医療ニュース

2007年8月22日(水) 父子間でのB型肝炎ウイルス感染が全体の1割!

 B型肝炎ウイルスといえば、性感染と血液感染以外に母子感染があります。ですから、通常は、日本を含むすべての先進国では妊婦健診の項目にこのウイルスが含まれています。

 一方、父子間での感染というのはこれまで考えられていませんでした。父親がB型肝炎ウイルスを持っていてそれが性感染で母親にうつり、出産で子供にうつる場合は間接的に父子間の感染となるかもしれませんが、この場合は母子感染と類別されます。

 ところが、この度、大阪府立急性期・総合医療センターと名古屋市立大の研究チームが、ウイルスの遺伝子解析をおこない、父子間の感染が起きていることを突き止めました。

 父子間でどうやって感染が起こるのかという点については、推測の域を超えませんが、研究チームは、傷口が触れるなどの濃厚な接触が、気付かぬうちに父子間で起きているのではないかとみているようです。

 さらに、肝炎ウイルスに関する厚生労働省研究班代表の大戸斉・福島県立医大教授(輸血医学)は、「B型肝炎ウイルス感染の1割程度は父子間ではないか。家族内に感染者がいる子どもへは、感染者が誰かによらず保険でワクチン接種できるようにすべきだ」と話しています。(報道は8月19日の毎日新聞)

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 HIVに比べると、B型肝炎ウイルスはかなり強い感染力をもっていると言えます。実際、医療従事者の針刺し事故では、B型肝炎ウイルスに罹患する確率はHIVのおよそ100倍とも言われています。(C型肝炎ウイルスはその中間)

 B型肝炎ウイルスの保有者は関西(大阪)に多いこともあり、すてらめいとクリニックを受診する患者さんのなかにも少なくなく、年齢ではだいたい25歳以上の人に多いといえます。これは、今から25年前あたりから母子感染対策が本格的におこなわれてきたからでしょう。

 B型肝炎ウイルスは、傷口が触れただけで感染が成立する可能性が強いわけです。感染予防対策は、まずは自身がウイルスを保有しているかどうかを確認することから始まります。その次に必要なのはワクチン接種です。

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