医療ニュース
2011年10月24日(月) 夫婦の子供の数が初の2人未満に
夫婦が生涯に持つ子どもの平均人数が、2010年の調査で1.96人に・・・。
このような結果が、10月21日、国立社会保障人口問題研究所の「出生動向基本調査」で明らかになりました。
この調査は、同研究所が1940年から5年毎におこなっているもので、2010年が14回目となるそうです。妻の年齢が50歳未満の夫婦約9千組に調査票を配り、初婚同士の6,705組が集計されています。
1940年には子供の数が4.27人、50年代に入り3人台となり、60年代で2人台となったそうです。その後2人台は維持しており、2005年では2.09人でしたが、ついに2010年の調査で2人を下回ったということになります。
この調査では実際の子供の数だけでなく、アンケートもおこなわれています。
すべての夫婦に尋ねた「理想的な子どもの数」の平均は2.42人(2005年は2.48人)、「実際に持つつもりの子どもの数」が2.07人(2005年は2.11人)で、いずれも過去最低を記録しているそうです。
「実際に産むつもりの子どもの数が理想を下回る」と答えた夫婦はおよそ3割で、その理由(複数回答)を尋ねると「子育てや教育にお金がかかりすぎる」が60.4%と最多ではありますが、これは前回より5.5ポイント減少しているそうです。次いで「高年齢で産むのがいやだから」が35.1%ですがこれも前回より2.9ポイントの減少となっています。一方、前回よりも3ポイント増えているのが、「欲しいけれどもできない」で19.3%となっています。
全体で「不妊を心配したことがある(または現在心配している)」が5.3ポイント増加して31.1%にも昇っています。さらに、実際に不妊治療中、または治療したことがあると回答した夫婦も3ポイント増加で16.4%となるそうです。
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毎年厚生労働省から発表される子供の数は、合計特殊出生率といって1人の女性が生涯に産むと推定される子供の数を示しています。(2010年は1.39人でした) 合計特殊出生率は、結婚していない女性も含まれてしまいますが、上記の国立社会保障人口問題研究所のデータは結婚した女性だけを対象としていますから、子供を求めている女性の実態の数字に近いかもしれません。(しかし、結婚せずに子供を持つ女性もいますし、子供はいらないと考えている夫婦がいることも忘れてはいけません)
今回の発表で特筆すべきことは、「不妊症が増えている」ということではないでしょうか。出生率低下の話題になると、きまって「(社会が悪いから)子育てできる環境がないからだ」とか、「(景気が悪いから)教育費がかけられないからだ」という議論がでてきますが、そのような理由を挙げる夫婦はむしろ減ってきており、不妊を心配し、実際に治療をしている夫婦が増えているということがもっと注目されるべきで、なぜそのようなことが生じているかを分析していくことが重要だと思います。
参考:医療ニュース2011年6月3日 「出生率上昇、人口減12万人、自殺3万人以下に」
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