医療ニュース

2007年1月23日(火) 世界のはしかの死者、6年間で6割減少   谷口 恭

1月19日の共同通信によりますと、WHOが、「はしか(麻疹)による死者が世界全体で1999年の約87万3000人から2005年には約34万5000人に減少した」ことを発表しました。6年間でおよそ6割が減少したこととなり、WHOのチャン事務局長は「公衆衛生面での歴史的な勝利だ」と述べたそうです。

 特にアフリカでの減少率が大きく、6年間でおよそ75%も減少しているようです。

「はしか封じ込めキャンペーン」は、WHO、国連児童基金(ユニセフ)、米国赤十字社などが連携して2001年に開始されました。アフリカなどの発展途上国を中心に、3億6000万人以上の子どもたちに予防接種を実施し、日本の国際協力機構(JICA)もキャンペーンに参加しています。

 WHOは、キャンペーンは今後も世界中で継続し、はしかによる死者数を2010年に2000年の10%まで減らすことを新たな目標としています。国連は、2015年までに5歳未満の子どもの死亡率を1990年の3分の1に削減する「ミレニアム開発目標」を掲げていますが、「はしか封じ込めキャンペーン」がこの目標に貢献することが期待されています。
 
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 はしかの予防接種は世界中で普及するようになってきており、いずれ撲滅する感染症であろうと言われています。先進国ではほとんどの人がワクチン接種をおこなっていますが、例外的にワクチン接種率の低い先進国があります。それは”日本”です。実際、日本人が世界にはしかを蔓延させていると言われることもあり、「日本ははしかの輸出国」と他の先進国からは非難されています。2006年には茨城県と千葉県で集団発生の報告もあります。

 はしかは罹患してもほとんどが自然に治癒しますが、重症化することもあり、ときには命に関わる感染症となります。もしもあなたに就学前のお子さんがいるなら、早めにワクチン接種をおこないましょう。

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