医療ニュース
2013年7月18日 木曜日
2010年1月21日(木) 日本脳炎ワクチン接種奨励再開の見込み
日本脳炎ウイルスのワクチンについては、このウェブサイトで何度もお伝えしてきました。2004年に14歳の少女に重篤な副作用が起こったことがきっかけとなり、2005年に「積極的勧奨の中止」が決定されました。副作用の少ない新しいワクチンは2009年2月に承認され2009年の夏頃から接種が始まりましたが「積極的勧奨の中止」は依然継続したままです。
言わば「空白期間」ができている状態で、感染の危険性が高まっていることは間違いありません。実際、2009年8月には、熊本市の7歳の男児が日本脳炎ウイルスに感染し日本脳炎を発症していたことが分かっています。この男児はワクチン接種を受けていなかったそうです。(報道は1月14日の共同通信)
この「空白期間」にようやく終止符が打てることになりそうです。厚生労働省厚生科学審議会の小委員会は1月15日、日本脳炎ワクチン接種の「積極的勧奨」を、2010年度から一部再開することを決定しました。2010年度から、1期の対象年齢(生後6カ月~7歳半)の子供がいる家庭に、各自治体が接種を勧める通知をおこなう予定です。
新しいワクチンはこれまで50万人以上に接種され、副作用の報告は39度以上の発熱9件など合計22件にとどまっているようです。同省の小委員会は、副作用の程度や件数から「安全性が確認された」と判断したようです。
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ワクチン再開に厚生労働省がゴーサインをだしたことは歓迎すべきことです。副作用のリスクは完全にゼロにすることはできませんが、日本脳炎は死亡率も高く、後遺症を残す可能性も高い、大変重要な感染症ですから、これで少しは安心できそうです。
しかし、今回の決定では1期の再開のみで、2期(9歳)の接種再開については決まっていません。こちらも早く検討してもらいたいと思います。
(谷口恭)
参考:
はやりの病気 第63回 「日本脳炎を忘れないで!」
医療ニュース 2009年6月8日「日本脳炎新ワクチン、勧奨中止は継続」
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|2013年7月18日 木曜日
2010年1月5日(火) 死亡数過去最多で人口減が加速
12月31日、厚生労働省は2009年の「人口動態統計の年間推計」を発表しました。(報道は1月4日の共同通信など)
発表によりますと、2009年に日本国内で生まれた新生児は、2008年より約22,000人少ない1,069,000人で2年ぶりの減少となっています。(2008年はうるう年効果で微増しています) これは、記録の残っている1947年以降では、2005年の1,062,530人に次いで少ない数字となります。
一方、死亡数は約2,000人増の1,144,000人で、こちらは9年連続の増加となり1947年以降最多となります。死因は、例年同様、がん(344,000人)、心臓病(179,000人)、脳卒中(121,000人)が上位を占めています。
出生数から死亡数をひいた「自然増減数」は、マイナス75,000人で、マイナス幅は前年のおよそ1.46倍となり、日本の人口減が一段と加速していることを示しています。さらに、厚生労働省は今後も人口の減少幅拡大は続くと予想しています。
また、婚姻は714,000組(前年より12,000組減少)、離婚は253,000組(前年より2,000組増)と推計されています。
尚、実際のデータを基にした2009年の人口動態統計(概数)は6月に公表される予定です。
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人口が減って、婚姻が減少し出生数も低下する・・・。これが日本の人口動態の特徴ということになります。今後、婚姻数や出生数が大きく増える要因は見当たりませんから、人口減の実態をきちんと受け止めた上で、これからこの国はどのような社会を目指すのかを考えるべきでしょう。
(谷口恭)
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2010年1月21日(木) 抗うつ薬は重症患者にしか効かない?
