医療ニュース
9/4 長時間1回と短時間3回、有効なウォーキングはどちら?(その2)
糖尿病(もしくはその予備軍)の人がウォーキングをするなら、長時間1回よりも短時間3回の方が有効である、という研究結果を以前紹介しました。(下記医療ニュースを参照ください)
ところが、これとまったく正反対の研究結果が発表されましたので報告します。(尚、この発表は学会での発表であり、まだ論文になっているわけではありません。しかし、最近ここでお知らせした結果とまったく正反対であるためにあえて取り上げることにしました)
1日に15分間の散歩を3回行うよりも1回45分間の持久運動の方が血糖値の改善に有効である・・・・。
これは2013年6月21日~25日に米国シカゴで開催された第73回米国糖尿病学会で、オランダMaastricht大学のJan-Willem van Dijk氏が発表した研究結果です。(この報道は医学系サイト「日経メディカルオンライン」2013年8月19日号に掲載されました)
この研究の対象となったのは、2型糖尿病の男性20例(平均年齢64歳、平均BMI 29.5、平均HbA1c 6.9%)で、コントロール日(ウォーキングなし)、毎食後15分間のウォーキングを3回する日、45分間の持久運動を1回おこなう日を設けて血糖値がどのように変動するかが測定されています。
日内血糖変動をみてみると、1日のうちで高血糖状態だった時間は、コントロール日では6時間51分だったのに対し、45分間の持久運動日では4時間47分と有意に減少しています。一方、毎食後15分間のウォーキングを3回する日では、6時間2分とコントロール日とほとんど差はなかったようです。平均血糖値でみてみても、45分間の持久運動日ではコントロール日よりも有意に減少したのに対し、毎食後15分間のウォーキングを3回する日ではほとんど下がらなかったようです。
しかし、食後の血糖値上昇の程度については、45分間の持久運動日だけでなく毎食後15分間のウォーキングを3回する日でも有意に減少したそうです。また、食後のインスリンの値も、コントロール日と比較すると、45分間の持久運動日でも毎食後15分間のウォーキングを3回する日でも有意に低下したようです。
これらの結果に対し、発表者は、「血糖コントロールの改善には、ある程度のまとまった量の身体活動が必要かもしれない」とコメントしたそうです。
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下記医療ニュースでお伝えした研究結果と丸々正反対であることが興味深いといえます。両方の研究とも対象者が10人、20人と少なく、現時点ではどちらが正しいとは言えないと考えるべきでしょう。
しかし、ひとつだけあきらかなことがあります。短時間の運動を繰り返すにしても、長時間の運動を一度だけやるにしても、まったく運動しないよりははるかに血糖値改善効果があるのは間違いないということです。
短時間を3回、長時間を1回などと決めてしまうのではなく、まずはどちらでもいいので長続きして楽しくできる方法を各自選べばいいのではないかと思います。そして、これは糖尿病(またはその予備軍)の人たちだけにあてはまるわけではなく、体重を減らしたい、あるいは健康を維持したいと考えているすべての人にいえることです。
(谷口恭)
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