医療ニュース

2013年8月6日 火曜日

2007年8月4日(土) アトピーの新薬がアメリカで話題に

 現在、アメリカではMAS063DP(商品名はAtopiclair)という非ステロイド性のクリーム剤がアトピー性皮膚炎に効果があるとの研究発表がおこなわれ話題を呼んでいます。

 先日シカゴで開催された小児皮膚科学会で、この新しいクリームに対する研究報告が発表されました。(報道は8月1日のMedscape)

 研究ではMAS063DPを生後6ヶ月から12歳の小児69人に1日3回、43日間外用し、77%に効果が認められています。一方、対照群には、MAS063DPの有効成分を含まないクリームを使いこちらの有効率は0%でした。

 副作用については合計116件報告されましたが、有害事象はすべて軽症ないし中等症だったそうです。

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 アトピー性皮膚炎の患者さんには朗報かもしれませんが、安心して使用できるまでにはさらに多くの研究が必要となるでしょう。また、この薬の費用は相当高いらしく、この点も解決しなければならない問題であるといえます。

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2013年8月6日 火曜日

2007年8月4日(土) タバコで余命が3.5年短縮

 タバコを吸う男性の40歳の時点での平均余命は、吸わない男性より3.5年短い・・・

 このような研究発表を厚生労働省の研究班がおこないました。(報道は7月24日の共同通信)

 研究班は、1980年に全国300ヵ所の保健所で健康診断を受けた30歳以上の男女のうち、9625人(男性4237人、女性5338人)に対する追跡調査をおこないました。このうち、1999年までに死亡した約2000人の喫煙の有無、年齢別の死亡率などを基に全調査対象者の平均余命を算出しています。

 その結果、健診時にタバコを吸っていた男性は2,666人(喫煙率63%)で、40歳の平均余命は38.6年、もともと吸っていなかった777人については42.1年で3.5年長くなっていました。また、以前は吸っていたけども健診時に禁煙していた794人の余命は40.4年となっています。

 男性喫煙者のうち、1日の本数が「1箱未満」の40歳の平均余命は39年、1-2箱は38.8人、2箱以上は38.1年と、本数が多いほど余命が短くなる傾向となっています。

 一方、女性の喫煙率は9%で、喫煙者(476人)の40歳の平均余命は43.4年、非喫煙者(4793人)は45.6年と2.2年の差がありました。

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 喫煙者の寿命が短いというのは予想通りでしょうが、あらためて数字を示されると、その深刻さが浮き彫りとなります。

 3.5年もの月日があればかなりのことができるはずです。

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2013年8月6日 火曜日

2007年8月4日(土) 成人男性の3割が肥満! 東京都の調査

 健康増進法に基づき東京都が2005年に実施した都民の健康・栄養調査で、成人男性の3割が肥満と認定されたことが東京都福祉保健局のまとまで分かりました。(報道は7月25日の毎日新聞)

 この調査は、2005年の11月に実施されたもので、東京都内253世帯の594人が対象となっています。 

 調査によりますと、男性の29%、女性の15%が肥満との結果がでています。メタボリック症候群についても、女性より男性に多く、男性の19%が「強く疑われる」、25%が「予備軍」となっています。特に40歳以上75歳未満では、「疑われる」が21%、「予備軍」が29%と、この世代の半数が、現在または将来、メタボリック症候群となる可能性が高いということになります。

 また、栄養摂取調査では、1日当たりの平均野菜摂取量が男性305グラム、女性303グラムと、いずれも必要摂取量の350グラムを大幅に下回っていることが分かりました。一方、脂肪摂取量は過剰傾向で、男女とも30-60代の半数以上は、1日の摂取エネルギーのうち脂肪エネルギーの占める割合が、適正値の20%台前半を超えていることが分かりました。

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 日々の診療でも、中年以降の男性に肥満が多いな、という印象がありますが、40代以上の半数がメタボリック症候群になっている(または将来なるかもしれない)という数字には驚かされます。

 しかし、すてらめいとクリニックの患者さんのなかには数ヶ月で10キロ以上のダイエットに成功した人が何人もおられます。

 みなさん、諦めないで頑張りましょう!!

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2013年8月6日 火曜日

2007年8月4日(土) 大腸がんの予防、男性ビタミンB6、女性はコーヒー

 男性はビタミンB6の摂取、女性なら1日3杯以上のコーヒー、さらに日光浴は男女とも大腸がんの予防につながる・・・

 厚生労働省の研究班がこのような調査結果を報告しました。

 研究班は9府県の40-69歳の男女約96,000人を調査しました。コーヒーを1日3杯以上飲む女性は、ほとんど飲まない女性に比べ、大腸がんになる危険性が約3割低く、粘膜を越えて進行する結腸がん(結腸浸潤がん)に限ると、3杯以上の女性は飲まない女性より56%も低いという結果がでています。男性では、大腸がんとコーヒーの関連は見られなかったそうです。

