医療ニュース
2024年9月19日 忍耐力が強い人は長生きする
困難にぶつかったときそれに耐えて乗り越えることができる人は長生きする、という研究が発表されました。医学誌「BMJ Mental Health」2024年9月3日号に掲載された論文「健康と退職に関する研究における心理的回復力と全死亡率の関連性(Association between psychological resilience and all-cause mortality in the Health and Retirement Study)」です。
研究の対象者は米国で実施された「The Health and Retirement Study」という調査に2006年から2008年に協力した50歳以上の10,569人(平均年齢66.95歳、58.84%が女性)で、死亡のデータは2021年5月までの記録が使われています。調査期間中に合計3,489人が死亡しています。
対象者には、忍耐力(perseverance)、落ち着き(calmness)、目的の自覚(a sense of purpose、自立心(self-reliance and the recognition that certain experiences must be faced alone)などの性格を測定する尺度を用いて「忍耐力のスコア」がつけられました。スコアが最も低い(忍耐力がもっとも低い)グループはQ1、最も高いグループはQ4とされ、対象者は4つのグループに分類されました。
グループごとに死亡率を解析すると、Q1に比べて、Q2は追跡期間の12.3年間で死亡率区が20.2%減少、Q3、Q4はそれぞれ26.8%、38.1%減少していました。10年生存率でみると、Q1~Q4のそれぞれは、61.0%、71.9%、77.7%、83.9%と「忍耐力が強いほど生存率が高い」という結果になりました。Q4はQ1に比べて死亡リスクが53%低いことを示しています。この関連性は、性別、人種、BMIなどの特性を調整した後でも統計的に有意でした。
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私が研修医の頃にはまったく気づきませんでしたが、医師として長い間大勢の患者さんを診ていると、たしかに忍耐力が強い人は健康な印象があります。高校の同級生で例えていえば、真面目でコツコツと何にでも取り組み決して楽をしようとしないタイプです。
めったに休まず、遅刻は絶対にせず、宿題をきちんと提出し、苦悩に遭遇しても嫌な顔ひとつせずに決してその苦役から逃げ出さないようなタイプです。こういうタイプの人は高齢になってからも太らず、規則正しい生活を続けています。
と考えると、1限目の授業には顔を出さず、学校をさぼって親が呼び出され、宿題をした記憶がほとんどない私のような人間は早死にすることになりそうです。
しかし私の場合、大人になってからいつの間にか忍耐力が出てきたような気がします(そのつもりになっているだけかもしれませんが)。(自分で言うのもなんですが)困難に遭遇しても(まあ、たいした困難ではありませんが)それを困難と感じないようになってきました。こんな私は長生きできるのでしょうか。できたとしてもできなかったとしてもこの年齢になればこれからも忍耐力を維持するしかありません。
では私に忍耐力がついてきた(つもりな)のはなぜか。たぶん、高校卒業以降の経験です。様々な人との出会いがあり、私の精神は鍛えられてきたのだと思います。そして様々な苦悩(といってもたいしたものではないのですが)を通して「人生は耐え忍ばねばならない」という”真実”を知りました。
もしもこんな私が長生きできたとすれば、「忍耐力は成人してからも身につく」を誰かに研究で示してほしいな、と妄想しています。
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