医療ニュース

2010年4月2日(金) 睡眠障害の自殺リスクは28倍

 睡眠障害がある人が自殺する危険性は、ない人に比べて28倍も上昇する!

 これは、厚生労働省の研究班が調査した結果で3月18日の読売新聞などが報道しています。

 報道によりますと、調査は、2007年12月から2009年12月に自殺をした76人(年齢は15歳~78歳)の生前の様子について、遺族から聞き取り調査を実施し、対象者(一般人)145人と比較しています。

 その結果、睡眠障害があれば28倍も自殺のリスクが上昇するという結果がでたそうです。睡眠障害以外のリスクとしては、「飲酒行動に問題がある人」が3倍、「うつ病などの気分障害」が6倍、「死に関する発言」が4倍、などとなっています。

 この調査に対するマスコミの報道は毎日新聞もおこなっていますが(3月17日)、同紙では、自殺者の半数が医師から処方された向精神薬を過量摂取していたことに注目しています。自殺予防のためには、処方薬の乱用を防ぐこと及び医師の質の向上も必要というわけです。

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 読売新聞の記事を読むと、一度でも睡眠薬を使ったことがある人は不安に思われるかもしれません。しかし、これは睡眠障害があるから自殺のリスク、ではなく、自殺のリスクがある人には睡眠障害が伴いやすい、という可能性もあるわけです。

 しかしいずれにしても、睡眠障害を抱えている人が周りにいるという人は注意すべきかもしれません。同時に、毎日新聞の主張のように、我々医師がもっと自殺に注意すべきでしょう。私の診察室にも、毎日のように「眠れなくて・・・」という人が来られますが、全員に充分な時間をとって自殺のリスクを検討できているかどうか・・・。私にも反省すべき点がありそうです。

(谷口恭)

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