うつ病の症状が軽症か中程度の場合は、抗うつ薬を飲んでも効果がない・・・。
このような発表が米国ペンシルバニア大学などの研究チームによって発表され、話題を呼んでいます。(報道は1月13日の読売新聞)
この研究では、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれる抗うつ薬、及び三環系抗うつ薬と呼ばれる抗うつ薬を用いた患者と、有効成分を含まない偽薬を用いた患者の回復の度合いを6週間以上にわたって比較した研究をまとめて解析しています。対象患者は718人にのぼります。
研究では、「抑うつ気分」や「仕事への興味」といったうつ病の症状を点数化した評価法を用いて、症状の重さごとに、①軽症・中等症、②重症、③最重症の3つのグループに分け、偽薬を服用した場合との効果の違いを検討しています。その結果、軽症・中等症のグループと、重症患者のグループでは、回復度に薬の効果を示すほどの差は認められなかったそうです。最重症のグループでは「臨床的に意味のある差」が認められたとされています。
研究チームは「抗うつ薬の研究は重症者だけを対象としたものが多く、それが効果の根拠とされてきた。あまり重くないうつ病に対し、抗うつ薬は効果があるという証拠は見つからなかった」としています。
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この報道は誤解を生みやすいように思いますので補足をしておきます。
まず、研究で用いられているSSRI及び三環系抗うつ薬(下記注も参照ください)は、初めから比較的重症のケースに用いられるケースが多いと言えます。実際の臨床の現場では、軽症であれば薬は初めの段階では使わないことも多いですし、中等症くらいで薬を使用する場合でも、作用がおだやかな薬から始めるのが一般的です。そして、そういった「作用がおだやかな薬」は多くのケースでよく効きます。
ですから、「軽症・中等症に抗うつ薬は効かない」は表現が適切でなく、「軽症・中等症にSSRIや三環系抗うつ薬は使用すべきでない場合がある」とすべきだと思われます。
注:日本でよく使用されるSSRIは、商品名で言えば、「パキシル」「ジェイゾロフト」「ルボックス」「デプロメール」など、三環系抗うつ薬は「トリプタノール」「アナフラニール」「アモキサン」などです。
(谷口恭)
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|2013年7月18日 木曜日
2010年1月23日(土) 魚沼市に続いて明石市でもHPVのワクチン無料
2009年12月に発売となった子宮頚ガンのワクチン(HPVワクチン)は、公衆衛生学的には大変有用なのですが、値段が高いことが障壁となりそれほど普及が進まないのではないかと言われています。他の先進国と同様、ワクチンの費用を行政が全額(もしくは一部)を負担してくれればいいのですが、それは簡単ではないと考えられています。
しかし、2009年12月に新潟県魚沼市が10代前半の希望者全員に全額を公費負担でワクチン接種することを発表しました。これは「ワクチン後進国」と呼ばれている日本では、極めて画期的な政策と言えます。魚沼市に追随する自治体が現れるかどうか、我々医療従事者は注目していたのですが、兵庫県明石市も同様の政策を発表しました。
1月22日の毎日新聞によりますと、明石市は1月21日、市内在住の小学6年生から中学3年生の女子を対象に、接種費用を全額公費で賄うことを明らかにしました。同市は2010年度の予算案に約8,000万円を計上し、2学期から接種を始める予定だそうです。
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魚沼市、明石市とこれで2つの市が無料接種を決定したことになります。今後、これら2つの市に続いて公費負担を検討する自治体が登場することを願いたいと思います。
(谷口恭)
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|2013年7月18日 木曜日
2010年1月23日(土) 携帯電話がアルツハイマーを予防?
