医療ニュース
2022年3月20日 ADHDには濃いコーヒーが有効かも
「発達障害ブーム」あるいは「発達障害バブル」と呼んでもいいかもしれませんが、患者さんから「私は発達障害でしょうか」という訴えを10年ほど前からよく聞くようになり、一向に減りません。発達障害の分類については、いろいろと変更があったり、医療の範疇を離れた考えが世間で大きく広がったりして、いまだまとまっているとは言えませんが、「ADHD型とアスペルガー型がある」と考えている人が多いような印象があります。
そのADHD(注意欠陥多動性障害)にカフェインが有効かもしれない、という研究を紹介したいと思います。
医学誌「Nutrients」2022年2月号に掲載された論文「カフェインによるADHDの治療:動物研究の系統的レビュー (Effects of Caffeine Consumption on Attention Deficit Hyperactivity Disorder (ADHD) Treatment: A Systematic Review of Animal Studies)」に掲載された研究です。
論文のタイトルからわかるように、この研究は動物実験を対象としています。ですが、これまで発表された複数の研究をまとめなおした系統的レビューですから、エビデンスのレベルはまったく低いわけではありません。
結果は、カフェイン摂取により、注意力が上昇し、学習、記憶、嗅覚の識別が向上することが分かりました。しかも血圧も体重も変化していませんでした。また、この結果は神経学的に理にかなったものです。
ただし、多動性と衝動性に関するカフェインの効果は一定していません(つまり、有効とする研究と無効とする研究があるという意味です)。
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動物実験レベルの研究をそのまま鵜呑みにするわけにはいきませんが、適量で度を越さなければADHDの人(または疑っている人)がカフェインを試すのはいいかもしれません。そもそも、ADHDにはメチルフェニデートが有効であることが分かっていますから、似たような作用のあるカフェインが有効なのは頷けます。
メチルフェニデートは覚醒剤類似物質で、商品名で言えばコンサータが該当します。連日内服すれば依存症にもなり得る危険な薬で安易に服用すべきではありません。また、メチルフェニデート以外のADHDの薬も長期服用は危険性が伴うと考えた方がいいでしょう。
カフェインも大量摂取は危険であり依存性もありますが、自制の効かないものではありません。そういう意味では、今後カフェインがADHDに対する比較的安全で長期使用が可能な”薬”となるかもしれません。
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