 一方、男性では、魚やナッツに含まれるビタミンB6が効果を示しています。男女約8万人を調査し、1日当たりのB6摂取量で男性を4グループに分け、大腸がんとの関係を比べています。その結果、最も摂取量が少ないグループは、他のグループより危険性が30-40%高く、週に日本酒約7合以上飲む男性でも、B6摂取は効果がありました。女性ではB6との関連は認められていません。

 また、男女約4万人を対象に、体内のビタミンDの貯蔵量別に4グループに分け、直腸がんとの関係を調べたところ、最も少ないグループは最も多いグループに比べ、男性で約4.6倍、女性で約2.7倍も直腸がんになりやすいことが分かりました。ビタミンDは紫外線によって体内で多く合成されるため、適度な日光浴が、直腸がん予防につながる可能性があるとみられています。

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 コーヒーががんの予防になるという結果は世界的に最近よく報告されますが、今回のように男女で差があるというのは私の知る限り初めてです。

参考:はやりの病気第22回 「癌・糖尿病・高血圧の予防にコーヒーを!」

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2013年8月6日 火曜日

2007年8月4日(土) 日本の医師不足が浮き彫りに

 医師の数が少なすぎる!というのは、勤務医であれ開業医であれ、ほとんどの医師が日々感じていることですが、先日、経済協力開発機構(OECD)が発表したデータでそれが浮き彫りとなりました。

 OECDが先月発表した「ヘルスデータ2007」によりますと、人口1000人当たりの医師数は、日本はOECD加盟30ヶ国中27位の2.0人と、OECD平均の3.0人を大きく下回っています。

 一方、1年間に医師の診察を受ける回数は、国民1人あたり日本は13.8回で、データのある28ヶ国中で最多となっています。これは、少ない医師で多くの診察をおこなっていることを意味しています。

 また、高度な医療機器の数が飛び抜けて多いのも日本の特徴のようです。人口100万人当たりのCTの設置数は、日本は92.6台で、2位以下と大差をつけ、OECD平均のおよそ4倍にも相当します。同様にMRIでも日本は1位となっています。

 これに対し、乳がんの発見に役立つ乳房エックス線撮影(マンモグラフィー)を過去1年間に受診した50-69歳の女性は、日本はわずか4.1%です。これはデータのある25ヵ国中最低となっています。

 日本の1人当たりの医療費は、2,358ドル(約28万円)と30ヵ国中19位で、これは先進7ヶ国では最低となっています。

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 以上をまとめると、日本の医療の特徴は、少ない費用で少ない医師が多くの診察をおこない、予防に力を入れず、先進医療にお金をかけすぎているということになります。

 現在日本政府は医療費抑制を目指していますが、予防医療をおこなう医師数を増やすのが日本にとって最も有益な選択ではないでしょうか・・・。

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2013年8月6日 火曜日

2007年8月8日(水) クリニックの院外処方が5割以上に

 8月7日の共同通信によりますと、医療機関が患者に処方せんを出し、外部の薬局が薬を渡す「院外処方」の割合が診療所で初めて5割を超えていることが、厚生労働省の2006年の「社会医療診療行為別調査」で分かりました。

 院外処方率は診療所で前年に比べ2.2ポイント増の51.7%。病院でも1.2ポイント増の62.3%で、医療機関全体では1.8ポイント増の54.6%となりました。

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 意外に知られていませんが、医療機関からみれば、院外処方の方が利益を得られる仕組みになっています。こういう理由もあって、院内処方から院外処方へのシフトが進んでいるのかもしれません。

 しかしながら、患者側からみれば、高くつくのは院外処方でありますから、院内処方を希望される人の方が圧倒的に多いような印象を受けます。

 実際、すてらめいとクリニックでは、院内処方・院外処方のいずれかを選択してもらうようなシステムにしていますが、院外処方を希望する人はほとんどいません。

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2013年8月6日 火曜日

2007年8月10日(金) 独身を貫くと長生き?!

 フランス国立統計経済研究所(INSEE)が家族構成と寿命の関係をめぐる調査結果を8月8日発表し、話題をよんでいます。(報道は8月9日の共同通信)

 調査は1999年時に40-90歳だったフランス生まれの男女約17万を対象としておこなわれました。結婚しているかどうかにかかわらず、半年以上の共同生活を送る2人をカップルとみなしています。
 
 40-50歳の年齢層をみると、カップルの死亡率は、配偶者と離別・死別した人や独身者のグループに比べて、男性で3分の1、女性では半分にとどまっています。他の年齢層でも同様の傾向となっています。

 しかしながら、独身を貫いた高齢者(カップルで暮らした経験が皆無の人)の年間死亡率が7.7%だったのに対し、カップルで暮らす人の死亡率は8.8%という結果がでています。同様に、女性では独身を貫いた人、カップルで暮らす人の死亡率はそれぞれ4.7%、5.0%となっています。

 また、子供の数と死亡率との関係では、男女とも子供が2人いる人の死亡率が低く、子供の数が2人より多くても少なくても死亡率は高くなる傾向が確認されています。

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 この報告をまとめると、長生きする順番は、生涯独身を貫く人、カップルで暮らす人、別れた人、となります。

 報道からはこの理由は分かりませんが、みなさんはどのように思われますか。

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2013年8月6日 火曜日

2007年8月10日(金) 太りすぎは医療費25倍に!