携帯電話がアルツハイマー病の予防になる・・・
数日前からインターネットでこの一見信じられないようなニュースが流れているようですが、出所が分かりましたのでここに報告します。
医学誌『Journal of Alzheimer’s Disease』のオンライン版1月号に掲載されている「Electromagnetic Field Treatment Protects Against and Reverses Cognitive Impairment in Alzheimer’s Disease Mice」というタイトルの論文です。(注参照)
ウェブサイトでは要約しか読めませんが、まとめると次のようになります。
アルツハイマー病が発症するように遺伝子操作をしたマウスに、携帯電話使用時に発せられる918MHzの電磁波を暴露させた結果、記憶や認知障害に改善が認められたそうです。そして、これらマウスの脳を解剖した結果、アルツハイマー病の原因とされているアミロイドβ蛋白が携帯電話の電磁波によって減少することが分かったとされています。
この原因について、研究者らは、電磁波により脳内の温度が上がったことによるのではないかという仮説を立てています。
さらに、携帯電話の電磁波によりアルツハイマー病を予防できるだけでなく、記憶の向上にもつながる可能性があることを研究者は指摘しています。
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携帯電話の電磁波と言えば、脳腫瘍のリスクになるのではないかと言われていたことがあります。それを科学的に実証した研究は私の知る限りありませんが、一般的には携帯電話の長時間の使用は身体に(特に脳に)よくないと思われているのではないでしょうか。
それが、今回の研究ではアルツハイマー病を予防・改善し、記憶力も高めるというのです。もしもこれが人間においても正しいなら歴史に残る画期的な発見となるかもしれません。今後の研究に注目したいと思います。
(谷口恭)
注:論文のURLは、
http://www.j-alz.com/issues/19/vol19-1.html です。(ただし要約しか読めません)
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|2013年7月18日 木曜日
2010年1月25日(月) テレビの見すぎが寿命を縮める?
1日にテレビを見る時間が1時間増えるごとに、心血管疾患による死亡のリスクが18%増大する・・・
このような研究結果が発表され話題を呼んでいます。この研究はオーストラリア、ビクトリア州の研究所によっておこなわれ、論文は医学誌『Circulation』のオンライン版2010年1月11日号に掲載されています。(注参照)
研究者らは、25歳以上の健康な男女8,800人のライフスタイルを分析しています。生活習慣、コレステロールの値、血糖値などを調べ、6年間以上追跡調査をおこなっています。その結果、この間に284人が死亡し、このうち87人は心血管疾患が、125人はガンが死因となっています。
対象者をテレビの視聴時間ごとに、①1日2時間未満、②1日2~4時間、③1日4時間以上の3つのグループに分けて分析した結果、1日の視聴時間が1時間増えるごとに死亡リスクが11%増大するとの結果が出されています。さらに、細かくみると、心血管疾患による死亡リスクは18%、ガンによる死亡リスクは9%増大するとされています。
視聴時間が2時間未満のグループに比べて4時間以上のグループでは、全原因による死亡リスクが46%も増大し、心血管疾患による死亡リスクではなんと80%も増大するという結果になっています。
この研究では、テレビを見る時間と死亡との関連性は、喫煙、高血圧、高脂血症、不健康な食事、肥満、運動不足などの心血管疾患の危険因子などに関係なく認められたとしています。
なぜテレビを見る時間が長いと心血管疾患で死亡しやすいか。この点について、研究者は、「テレビの内容ではなく座っている時間が問題」としています。研究者は次のようにコメントしています。
「頻繁に筋肉を動かすことが体重管理と疾患予防に最も有効な方法の1つであることが今回の研究で示唆された。体重が正常であったとしても、座る時間が長すぎると、血糖値やコレステロール値が増加しうる。運動量とは無関係に長時間座ってテレビを見れば、全原因による早期死亡リスクが高まり、心血管疾患によるリスクはさらに高いと言える」
**********
テレビを見る時間が長いと・・・、と言われるとテレビの有害性を考えてしまいますが、今回の研究では、要するに座りっぱなしで動かないことが「早死に」の原因としているわけです。
(谷口恭)
注:この論文は下記のURLで読むことができます。
http://circ.ahajournals.org/cgi/reprint/CIRCULATIONAHA.109.894824v1
