医療ニュース

2012年7月30日(月) 運動不足解消で11ヶ月寿命が延びる!

 健康のために運動しましょう、というのは聞き飽きた言葉で、言われたときには「わかっとるわい!」と言い返したくなりますが、では、運動すればどれだけ健康になれるのか、という問いに数字を使って答えるのはなかなか困難です。

 日本人は運動不足を解消すると平均寿命が0.91年(約11ヶ月)延びる!

 このようなことが、米国ハーバード大学ブリガムアンドウイメンズ病院(Brigham and Women’s Hospital)のI-Min Lee博士らの研究で導き出され、医学誌『Lancet』2012年7月21日号(オンライン版)に掲載された論文(注1)で述べられています。

 研究者は、運動不足(inactivity)が各疾患にどれくらいの影響を与えるかを算出しています。その結果、全世界でみたときには、心筋梗塞などの心疾患の5.8%、糖尿病の7.2%、乳ガンの10.1%、結腸ガンの10.4%が運動不足によるものであることがわかったそうです。

 この研究が興味深いのはこれを世界中の国や地域で分析していることです。日本では、心疾患、糖尿病、乳ガン、結腸ガンの運動不足が関与する割合が、それぞれ10.0%、12.3%、16.1%、17.8%とされています。

 さらに研究者は、もしも運動不足が解消されたとすると平均寿命がどれだけ延長するか、という試算もしています。結果は、世界中では平均寿命が0.68年延長することになり、日本の場合は0.91年(約11ヶ月)の延長となるそうです。

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 この研究は公衆衛生学的な研究ですから、すべての人が運動不足を解消すればこれらの疾患に罹患しなくなり平均寿命が伸びるという意味ではありません。つまり、いくら運動しても、結腸ガンになる人はなるわけです。

 しかし、だからといって運動不足のままでいるのはもったいないと考えるべきです。この論文によりますと、運動不足が寿命に与える影響は、喫煙や肥満とほぼ同等だそうです。がんばりすぎてストレスが貯まるのは問題ですが、運動・禁煙・減量は「長生きするための3原則」と考えるべきでしょう。

注1:この論文のタイトルは、「Effect of physical inactivity on major non-communicable diseases worldwide:
an analysis of burden of disease and life expectancy」で、下記のURLで概要を読むことができます。また、全文を読むことも可能です。その場合はユーザ登録が必要ですが無料でおこなえます!(医師でなくとも誰もが無料で登録できます)

http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2961031-9/abstract

参考:医療ニュース
2011年12月28日 「体重が減らなくても有酸素運動で長寿に」  
2007年2月21日 「運動する男性は大腸がんの危険度が30%低い」

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