医療ニュース

2017年9月30日 バストアップのサプリメントに対する「誤解」

 太融寺町谷口医院(以下「谷口医院」)がオープンした2007年頃、タイ製のバストアップ(豊胸)を目的としたサプリメントの被害者がよく受診されていました。インターネットを通して個人輸入をおこない内服して副作用が生じたのです。最も多い副作用は吐き気と不正出血です。

 一時、このような被害が減ったなと感じていたのですが、数年前から再び増えてきています。その理由はタイ製のサプリメントと同じ成分のものが日本で製造され、広く流通するようになったからです。

 そして、ついに国民生活センターが注意喚起を発表しました。

 問題のサプリメントに含まれる成分は「プエラリア・ミリフィカ」と呼ばれる植物エキスです。なぜ、バストアップの効果が謳われるか。この成分には女性ホルモンに似た働きをするイソフラボンが豊富に含まれているからです。

 イソフラボンと言えば、大豆に含まれていることがよく知られており、実際、大豆から抽出したイソフラボンは日本製のサプリメントでもあります。プエラリア・ミリフィカは大豆よりも大量にイソフラボンが含まれているために効果が期待できるというわけです。ですが、当然のことながら量が増えればそれだけ副作用のリスクが上昇します。

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 さて、私の懸念はまだ続きます。谷口医院の患者さんでプエラリア・ミリフィカの被害を訴えた患者さんのなかで低用量ピルを飲んでいる人がいました。これは絶対にやってはいけないことです。

 そもそもピル(超低用量から高用量まですべて)の成分は女性ホルモンです。ピルを飲んでいるときに女性ホルモンに似たイソフラボンを飲めば、不正出血をはじめホルモンバランスの乱れで生じうる様々な問題が起こり得ます。

 ところで、プエラリア・ミリフィカの販売会社は、販売するときに「ピルを飲んでいる人は飲めません」という案内をしていないのでしょうか。あるいは、「サプリメントだから安心」というようなイメージを消費者に植え付けていないでしょうか。

 尚、イソフラボンもピル服用者は原則として飲めません。サプリメントの被害は、世間で思われているよりもずっと深刻です。新たにサプリメントや健康食品を開始したいときはかかりつけ医に相談するか、信頼できるウェブサイト(注1)を参照することが必要です。

注1:最も推薦できるサイトは、国立健康・影響研究所が作成している「「健康食品」の安全性・有効性情報」です。プエラリア・ミリフィカについても詳しく記載されています。

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