医療ニュース
2014年8月22日 金曜日
2014年8月22日 運動で「座りっぱなし」のリスクが減少する可能性
あまり日本のマスコミでは報道されませんが、「座りっぱなし」の生活が生活習慣病の大きなリスクになるということを過去何度かお伝えしてきました。(下記メディカルエッセイなど)
座りっぱなしのリスクが難儀なのは、ただ座って過ごす、それだけで健康を害するリスクが上昇し、食事に気をつけようが、運動を定期的におこなおうが、このリスクが軽減しない、ということが指摘されているからです。
ただ、現代人の生活をするのであればまったく座らないというわけにはいきませんし、常識的に考えれば、座りっぱなしの時間をほどほどにして循環動態がよくなる有酸素運動などをおこなえば少しくらいはリスクが下がるのではないの?と思う人もいるでしょう。(実は私もそう思います。というか「思いたい」です。なぜなら、仕事にしても読書にしても映画にしても、ある程度長時間座る生活を完全にやめることはできないからです)
そのような”期待”に応えてくれるかもしれない論文が公表されましたのでお知らせ致します。
座りっぱなしの生活をしていても、フィットネスの時間もとれば健康への長期的影響が少なくなる可能性がある・・・。
これは医学誌『Mayo Clinic Proceedings』2014年7月14日(オンライン版)に掲載された論文(注1)で述べられていることです。
この研究では、米国テキサス州ダラスにあるクリニックの男性患者約1,300人が対象とされています。テレビを見て過ごす時間と車に乗っている時間(つまり「座りっぱなし」の時間)を問診で調査し、運動との関連を調べています。
その結果、フィットネスクラブなどでの運動を積極的におこなっている人は高血圧などのリスクを低下させる可能性があることが分かったそうです。
***************
この論文を読めば多少ほっとできる人も少なくないのではないでしょうか。「座りっぱなし」が挽回のしようのない健康上のリスクファクターならば、映画館では立ち見が、バーに行くなら立ち飲みが基本になってしまうかもしれません。
しかし、この論文でもリスクを減らす可能性があると言っているだけで、「座りっぱなし」が生活習慣病のリスクであることには変わりありません。デスクワークをしている人なら、定期的に立ち上がる癖をつける、とか、ドライバーの人なら信号待ちの時間に腰を上げてみる、といった取り組みはやるべきでしょう。
もちろん定期的な有酸素運動も誰もがすべき、と私は考えています。
(谷口恭)
参考:メディカルエッセイ第129回(2013年10月)「危険な「座りっぱなし」」
注1:この論文のタイトルは「Sedentary Behavior, Cardiorespiratory Fitness, Physical Activity, and Cardiometabolic Risk in Men: The Cooper Center Longitudinal Study.」で、下記URLで全文を読むことができます。
http://www.carenet.com/news/general/hdn/38415?utm_source=m1&utm_medium=email&utm_campaign=2014072700
投稿者 記事URL
|2014年8月18日 月曜日
2014年8月18日 米国国内で蚊からチクングニアに感染
今、世界で最も注目されている感染症といえば、西アフリカでアウトブレイクしているエボラ出血熱ですが、米国で報道されたチクングニアも見逃せません。(エボラ出血熱については今月(2014年8月)号の「はやりの病気」で取り上げる予定です)
チクングニアというのは蚊に刺されることにより、蚊の体内にいたチクングニアウイルスが人の体内に侵入して高熱や倦怠感、関節痛などが発症する感染症です。流行している地域も東南アジアから南アジアが中心ですから、イメージとしてはデング熱と同じようなものと考えて差し支えないと思います。
そのチクングニアがアメリカ人に発症し米国では大きな話題になっています。なぜ大きな話題になっているかというと、海外に渡航していないアメリカ人2人が感染したからです。つまり、チクングニアウイルスを媒介する蚊が米国内に存在するということを意味するのです。
感染したアメリカ人はいずれもフロリダ州在住で、1人は41歳の女性、もう1人は50歳の男性です。2人とも最近は海外渡航をしていないそうです(注1)。
**************
この2人はどのようにしてチクングニアに感染したのでしょうか。私はカリブ海から来た飛行機や船の中、あるいは貨物の中に蚊がまぎれこんで米国にたどり着いたのではないかと思ったのですが、別の見方もあるようです。
