医療ニュース
2016年5月30日 韓国、加湿器の殺菌剤で100人の死亡者
UKを拠点とし世界中に販売網をもつ多国籍企業の「オキシー・レキット・ベンキーザー」が韓国で販売していた殺菌剤が原因で約100名の死亡者がでています。
この殺菌剤は加湿器の消毒に使うもので、妊産婦や新生児の肺を損傷し多数が犠牲になっています。BBC(注1)によれば、2011年にはこの殺菌剤と死傷者との間の因果関係が示唆されていたのにもかかわらず同社はそのまま販売を継続し被害が広がりました。また製品自体は10年以上も販売され続けていたそうで、今後も被害者が増える可能性があるとみられています。BBCの報道では、同社の社長が犠牲となった人の遺族から激しく詰め寄られるシーンが紹介されています。
************
海外のスーパーや薬局で殺虫剤や殺菌剤のコーナーを除くとケバケバしい色とデザインのパッケージに躊躇してしまった経験があるのは私だけではないでしょう。私が最もよく渡航するタイでは、殺虫剤の使用で障害を負ったという話がよくあり、これは「都市伝説」に過ぎないのかもしれませんが、心理的に現地のものを使うのにはいまだに抵抗があります。私は蚊取り線香は日本で購入したものを持参しています。これは品質の高さを求めて、というのが最大の理由ですが、現地のものは何か不純物が入っていないか気になるというのもあります。(現地メーカーには失礼ですが・・・)
今回の韓国の報道はいくつか疑問が残ります。殺菌剤と肺障害の関連性が指摘されてからも長期間販売が継続されたのはなぜなのか、ということに加え、この製品がなぜ韓国だけで販売されていたのかが皆目分かりません。私の個人的な印象でいえば、加湿にこだわるのは韓国人よりも日本人です。そしてこの会社オキシー・レキット・ベンキーザー社は日本にも支店をもっています。しかも1~2年のことなら分かりますが、なぜ、韓国でのみの販売が10年以上も続けられたのでしょうか・・・。何か表には出せない理由があるような気がしてなりません。
ところで、韓国のホテルに泊まれば加湿器が置かれていることがよくあります。この製品が日本では使われていなかったとしても、出張や観光で頻繁に韓国を訪れる日本人は大勢います。今後、呼吸器症状を訴える患者さんには韓国への渡航歴を尋ねるべきかもしれません。
注1:BBCのこの記事のタイトルは「Reckitt Benckiser sold deadly sterilisers in South Korea」で、下記URLで読むことができます。
http://www.bbc.com/news/world-asia-36185549
注2:オキシー・レキット・ベンキーザー社のトップページにこの事件の説明があります。
最近のブログ記事
- 2024年11月22日 アメリカンフットボール経験者の3分の1以上がCTEを自覚、そして自殺
- 2024年11月17日 「座りっぱなし」をやめて立ってもメリットはわずか
- 2024年10月24日 ピロリ菌は酒さだけでなくざ瘡(ニキビ)の原因かも
- 2024年10月11日 幼少期に「貧しい地域に住む」か「引っ越し」がうつ病のリスク
- 2024年9月19日 忍耐力が強い人は長生きする
- 2024年9月8日 糖質摂取で認知症のリスクが増加
- 2024年8月29日 エムポックスよりも東部ウマ脳炎に警戒を
- 2024年8月4日 いびきをかけば認知症のリスクが低下?
- 2024年7月15日 感謝の気持ちで死亡リスク低下
- 2024年6月30日 マルチビタミンで死亡率上昇?
月別アーカイブ
- 2024年11月 (2)
- 2024年10月 (2)
- 2024年9月 (4)
- 2024年8月 (1)
- 2024年6月 (2)
- 2024年5月 (2)
- 2024年4月 (2)
- 2024年3月 (2)
- 2024年2月 (3)
- 2024年1月 (1)
- 2023年12月 (2)
- 2023年11月 (2)
- 2023年10月 (2)
- 2023年9月 (2)
- 2023年8月 (1)
- 2023年7月 (3)
- 2023年6月 (2)
- 2023年5月 (2)
- 2023年4月 (2)
- 2023年3月 (2)
- 2023年2月 (2)
- 2023年1月 (2)
- 2022年12月 (2)
- 2022年11月 (2)
- 2022年10月 (2)
- 2022年9月 (2)
- 2022年8月 (2)
- 2022年7月 (2)
- 2022年6月 (2)
- 2022年5月 (2)
- 2022年4月 (2)
- 2022年3月 (2)
- 2022年2月 (2)
- 2022年1月 (2)
- 2021年12月 (2)
- 2021年11月 (2)
- 2021年10月 (2)
- 2021年9月 (2)
- 2021年8月 (2)
- 2021年7月 (2)
- 2021年6月 (2)
- 2021年5月 (2)
- 2021年4月 (4)
- 2021年3月 (2)
- 2021年1月 (2)
- 2020年12月 (3)
- 2020年11月 (3)
- 2020年9月 (2)
- 2020年8月 (2)
- 2020年7月 (1)
- 2020年1月 (2)
- 2019年12月 (2)
- 2019年11月 (2)
- 2019年10月 (2)
- 2019年9月 (2)
- 2019年8月 (2)
- 2019年7月 (2)
- 2019年6月 (2)
- 2019年5月 (2)
- 2019年4月 (2)
- 2019年3月 (2)
- 2019年2月 (2)
- 2019年1月 (2)
- 2018年12月 (2)
- 2018年11月 (2)
- 2018年10月 (1)
- 2018年9月 (2)
- 2018年8月 (1)
- 2018年7月 (2)
- 2018年6月 (2)
- 2018年5月 (4)
- 2018年4月 (3)
- 2018年3月 (4)
- 2018年2月 (5)
- 2018年1月 (3)
- 2017年12月 (2)
- 2017年11月 (2)
- 2017年10月 (4)
- 2017年9月 (4)
- 2017年8月 (4)
- 2017年7月 (4)
- 2017年6月 (4)
- 2017年5月 (4)
- 2017年4月 (4)
- 2017年3月 (4)
- 2017年2月 (1)
- 2017年1月 (4)
- 2016年12月 (4)
- 2016年11月 (5)
- 2016年10月 (3)
- 2016年9月 (5)
- 2016年8月 (3)
- 2016年7月 (4)
- 2016年6月 (4)
- 2016年5月 (4)
- 2016年4月 (4)
- 2016年3月 (5)
- 2016年2月 (3)
- 2016年1月 (4)
- 2015年12月 (4)
- 2015年11月 (4)
- 2015年10月 (4)
- 2015年9月 (4)
- 2015年8月 (4)
- 2015年7月 (4)
- 2015年6月 (4)
- 2015年5月 (4)
- 2015年4月 (4)
- 2015年3月 (4)
- 2015年2月 (4)
- 2015年1月 (4)
- 2014年12月 (4)
- 2014年11月 (4)
- 2014年10月 (4)
- 2014年9月 (4)
- 2014年8月 (4)
- 2014年7月 (4)
- 2014年6月 (4)
- 2014年5月 (4)
- 2014年4月 (4)
- 2014年3月 (4)
- 2014年2月 (4)
- 2014年1月 (4)
- 2013年12月 (3)
- 2013年11月 (4)
- 2013年10月 (4)
- 2013年9月 (4)
- 2013年8月 (172)
- 2013年7月 (408)
- 2013年6月 (84)