医療ニュース
2011年9月29日(木) 四半期で新規エイズ発症者が過去最多
2010年は年間エイズ発症者が過去最多となったということを以前お伝えしましたが(下記医療ニュース参照)、この傾向は続いているようです。
2011年9月27日、厚生労働省のエイズ動向委員会は、2011年4月~6月(正確にいうと3月28日~6月26日)に、HIV感染に気付かずにエイズを発症した症例(いきなりエイズ)が、136人に上ったことを報告しました。これは、1984年の調査開始以来、3ヶ月ごとの集計では過去最多となります。(ちなみに2位は2010年4月~6月の129人です)
一方で、同時期に発覚した、まだエイズを発症していないHIV感染者は217人で、これは直前の3ヶ月(2011年1月~3月)と比較して減少傾向にあります。前年同期と比べると46人の減少となります。
感染経路をみてみると、(まだエイズを発症していない)HIV新規感染者の感染経路は、同性間の性的接触が148件で全体の68.2%、異性間の性的接触が39件で18.0%となっています。一方、すでにエイズを発症した症例(いきなりエイズ)では、同性間の性的接触が68件で50.0%、異性間の性的接触が43件で31.6%となっています。
同時期の保健所など公的機関で実施しているHIV抗体検査件数は31,553件で、前年同期の32,011件から減少しています。相談件数も38,784件で前年同期の40,181件から減っています。
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検査件数、相談件数の減少の原因として、関係者らは「3月の東日本大震災の発生が影響している可能性がある」とコメントしているようですが、果たしてそれだけでしょうか。
以前にも指摘しましたが、太融寺町谷口医院の患者さんをみてみても、発熱、下痢、皮疹などで受診して、患者さん自身がまさかHIVとは思ってもみなかった、という症例が増えてきています。2008年頃までは、当院でHIVが発覚した症例の半数以上は、患者さん自身がHIVを疑って受診した、というケースでしたから、東日本大震災とは関係なく、全国的にHIVに対する社会的関心が低下している、というのが私の考えです。
上の数字をみれば分かるように、まだエイズを発症していないケースでHIV感染が発覚している場合と比べ、いきなりエイズで発覚する症例は異性愛者の割合が多いという特徴があります。これは、すなわち同性愛者よりも異性愛者の方がHIVに無関心であることを示しています。そしてこの傾向は太融寺町谷口医院の患者さんにも当てはまります。つまり、異性愛者で危険な性交渉の経験がある人はもっと自覚を持たなければならない、ということです。
(谷口恭)
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