医療ニュース

2010年4月30日(金) リポ酸で低血糖症、重症例も

 α(アルファ)リポ酸という物質をご存知でしょうか。体脂肪を減らしダイエットに効果があり、さらに老化防止に効果があるなどと謳われ、数年前より健康食品として市場に出回っています。

 このαリポ酸が原因で、動悸や震えなどを引き起こす「自発性低血糖」が相次いで報告されています。

 「自発性低血糖」とは、血糖値を下げる薬を使っているわけではないのに低血糖になる病態のことを言い、症状としては動悸や手の震えなどが出現します。重症化すると、意識を失い昏睡状態となります。

 厚生労働省の調査によりますと、全国の主要病院207施設で、2007年から3年間に自発性低血糖と診断された患者187人のうち、サプリメントとの関連が報告されたのは19人で、そのうち17人がαリポ酸だったそうです。摂取した量や期間は不明ですが、服用を始めてから1~2ヶ月で震えや動悸などの症状が出現し、受診するケースが多いとのことです。

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 なぜαリポ酸で自発性低血糖が発症するのかについては少しむつかしいのですが、かみくだいて説明したいと思います。

 まず、物質を分子レベルでみたときに「SH基」と呼ばれる構造をもったものが薬やサプリメントには存在し、αリポ酸にもSH基があります。そして、ある特定の白血球を持っている人が(これはおそらく遺伝的に決まっています)、このSH基を含む物質を服用すると血糖値が大きく下がるのです。この特定の白血球を持っている日本人は全体のおよそ8%程度であることが分かっています。

 そんな危険性のあるSH基を持っている物質をサプリメントにしてもいいのか、と感じる方もいるでしょう。実際、αリポ酸は、以前は医薬品の扱いでしたが、2004年の基準改正でサプリメントとして販売されることになったのです。

 αリポ酸について及び自発性低血糖について詳しいことを知りたい方は下記URLを参照ください。「α-リポ酸の安全性・有効性情報」として国立健康・栄養研究所が情報提供をしています。

http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail471.html

(谷口恭)

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