医療ニュース

2010年3月31日(水) 大阪府、少なくない危険な「飛び込み出産」

 「飛び込み出産」とは、妊婦検診をほとんど受けずに、出産直前になり妊婦さんが医療機関に飛び込んでくる出産のことを言います。大阪府では、2009年1年間に152件もの「飛び込み出産」があったことが、大阪府と府産婦人科医会の調査で分かり、3月27日の読売新聞が報道しています。

 報道によりますと、152件のうち約7割に相当する105件が、早産や仮死状態で赤ちゃんが産まれる「ハイリスク出産」に相当したそうです。46件(30%)は赤ちゃんがNICU(新生児集中治療室)に入れられることになり、これは通常分娩のおよそ10倍にも相当します。体重2,500グラム未満の低体重時は40件(26%)、死産も3件あったようです。また、なかには母親が薬物に汚染されており、薬物中毒の状態で産まれた赤ちゃんもいたそうです。

 妊婦検診を受けなかった理由については、約3割が「お金がない」と答えています。他には、「妊娠に気づかず」「多忙」「複雑な家庭事情」などが続いています。

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 年別の統計データが(私の手元に)ないのではっきりしたことは言えませんが、このような危険な飛び込み出産は年々増えているのではないでしょうか。太融寺町谷口医院にも、おなかが痛い、おなかがはる、などという理由で受診され、「すでに妊娠後期、しかし患者さんは妊娠にまったく気づいていない」という症例がときどきありますし、「お金がないから受診ができない」というのは、妊婦さんに限らず若い男女では珍しくありません。

 言うまでもなく妊娠・出産というのは妊婦さんひとりでおこなうことができず、家族、親族、地域社会、行政などの協力が必要です。飛び込み出産と聞くと、「無責任な母親が・・・」という議論になりがちですが、安心して子供を妊娠・出産できる環境がつくれるように、ひとりひとりに何ができるかを考えるべきでしょう。

(谷口恭)

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