「Television Viewing Time and Mortality. The Australian Diabetes, Obesity and Lifestyle Study (AusDiab)」
D. W. Dunstan, E. L.M. Barr, G. N. Healy, J. Salmon, J. E. Shaw, B. Balkau, D. J. Magliano, A. J. Cameron, P. Z. Zimmet, and N. Owen
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|2013年7月18日 木曜日
2010年1月27日(水) 高血圧の半数の人が受診せず
高血圧の診断を受けているのに医療機関を受診していない人が約半数にも上る・・・
これは、「糖転移ヘスペリジン・ビタミンP研究会」という民間の研究会がインターネットを通しておこなった調査結果です。(報道は1月26日のキャリアブレイン)
調査は2009年11月20日から22日におこなわれています。インターネットのリサーチ会社に登録している人から無作為に選んだ「血圧が正常」の20~40代の男女300人と、「高血圧と診断されたことがある」20~40代の男女300人から回答を得ています。
調査によりますと、「高血圧と診断されたことがある」人が受診したのはわずか52.0%という結果となっています。年代別にみると、40代で58.0%、30代50.0%、20代48.0%と、若い世代ほど医療機関を受診していないことが分かります。
「なぜ受診しないのか」については、「生活習慣を変えることで改善しようと思ったから」(35.4%)、「自覚症状がなかったから」(27.1%)、「放っておいても問題が無いと思ったから」(12.5%)、「治療費が高額になると思ったから」(10.4%)となっています。
「日頃血圧の値を気にしているか」については、「気にしている」が52.3%なのに対し、「気にしていない」が47.7%に上っています。
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若い世代で受診していない人が多いというのが気になります。高血圧は生活習慣や遺伝からくる場合が多いのですが(これを「本態性高血圧」と呼びます)、特に若い世代では、何か別の病気があってそこから高血圧が生じることもあります(これを「二次性高血圧」と呼びます)。二次性高血圧の場合、高血圧が別の病気のサインになっていることもあるわけです。そして、その元の病気を治せば高血圧も治る場合も多いのです。ですから、健康診断などで血圧が高いと言われれば放置しておくのはよくありません。
また本態性高血圧の場合でも、放置しておくことには大いに問題があります。脳梗塞や心筋梗塞といった心血管障害のリスクは、メタボリックシンドロームよりもむしろ高血圧で高いという報告もあります。
高血圧の場合、「自覚症状」が出てからでは”すでに遅い”可能性もあります。血圧が高いことを指摘されれば早めに受診するようにしましょう。
(谷口恭)
参考:
医療ニュース2009年5月1日「高血圧はメタボより危険!」
医療ニュース2009年10月26日「喫煙+高血圧+高コレステロール=寿命10年短縮」
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|2013年7月18日 木曜日
2010年1月27日(水) 日本の自殺者12年連続で3万人超え
1月26日、警察庁は2009年の自殺者が全国で32,753人(暫定値)となり、前年(2008年)より504人(1.6%)増加したことを発表しました。
2009年の自殺者数は、統計を取り始めた1978年以降で5番目に多かったことになるそうで、警察庁の統計では、12年連続で3万人を超えていることになります。(厚生労働省の統計では3万人を切っている年もあります)
警察庁によりますと、月別の自殺者はリーマン・ショック直後の2008年秋以降に急増しています。2009年に入っても前年同月を上回り続け、3~5月には連続して3千人を超えていました。9月以降は前年同月を下回っているものの、2,460人だった12月以外はどの月も2,500人を超えています。
都道府県別でみると、前年より大きく増えたのは埼玉(143人増)、千葉(122人増)、沖縄(69人増)などで、大阪(146人減)、北海道(127人減)、鹿児島(64人減)などは大きく減っています。
**************
自殺者が大きく増加した地域と減少した地域があるのはなぜなのでしょうか。日々の新聞報道をみていると、関東圏よりも近畿地方の方が、不況が深刻であるような印象を受けますが、大阪の自殺者は大きく減っています。
