医療ニュース
2011年7月10日(日) 手足口病がアウトブレイク
リンゴ病がアウトブレイクしているという情報はすでにお伝えしましたが、今年は手足口病も流行しており過去10年で発症者最多となっています。しかも重症例の報告も相次いでいます。
国立感染症研究所の発表によりますと、6月13日から19日までの1週間の小児科定点医療機関(全国に約3千ヶ所あります)当たりの患者報告数は2.60で、前の週の1.68を大きく上回っています。過去10年間の同時期で最も多かったは2001年の1.89ですから、今年は過去10年間で最も流行の年、ということになります。
地域ごとにみてみると、報告最多が佐賀で、以下、福岡、島根、岡山、香川、熊本と続き、西日本で顕著であることが分かります。
患者数急増には拍車がかかっているようで、7月7日には京都市で流行警報が発令されています。同市では、1995年以来16年ぶりの大流行だそうです。
今年の手足口病は例年と異なる重要な点が2つあります。
1つは、成人にも発症例が多いということです。手足口病といえば、子供の手足と口に発疹ができ喉が痛くなる夏風邪のひとつ、というのが多くの人のイメージだと思いますが、今年は20代の成人にも多発しています。
もうひとつは、重症例が多いというものです。皮疹も手と足だけでなく、殿部(おしり)や前腕、顔面などに広範囲に広がる症例も報告されています。さらに、爪の変形や、ひどい場合は爪が脱落する例の報告もあるそうです。
**************
手足口病が重症化すると、稀ではありますが、髄膜炎や心筋炎を起こすこともあり、こうなると命にかかわります。
手足口病の原因ウイルスは複数あり、日本ではコクサッキーA16とエンテ
ロウイルス71の2つが多いとされていますが、今年はコクサッキーA6が多く報告されているようです。しかし、原因となるウイルスが特定できたところで、そのウイルスを退治する方法があるわけではなく、治療は解熱剤や点滴といった対症療法が中心となります。
手足口病は、咳やくしゃみ、もしくは便を介して比較的簡単に感染します。潜伏期間は2~7日程度で、多くは1週間程度で治りますが、今年は感染予防対策を例年にも増してしっかりとおこなう必要があります。
(谷口恭)
最近のブログ記事
- 2024年11月22日 アメリカンフットボール経験者の3分の1以上がCTEを自覚、そして自殺
- 2024年11月17日 「座りっぱなし」をやめて立ってもメリットはわずか
- 2024年10月24日 ピロリ菌は酒さだけでなくざ瘡(ニキビ)の原因かも
- 2024年10月11日 幼少期に「貧しい地域に住む」か「引っ越し」がうつ病のリスク
- 2024年9月19日 忍耐力が強い人は長生きする
- 2024年9月8日 糖質摂取で認知症のリスクが増加
- 2024年8月29日 エムポックスよりも東部ウマ脳炎に警戒を
- 2024年8月4日 いびきをかけば認知症のリスクが低下?
- 2024年7月15日 感謝の気持ちで死亡リスク低下
- 2024年6月30日 マルチビタミンで死亡率上昇?
月別アーカイブ
- 2024年11月 (2)
- 2024年10月 (2)
- 2024年9月 (4)
- 2024年8月 (1)
- 2024年6月 (2)
- 2024年5月 (2)
- 2024年4月 (2)
- 2024年3月 (2)
- 2024年2月 (3)
- 2024年1月 (1)
- 2023年12月 (2)
- 2023年11月 (2)
- 2023年10月 (2)
- 2023年9月 (2)
- 2023年8月 (1)
- 2023年7月 (3)
- 2023年6月 (2)
- 2023年5月 (2)
- 2023年4月 (2)
- 2023年3月 (2)
- 2023年2月 (2)
- 2023年1月 (2)
- 2022年12月 (2)
- 2022年11月 (2)
- 2022年10月 (2)
- 2022年9月 (2)
- 2022年8月 (2)
- 2022年7月 (2)
- 2022年6月 (2)
- 2022年5月 (2)
- 2022年4月 (2)
- 2022年3月 (2)
- 2022年2月 (2)
- 2022年1月 (2)
- 2021年12月 (2)
- 2021年11月 (2)
- 2021年10月 (2)
- 2021年9月 (2)
- 2021年8月 (2)
- 2021年7月 (2)
- 2021年6月 (2)
- 2021年5月 (2)
- 2021年4月 (4)
- 2021年3月 (2)
- 2021年1月 (2)
- 2020年12月 (3)
- 2020年11月 (3)
- 2020年9月 (2)
- 2020年8月 (2)
- 2020年7月 (1)
- 2020年1月 (2)
- 2019年12月 (2)
- 2019年11月 (2)
- 2019年10月 (2)
- 2019年9月 (2)
- 2019年8月 (2)
- 2019年7月 (2)
- 2019年6月 (2)
- 2019年5月 (2)
- 2019年4月 (2)
- 2019年3月 (2)
- 2019年2月 (2)
- 2019年1月 (2)
- 2018年12月 (2)
- 2018年11月 (2)
- 2018年10月 (1)
- 2018年9月 (2)
- 2018年8月 (1)
- 2018年7月 (2)
- 2018年6月 (2)
- 2018年5月 (4)
- 2018年4月 (3)
- 2018年3月 (4)
- 2018年2月 (5)
- 2018年1月 (3)
- 2017年12月 (2)
- 2017年11月 (2)
- 2017年10月 (4)
- 2017年9月 (4)
- 2017年8月 (4)
- 2017年7月 (4)
- 2017年6月 (4)
- 2017年5月 (4)
- 2017年4月 (4)
- 2017年3月 (4)
- 2017年2月 (1)
- 2017年1月 (4)
- 2016年12月 (4)
- 2016年11月 (5)
- 2016年10月 (3)
- 2016年9月 (5)
- 2016年8月 (3)
- 2016年7月 (4)
- 2016年6月 (4)
- 2016年5月 (4)
- 2016年4月 (4)
- 2016年3月 (5)
- 2016年2月 (3)
- 2016年1月 (4)
- 2015年12月 (4)
- 2015年11月 (4)
- 2015年10月 (4)
- 2015年9月 (4)
- 2015年8月 (4)
- 2015年7月 (4)
- 2015年6月 (4)
- 2015年5月 (4)
- 2015年4月 (4)
- 2015年3月 (4)
- 2015年2月 (4)
- 2015年1月 (4)
- 2014年12月 (4)
- 2014年11月 (4)
- 2014年10月 (4)
- 2014年9月 (4)
- 2014年8月 (4)
- 2014年7月 (4)
- 2014年6月 (4)
- 2014年5月 (4)
- 2014年4月 (4)
- 2014年3月 (4)
- 2014年2月 (4)
- 2014年1月 (4)
- 2013年12月 (3)
- 2013年11月 (4)
- 2013年10月 (4)
- 2013年9月 (4)
- 2013年8月 (172)
- 2013年7月 (408)
- 2013年6月 (84)