 標準体型の男性が20キロ太ると、糖尿病や高血圧になりやすくなり、年間医療費が1.3-2.5倍に跳ね上がる・・・

 このような調査結果を京都大学経済研究所が発表しました。(報道は8月9日の共同通信)

 同研究所は、2001年の国民健康・栄養調査のデータから約1万人分を抽出し、体重が増えると血糖値や血圧がどのように変化するかを統計的手法で推定し、糖尿病と高血圧の増加に伴う医療費の伸びを調べました。

 その結果、体重64キロの男性が20キロ太ると、新たに発症したり持病が悪化したりするなどして、糖尿病に関する医療費が2.5倍、高血圧では1.3倍に増加することが分かりました。女性では54キロの人が17キロ太ると、それぞれ同じ程度の医療費増加が予測されます。

 この研究の研究員は、「医療費の一部は健康保険でカバーされるが家計を圧迫する。肥満予防が肝心」と、肥満に対し警告を発しています。

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 肥満になれば、病気になって寿命を縮めたり寝たきりになったりするだけでなく、家計にも負担がかかります。ボディイメージが損なわれることも大きなストレスとなります。

 気になる方はダイエットをしっかりと・・・

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2013年8月6日 火曜日

2007年8月11日(土) またもやHIV新規感染が最多、4-6月は270人

 厚生労働省のエイズ動向委員会は7日、今年4月からの3カ月間に国内で新たに報告されたHIV感染者数は270人で、4半期ベースで過去最多だったと発表しました。新規エイズ患者数は110人で過去2位となっています。

 これまでの新規感染者数の最多は昨年4-6月の248人でした。

 今年4-6月の全国でのHIV検査件数は、37,143件と前年同期に比べ大幅に増加しています。委員会の岩本委員長は「検査件数の伸びが感染者数を押し上げた面はあるが、検査が減少した時期も感染者は増え続けており、感染そのものが増えていると考えざるを得ない」とコメントしています。

 感染者270人の内訳をみると、性別では男性が251人と多く、感染経路別では日本国籍男性の同性間性的接触が175人と最多となっています。年齢別では20-30代が76%と大半を占めています。

 患者110人のうち男性は103人で、感染経路は、男性同性間の性的接触が45人、異性間の性的接触が38人です。年齢別では30-50代に多いようです。

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 すてらめいとクリニックでも、HIVはもはやまったく珍しい感染症ではなくなってきています。最近は、他の症状で受診した患者さんに、「なにかかかっている病気はありますか」とお聞きしたときに、「HIV陽性です」と答える人も珍しくありません。

 気になる人は是非検査を・・・。

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2013年8月6日 火曜日

2007年8月22日(水) 父子間でのB型肝炎ウイルス感染が全体の1割!

 B型肝炎ウイルスといえば、性感染と血液感染以外に母子感染があります。ですから、通常は、日本を含むすべての先進国では妊婦健診の項目にこのウイルスが含まれています。

 一方、父子間での感染というのはこれまで考えられていませんでした。父親がB型肝炎ウイルスを持っていてそれが性感染で母親にうつり、出産で子供にうつる場合は間接的に父子間の感染となるかもしれませんが、この場合は母子感染と類別されます。

 ところが、この度、大阪府立急性期・総合医療センターと名古屋市立大の研究チームが、ウイルスの遺伝子解析をおこない、父子間の感染が起きていることを突き止めました。

 父子間でどうやって感染が起こるのかという点については、推測の域を超えませんが、研究チームは、傷口が触れるなどの濃厚な接触が、気付かぬうちに父子間で起きているのではないかとみているようです。

 さらに、肝炎ウイルスに関する厚生労働省研究班代表の大戸斉・福島県立医大教授(輸血医学)は、「B型肝炎ウイルス感染の1割程度は父子間ではないか。家族内に感染者がいる子どもへは、感染者が誰かによらず保険でワクチン接種できるようにすべきだ」と話しています。(報道は8月19日の毎日新聞)

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 HIVに比べると、B型肝炎ウイルスはかなり強い感染力をもっていると言えます。実際、医療従事者の針刺し事故では、B型肝炎ウイルスに罹患する確率はHIVのおよそ100倍とも言われています。(C型肝炎ウイルスはその中間)

 B型肝炎ウイルスの保有者は関西(大阪)に多いこともあり、すてらめいとクリニックを受診する患者さんのなかにも少なくなく、年齢ではだいたい25歳以上の人に多いといえます。これは、今から25年前あたりから母子感染対策が本格的におこなわれてきたからでしょう。

 B型肝炎ウイルスは、傷口が触れただけで感染が成立する可能性が強いわけです。感染予防対策は、まずは自身がウイルスを保有しているかどうかを確認することから始まります。その次に必要なのはワクチン接種です。

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