厚生労働省は、1月21日、関係部局などを集めた「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」を設置し初会合を開いています。自殺にいたる要因の分析をおこない、我々国民のひとりひとりができることは何なのかを検討してもらいたいと思います。
厚生労働省は、2009年10月より「こころの耳 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」というサイトを立ち上げており、最近はかなり充実した内容になってきています。働く人が心の悩みを感じたときには、このサイトを訪れることを推薦したいと思います。
(谷口恭)
参考:
「こころの耳 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」
医療ニュース2009年5月19日「自殺は若年層で増加」
医療ニュース2009年4月4日「2008年の自殺者またもや3万人超え」
医療ニュース2008年6月24日「警察庁の発表では自殺者が10年連続3万人超」
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|2013年7月18日 木曜日
2010年2月1日(月) 日本脳炎ワクチン、不足で追加接種は見送り
日本脳炎の新しいワクチンが、2010年からⅠ期については「積極的勧奨」となりそうだ、というニュースをお伝えしましたが(下記注参照)、Ⅱ期については、ワクチン不足のため2010年からの積極的勧奨は見送ることになりそうです。
Ⅰ期というのは、生後6ヶ月から90ヶ月の間(標準的接種は3歳から4歳)に、まず1回目、1回目接種から4週以内に2回目、そして2回目からだいたい1年後に3回目を接種します。Ⅱ期は、9歳から13歳の間(標準は9歳から10歳)に1回のみ接種します。
今回厚生労働省の小委員会が決定したのは、Ⅱ期の接種を2010年から「積極的勧奨」とするのは見送る、というものです。この理由はワクチン不足によるとのことです。今後Ⅰ期の接種状況やワクチンの供給量をみながら、Ⅱ期の接種の積極的勧奨開始時期を検討するそうです。
小委員会の試算を報告しておくと、積極的勧奨の差し控えにより、接種機会を逃していた小児(2010年度に4~12歳になる小児)で1,560万回、4~7歳に絞っても817万回となるそうです。これに対し、接種が望ましい夏までの時期に追加接種用として供給できるワクチンは約180万回分しかないと説明しています。
********
以前にも紹介しましたが、ワクチン接種をしていなかったため、2009年8月には、熊本市の7歳の男児が日本脳炎ウイルスを発症しています。今後、ワクチンの供給体制に注意を払い、できるだけ早期に接種することを各自が検討すべきでしょう。
(谷口恭)
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|2013年7月18日 木曜日
2010年2月1日(月) ビタミンDの不足は大腸ガンのリスク
大腸ガンは、元来は欧米人に多く日本人にはそれほど多くないとされていましたが、近年日本でも罹患者が急増しています。過去30年間で5倍にもなっており、2015年には他のガンを抜いて1位になるとの試算もあります。
その大腸ガンの予防にビタミンDが有用であろうということは以前から指摘されていたのですが、フランス国際ガン研究機関(IARC)が、これを裏付ける疫学的研究を発表しました。医学誌『BMJ』オンライン版2010年1月21日号に掲載されています(下記注参照)。
研究では、欧州10ヵ国を対象とし、大腸ガンと診断された1,248人と同じ数の健常者の血中ビタミンD濃度を測定しています。年齢、性別、BMI、生活習慣なども考慮しています。
その結果、血中ビタミンD濃度が最も少ないグループでは、最も多いグループに比べて大腸ガンのリスクが40%も上昇することが分かったそうです。そして、興味深いことにビタミンDを経口摂取することでこのリスクが軽減するそうです。
尚、大腸ガンを結腸ガンと直腸ガンに分けて考えたとき、ビタミンD不足によるガンのリスクは結腸ガンで強く、直腸ガンではリスク上昇が認められなかったそうです。
*********
ビタミンDの経口摂取で大腸ガンが予防できるなら、今後サプリメントなどで積極的な摂取が勧められることになるかもしれません。ビタミンDが不足すると、骨粗しょう症や骨軟化症といった骨が弱くなる病気が起こりやすくなったり、免疫力が損なわれたりする可能性も指摘されています。
ただし、ビタミンDは脂溶性のビタミンであり、過剰摂取は高カルシウム血症、肝機能障害などのリスクになります。
今後の研究を待ち、ビタミンD摂取に関する何らかのガイドラインが作成されることを望みたいと思います。
(谷口恭)
注:この論文は下記URLで要約を読むことができます。
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