医療ニュース
2017年4月3日 グルテンフリー食は糖尿病のリスク?!
過去のコラム(「はやりの病気」第158回(2016年10月)「「コムギ/グルテン過敏症」という病は存在するか」)で紹介したように、太融寺町谷口医院(以下「谷口医院」)には、コムギ/グルテンフリー食を実践している患者さんが少なくありません。
医学的根拠はないものの「コムギ/グルテン過敏症」が存在する可能性は否定できず、私自身はこの疾患の存在を100%の確証を持って肯定しているわけではありませんが、実践して調子がいい、という患者さんは応援するようにしています。
その理由のひとつが、コムギ/グルテンを除去することで糖質摂取が制限され、また、米は食べていますから、適度な「糖質制限」ができるからです。「糖質制限」についても私自身は「完全肯定」しているわけではありませんが、経過観察を続けながらやり過ぎないように実践する分にはかまわないと考えています。
ですから、適度なコムギ/グルテンフリー食は糖尿病や肥満の予防になるのではないかと考えていました。ところが、です。「グルテンフリー食にすると糖尿病のリスクが上昇する」という研究が最近報告されました。米国心臓協会(American Heart Association)がウェブサイトで報告(注1)しています。
研究は、医療従事者を対象とした3件(NHS (Nurses’Health Study), NHSⅡ(Nurses’Health StudyⅡ), HSPS(Health Professionals Follow-up Study))の疫学調査のデータ合計199,794人分を解析することによりおこなわれています。結果、グルテン摂取量が最も多い上位20%のグループは、最も少ないグループ(4グラム/日未満)に比べて、糖尿病のリスクが13%低下していたのです。
なぜ、グルテンフリー食は糖尿病のリスクを上昇させるのか。研究者らは「食物繊維」が要因のひとつと考えています。つまり、グルテンを含む食品には食物繊維が豊富に含まれており、これが糖尿病の予防になるのではないかという考えです。さらに、研究者らは、グルテンフリー食はビタミンやミネラルといった微量元素が不足する可能性についても言及しています。
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食物繊維をしっかり摂れば肥満や糖尿病のリスクを軽減できることが最近よく指摘されます。そして、食物繊維というのは量をある程度摂らねばならないことから、食品から取り出してサプリメントや健康食品をつくることが困難です。しかも、食物繊維には様々な種類があります。結局、効果的に食物繊維を摂取するには「バランスの良い食事をする」のが最も現実的です。
この研究は米国人を対象としています。日本食の場合、野菜、海藻、いも類、あるいは玄米などから食物繊維を摂取することができます。本文でも述べたように、私自身はグルテンフリー食を否定も肯定もしていませんが、日本食をバランスよく摂取するのであれば、この報告に影響を受けてやめる必要はないと考えています。
注1:このレポートのタイトルは「Low gluten diets may be associated with higher risk of type 2 diabetes」で、下記URLで読むことができます。
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