それは、カリブ海で蚊にさされてチクングニアに感染した人が米国に渡航し、米国にいる蚊がその人を吸血したときにチクングニアウイルスを体内に取り込み、別の人を吸血するときにそのウイルスを感染させる、というストーリーです。このようなことが簡単に起こるのならば、今後爆発的な速度でチクングニアが蔓延する可能性もなくはありません。
チクングニアという感染症はここ数年で私が耳にする機会が飛躍的に増えてきています。私の場合はNPO法人GINAの関係でタイとつながりがあるというのが最たる理由ですが、増えているのはタイだけでなくアジア全域にかけてです。
さらに興味深いことにここ1~2年の間にカリブ海でアウトブレイクしています。国立感染症研究所感染症情報センターのウェブサイト(注2)には、1952年~2005年の「チクングニアの報告症例の分布」というタイトルの世界地図が掲載されているのですが、なんとこの図ではカリブ海の報告がゼロになっているのです。つまりカリブ海付近の中米諸国では、これまでになかったチクングニアという感染症がここ数年の間に爆発的に増えているということです。
チクングニアの日本での報告は、今のところ、海外で感染し帰国後に発症した例に限られているようですが、これからは米国のように国内での感染例も増えていくかもしれません。
(谷口恭)
注1:米国では多くのメディアがこの話題を取り上げています。例えばUSA Todayは「Nasty chikungunya virus gaining traction in U.S.」というタイトルで報道しています。詳しくは下記URLを参照ください。
http://www.usatoday.com/search/Nasty%20chikungunya%20virus%20gaining%20traction%20in%20U.S./
注2:国立感染症研究所感染症情報センターによるチクングニアの情報は下記URLを参照ください。
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k07/k07_19/k07_19.html
投稿者 記事URL
|2014年7月31日 木曜日
2014年7月31日 糖尿病新薬「SGLT2阻害薬」の副作用
糖尿病の治療がここ数年でドラスティックに変化してきた、ということを以前述べました(注1)。今年(2014年)に入って相次いで新薬が発売されているのが「SGLT2阻害薬」と呼ばれるもので、すでに5つの製品(スーグラ、フォシーガ、ルセフィ、デベルザ、アプルウェイ)が発売されています。
同じ薬効を持つ薬が半年で5種類も発売になったということに驚かされますが、さらに驚くのはこの5つの薬剤を販売している製薬会社が11社(注2)もあるということです。薬の世界ではこのように同じものを複数の製薬会社が発売するということがしばしばあります。複数の会社が販売権を有することになり、ライバル会社が同じ薬の販売でしのぎを削っているのです。これだけ多数の製薬会社が販売に携わっているということは、それだけ市場が大きいことが見込まれている、ということです。さらに、SGLT2阻害薬は、今年中に2つのものが発売になる予定で合計4つの製薬会社が販売する予定です(注3)。
SGLT2阻害薬の作用機序は大変シンプルです。糖尿病は血液中に糖が多いのだからその糖を尿と一緒に出してしまえ、というもので、この薬を飲めば血中の余分な糖が尿と一緒に排出されて血糖値が下がるという仕組みです。
これを聞くとなんだか簡単そうな薬に思われるようです。糖尿病の薬の説明をするときには、インスリン、グルカゴン、インクレチンなどややこしいホルモンの名前が出てきたり、あるいは「インスリン抵抗性」とか「高インスリン血症」などよく分からない言葉が出てきたりしますから、なぜこの薬が効くのか、ということについてきちんと理解されていない患者さんも実際には少なくありません。一方、SGLT2阻害薬は、いらない糖分を尿と一緒に出してしまう、と言うことができますから分かりやすくて好感がもたれやすいのかもしれません。
さて、今回お伝えしたいのは、そのSGLT2阻害薬で副作用が、それも重篤な副作用の報告もでてきている、ということです。
2014年6月13日、日本糖尿病学会は「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」というタイトルの注意勧告(注4)を医師向けに発表しました。この勧告によりますと、脳梗塞3例を含む重篤な副作用が報告されています。
今後SGLT2阻害薬の使用には充分な注意が必要となるでしょう。
*****************
注1の「はやりの病気」にも書きましたが、私自身は当分の間、SGLT2阻害薬を処方するつもりはありません。その理由は、副作用を懸念して、ということもありますが、それ以外に、価格が安くないこと(新薬ですから当たり前です)と、昔からある安くて安全な薬だけで多くの症例が改善するからです。糖尿病の治療は「薬を飲むこと」よりも「生活習慣の改善」の方がはるかに重要です。たとえ、既存の薬で血糖値が思うように下がらない症例があったとすれば、それは既存の薬から新薬に替えれば解決するという問題ではありません。むしろ、新薬に頼りすぎて生活習慣の改善をおろそかにする方がはるかに問題です。
