医療ニュース

2012年5月1日(火) ついにポリオ不活化ワクチン導入へ

 ようやくポリオウイルスの不活化ワクチンが全国どこでも接種できることになりそうです。4月23日に開かれた厚労省の検討会議で決定されました。実施は、2012年9月1日からとなる見込みです。

 生ワクチンは2回接種が基本ですが、不活化ワクチンの場合は4回接種となります。すでに生ワクチンを1回接種している場合は、不活化ワクチンを3回接種することになると思われます。費用については、予防接種法に基づくことになりますから、不活化ワクチンも生ワクチンと同様、乳児は公費負担で無料となります。

 厚労省は、ワクチンの製造者であるサノフィパスツール社のポリオ単独の不活化ワクチンを近日中に正式に承認するそうです。

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 これまで厚労省は(なぜか)単独の不活化ワクチンに消極的で、(なぜか)4種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風の3種混合ワクチンに不活化ポリオを加えたもの)の開発にこだわっていたのですが、ここにきて方向転換したようで、これは評価されるべきだと思われます。(遅すぎる、という声もありますが・・)

 ポリオウイルスは、日本国内には存在しないとされており、海外でもほとんど絶滅寸前ではあります。しかしながら、(2010年の時点では)インド、パキスタン、アフガニスタン、ナイジェリアの4ヶ国で報告があり、2011年7月には中国で4例の発症がありました。こういったことを考えると、やはりすべての乳児がワクチン接種しておくべきですし、成人の場合もこういった地域に渡航する人は接種すべきでしょう。成人の場合は、生ワクチンでも問題ないとされていますが、海外では不活化ワクチンが標準的ですから、今後成人への接種も不活化ワクチンが主となることが予想されます。

(谷口恭)

参考:はやりの病気第100回(2011年12月)「不活化ポリオワクチンの行方」

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