医療ニュース
2018年4月29日 肥満が酒さのリスク
悩んでいる人が大勢いる割にはあまりメディアで報道されず、また、有効な治療法が確立していないこともありドクターショッピングを繰り返している人が多い「酒さ」について、過去に何度かお伝えしてきました。
酒さの原因は依然「原因不明」です。ある程度遺伝的な要因があると言われている一方で、生活習慣に起因しているとも言われています。そのひとつが「肥満」で、それを調査した研究が発表されたので紹介しておきます。
医学誌『Journal of the American Academy of Dermatology』2017年12月号(オンライン版)に論文(注1)が掲載されています。
研究の対象は、米国で1991年から2005にかけて実施された「Nurses’ Health Study II」と呼ばれる調査に回答した89,886人です。14年以上にわたる調査期間中、酒さの診断がついたのは5,249例でした。
興味深いことに、酒さの発症リスクはBMI(body mass index)(注2)が上るにつれて増加し、BMIが35.0以上であれば、BMI21.0~22.9の人と比べて酒さのリスクが48%も増えるという結果がでました。また、18歳以降に体重が増加した人は特にリスクが高くなり、10ポンド(約4.5kg)体重が増えると、リスクが4%増えるようです。
また、BMIとは別にウエストとヒップのサイズ(waist circumference and hip circumference)が大きいほど酒さの発症リスクも有意に高くなっていたことが分かりました。
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太融寺町谷口医院にも酒さの患者さんは少なくありませんが、肥満者はさほど多くなく、私の実感としては肥満が酒さのリスクとは思えません。もしかすると人種さがあるのかもしれません。ですが、肥満になっていいことは(おそらく)何もありませんから、やはり体重コントロールはすべきでしょう。
注1:この論文のタイトルは「Obesity and risk for incident rosacea in US women」で、下記URLで概要を読むことができます。
https://www.jaad.org/article/S0190-9622(17)32265-X/fulltext
注2:BMIは体重(kg)を身長(m)の2乗で割って算出します。例えば、身長2メートルで体重88kgなら、88÷2の2乗=88÷4=22、となります。文中にでてくるBMI35というのは、例えば身長160cmなら体重は、35×1.6×1.6=89.6kgとなります。
参考:医療ニュース
2015年10月6日 「酒さ」の原因は生活習慣と遺伝
2016年6月30日 酒さが認知症のリスク
2017年5月11日 白ワインは女性の酒さのリスク
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