谷口恭)
注1:このガイドラインは下記のURLで全文を読むことができます。
http://www.cnpp.usda.gov/Publications/DietaryGuidelines/2010/PolicyDoc/PolicyDoc.pdf
注2:原文では、ナトリウム2,300mgとなっています。ナトリウムと塩分の換算式は、ナトリウム量(ミリグラム)×2.54÷1000=食塩相当量(グラム)です。(この場合、2,300x2.54÷1,000=5.84となります)
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