医療ニュース
2011年6月15日(水) 糖尿病薬、アクトスに続きビクトーザも注意喚起
武田薬品の糖尿病治療薬「アクトス」などが、膀胱ガンのリスク上昇につながるという理由で、フランスでは新規処方がされなくなった、という情報を先日お伝えしましたが(下記医療ニュース参照)、ドイツでも同様の措置がとられることになったようです。
報道によりますと、ドイツで医薬品の認可を担当する行政当局は、フランスの決定を受けるようなかたちで、武田の独子会社に新規処方の停止を指示しています。同時に、現在服用中の人には「医師の相談なしに服薬をやめるべきではない」と通達したそうです。(報道は6月15日の日経新聞)
フランスとドイツが、実質「新規処方の禁止」をしたことになりますが、欧州の他国では現時点では発表がありません。6月20~23日に開催される欧州医薬品庁(EMA)の会議で検討されるそうです。
また、糖尿病の新薬として期待されていたノボノルディスクファーマ社の「ビクトーザ」(一般名はリラグルチド)が、米国で、一部の甲状腺ガンと急性膵炎のリスクになることが、同社米国法人とFDA(米国食品医薬品局)により注意喚起されています。
ビクトーザの甲状腺ガンと急性膵炎のリスクは以前から指摘されていたのですが、今回あらためて、同社とFDAは、ビクトーザについて「生活習慣の改善で十分な血糖コントロールが得られない糖尿病患者の第1選択薬として用いることを推奨しない」と米国内に呼びかけています。
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ノボノルディスクファーマ社とFDAがおこなった「ビクトーザ」の注意喚起は、フランスの「アクトス」新規処方中止の影響を受けたのかどうかは不明ですが、糖尿病を患っている人からみれば、今までにない期待の治療薬と言われていたもの2つが立て続けに注意喚起されたことは軽視できないでしょう。
武田薬品、仏当局、独当局は、現在アクトスなどを使用している人には「すぐに止めないで」と案内していますし、ビクトーザを自己注射している人が自己判断で中止するのは極めて危険です。まずは主治医に相談するようにしなければなりません。(当院でビクトーザを処方している人は現在いません。アクトスを処方している患者さんには次回の来院時に説明いたします)
(谷口恭)
注1: 武田薬品が発表している案内は下記を参照ください。
http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_info/file/kigyo_oshirase_201106_1_p.pdf
注2:「ビクトーザ」のノボノルディスクファーマ社とFDAによる注意喚起は下記を参照ください。尚、日本のノボノルディスクファーマ社は現時点(2011年6月15日)では、ウェブサイトに今回の件に関する案内を掲載していないようです。
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