医療ニュース

2011年8月29日(月) タバコの危険性は男性より女性

 タバコを吸う女性が心臓発作を起こすリスクは25%高く、肺ガンのリスクは2倍・・・。

 これはアメリカでおこなわれたいくつかの研究をまとめたもので、医学誌『Lancet』2011年8月11日号(オンライン版)に掲載されています(注)。

 この調査では、喫煙者と非喫煙者の心疾患リスクを検討した過去研究のデータを収集し、メタアナリシスと呼ばれる分析方法を用いてすべてのデータを検討し直しています。対象者は合計3,912,809人で、そのうち心疾患を有していたのが約67,000人となっています。男女差を検討すると、喫煙する女性は男性に比べて心臓発作を起こすリスクが25%高いことが判明したそうです。女性の喫煙期間が1年延長するごとに、同じ期間喫煙する男性に比べてリスクが2%増大するという結果もでたそうです。

 また、喫煙女性では肺ガンによる死亡リスクが男性の2倍にもなることも明らかになったそうです。

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 同じタバコでも女性の方が不利・・・、と言われると不平等のような気もしますが、大規模調査でこれだけはっきりとした結果がでているのですから、男女間の生理学的な差異が原因となっていると考えるべきでしょう。

 もちろんこの結果は、男性は喫煙してもOK、というものではありません。ここ数年間は世界規模で禁煙運動が盛んになり、その反動からか、愛煙家の権利を奪うな、という意見も散見されますが、私自身としては医師としても元愛煙家としても、すべての人に禁煙をすすめたい、と考えています。

(谷口恭)

注:この論文のタイトルは、「Cigarette smoking as a risk factor for coronary heart disease in women
compared with men: a systematic review and meta-analysis of prospective cohort studies」で下記のURLで概要を読むことができます。

http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2811%2960781-2/abstract

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