医療ニュース

2014年1月27日 デング熱は本当に日本で感染したのか

  2014年1月10日、厚生労働省は「日本国内でデング熱ウイルスに感染した可能性のある症例」について発表をおこないました(注1)。

 同省によりますと、この症例はドイツ人で、2013年8月下旬に日本を周遊したときにデング熱ウイルスに感染しドイツ帰国後に発熱や発疹などの症状を発症したと考えられているそうです。調査はドイツのロベルト・コッホ研究所でおこなわれたとのことです。同研究所からの情報提供を受けて、厚生労働省が検討したところ、日本での感染が否定できないという結論となったそうです。

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 日本にいた時期がはっきりしているわけですから、このドイツ人が日本のどこを訪問して、ということはある程度細部にわたるまで把握できるはずです。私は、厚労省のこの1月10日の発表に次いで、例えば、どこの県のどの地域での感染の可能性があるのか、といった情報が出てくるとみていたのですが、1月27日の時点でまだ情報提供がありません。

 今は冬で蚊がいませんから余裕がありますが、蚊が登場する季節までにはもっと正確な情報提供をしてもらわなければなりません。場合によってはその地域では外出するときに必ず虫除けスプレーを露出部に使用する、といった対策が必要になるかもしれません。

 デング熱はネッタイシマカもしくはヒトスジシマカが人を刺したときに蚊の体内にいたデング熱ウイルスが侵入してくることで感染が起こります。日本では太平洋戦争中に現地から人と一緒に船に乗ってやってきた蚊による流行が起こったとされていますが、それ以降国内での感染はないはずです。しかし、海外で感染して日本帰国後に発症というケースが年間100-200例あります。

 今後の厚労省の発表に注目したいと思います。

(谷口恭)

注1:厚労省のこの発表については下記URLを参照ください。
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dl/20140110-01.pdf

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