医療ニュース

2010年9月6日(月) やはり悪玉コレステロールが高い方が長生き!?

 医療ニュース2010年7月14日「悪玉コレステロールが高い方が長生き!?」で、悪玉コレステロール(以下LDLコレステロール)が高い方が長生きするという研究があり、9月に日本脂質栄養学会で発表されると読売新聞が報道した、ということを紹介しました。

 その学会は9月3日、4日に愛知県犬山市で開催されました。学会開催を受けて、読売新聞は再度この研究についての報道をし、さらに毎日新聞も同様の報道をおこないました。

 9月3日の毎日新聞(オンライン版)によりますと、日本脂質栄養学会の浜崎智仁教授らは、男性ではLDLコレステロール値が79mg/dL以下の人より、100~159mg/dLの人の方が死亡率が低く、女性ではどのレベルでもほとんど差がないとの結果を発表したそうです。

 日本脂質栄養学会は昨年、浜崎教授を委員長に『長寿のためのコレステロールガイドライン策定委員会』という委員会を設置しています。そのガイドラインに「特別な場合を除き、動脈硬化性疾患予防に(コレステロール値)低下目的の投薬は不適切」という内容を盛り込むことを検討しているそうです。

 毎日新聞によりますと、浜崎教授は、「日本でコレステロール値を下げる薬の売り上げは年間約2,500億円。関連医療費も含めると7,500億円を上回る。この中には多額の税金も投入されており、無駄と思われる投薬はなくすべきだ」と話しているそうです。

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 報道を読むと、コレステロールの上限は撤廃してもよい、というような印象を受けますが、本当に正しいのでしょうか。以前にも述べましたが、LDLコレステロールがメタボリックシンドロームの診断基準に入れられていないのは、LDLコレステロールはそれ自体が高いだけで動脈硬化を引き起こし虚血性心疾患や脳卒中のリスクになるからです。(そして、我々はこれを”自明”と考えていました)

 本当にコレステロールを下げる必要はないのでしょうか。たとえ肥満があっても喫煙していてもLDLコレステロールが高い人に投薬の必要はないと考えていいのでしょうか。それから、日本脂質栄養学会以外の高脂血症に関連する学会ではどのように考えているのでしょうか。

 さらなる報告を待ちたいと思います。

参考:医療ニュース2010年7月14日 「悪玉コレステロールが高い方が長生き!?」

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