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2026年2月28日 樹木は心血管疾患を防ぎ、草や花はリスクを上げる

 植物との接触が健康に良いとする研究は多数ありますが、ではどのような植物が有効なのかを調べた研究はほとんど見当たりません。最近、公開された論文でその点が検討されていて、結果は、意外なことに「背の高い樹木は心血管疾患を防ぐが、芝生や花壇などでは逆に心血管疾患のリスクとなる」というものでした。

 論文は医学誌「Environmental Epidemiology」2026年2月号に掲載された「看護師健康調査(Nurses’ Health Study)におけるストリートビュー画像のディープラーニング分析を用いた緑地と心血管疾患リスクの評価(Assessing greenspace and cardiovascular disease risk through deep learning analysis of street-view imagery in the US-based nationwide Nurses’ Health Study)」です。

 研究の対象は「Nurses’ Health Study」と呼ばれる米国の看護師を対象としたデータベースに登録されている88,788人の女性。植物の種類については、AIを用いたストリートビュー画像で解析されました。その地域を歩行する際に目にする可能性のある植物を下記のように分類しました。

#1 目に見える樹木【=visible trees】
#2 芝生【=grass】
#3 その他の緑(植物、花、野原など)【=other green (plants/flowers/fields)】

 結果、#1に接する人はそうでない人に比べ心血管疾患のリスクが4%低いことが分かりました。他方、#2に接する人は、意外なことに、心血管疾患のリスクが6%、#3については3%上昇していました。

 地域ごとに分析されていて、例えばカリフォルニア州では、街路緑度(street greenness)が最高3分の1の地域では心臓疾患の有病率が26%低下、高血圧は29%低下していました。ユタ州では、街路緑度が最高3分の1の地域で高血圧のリスクが16%低下していました。

 樹木に触れる機会が多ければ心血管疾患のリスクが下がる理由について、論文では「ストレスの軽減、騒音、大気汚染、極端な気温からの緩衝」を挙げ、さらに「並木道は近隣の歩きやすさと社会的結束を高め、身体活動を奨励し、社会的支援ネットワークを強化する」としています。

 芝生や花が心血管疾患リスクを上げるという意外な結果については、「農薬の増加、芝刈りによる大気への影響、草の花粉、樹木に比べて低い冷却能力、騒音や大気汚染をろ過する能力の低さ、生物多様性の低下など」が挙げられています。

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 芝生や菜園、花壇などは都心部でも小さな庭やあるいはベランダを利用すればつくれなくはありませんが、樹木となると、公園や並木道の近くに住む以外には方法がほとんどありません。

 となると、樹木が植えられている公園に毎日通う、とか、散歩するなら並木道を歩く、という工夫が必要なのかもしれません。私の肌感覚としては、通行量の多い並木道よりも、樹木がなくても川沿いの静かな道を歩く方がいいような気がしますが……。

 いずれにしても芝生や花壇に過剰な期待をしない方がよさそうです。

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