今回日本糖尿病学会が報告した「脳梗塞」についても、私自身はこれからも一定の割合で生じると考えています。「はやりの病気」でも書きましたが、単純に考えて尿の浸透圧が上昇し尿量が増えるでしょうから、脱水状態となり、脳梗塞が起こりうるのです。特に脱水状態に陥りやすい夏場は要注意でしょう。
こんなことを書き、実際に患者さんにもこの新薬を薦めていない私は製薬会社からすれば「好ましくない医者」ということになるでしょうが、もしもこの文章を製薬会社の人が読んでいれば、気を悪くせずに、医師の仕事は「可能な限り薬の量を減らし、かつ価格も安くおさえること」ということを思い出してもらいたいと思います。
(谷口恭)
注1;下記を参照ください。
はやりの病気第125回(2014年1月)「糖尿病治療の変遷」
注2:これら11社とは、アステラス製薬(株)、寿製薬(株)、MSD(株)、ブリストル・マイヤーズ(株)、アストラゼネカ(株)、小野薬品工業(株)、大正富山医薬品(株)、大正製薬(株)、ノバルティスファーマ(株)、サノフィ(株)、興和(株)です。
注2:4つの製薬会社は、田辺三菱製薬(株)、第一三共(株)、日本イーライリリー(株)、日本ベーリンガーインゲルハイム(株)です。
注4:この注意勧告は下記URLで全文を読むことができます。医師向けに書かれていますが、一般の人が読んでいけないことはないと思います。
http://www.jds.or.jp/common/fckeditor/editor/filemanager/connectors/php/transfer.php?file=/uid000025_7265636F6D6D656E646174696F6E5F53474C54322E706466
投稿者 記事URL
|2014年7月28日 月曜日
2014年7月28日 ビタミンBとC、クロレラなどが片頭痛のリスク
ビタミンやミネラルのサプリメントは最近では有害性の報告ばかりが目立つ、ということをこのサイトでも述べる機会が増えてきていますが、今回の報告もそのような内容です。(もっとも、こういったサプリメントが健康によいとする報告も一部にはあり、そのような情報も紹介していく予定です)
今回はビタミン剤などのサプリメントが片頭痛の発症率を上昇させる、という台湾の大規模研究です。医学誌『Headache』2013年7月12日号(オンライン版)に論文が掲載されています(注1)。
18歳から65歳の合計15,414人が参加した台湾の国民調査(実施は2005年)が解析されています。片頭痛を含む慢性の頭痛を有しているのは、男性の17.2%、女性の32.4%で、サプリメントとの関係は男女で異なるようです。
男性の場合、イソフラボンのサプリメントを摂取すると、していない場合に比べて頭痛の発症率が3.86倍にもなるそうです。
女性の場合は、ビタミンB、ビタミンC、緑藻(green algae)(注2)のサプリメントで、頭痛の発症率がそれぞれ1.28倍、1.21倍、1.43倍になるそうです。
**************
サプリメントの頭痛の副作用として、論文は見たことがありませんが、私自身の実感としてはイチョウのサプリメントが多いような印象があります。ビタミン剤については実感としてはありませんし、頭痛を引き起こす理論も見当たりませんが、比較的規模の大きい疫学調査ですから今回の結果は重要視すべきだと思います。
ビタミン剤などのサプリメントは、上に述べたように健康によいとする報告も散見されますが、有害性の報告の方がはるかに多く、おしなべて言えばサプリメントというのはほとんどの人が摂取する必要はありません。
ただし(ここは重要なポイントです)、サプリメントでなく新鮮な野菜や果物、あるいは海藻からビタミンやミネラルを摂取するのは非常に大切です。ですから、サプリメントにお金をかけるのではなく、新鮮な食材を用いた料理にお金をかけるべきというわけです。
(谷口恭)
注1 この論文のタイトルは「The Association Between Use of Dietary Supplements and Headache or Migraine Complaints」で、下記のURLで概要を読むことができます。
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/head.12180/abstract
注2 緑藻(green algae)というのはおそらくクロレラ(またはその類似物)のことだと思われます。
投稿者 記事URL
|2014年7月7日 月曜日
2014年7月7日 「赤ワインが健康に良い」は、もはや幻想・・・
「フレンチ・パラドックス」という言葉をご存知でしょうか。これは、フランス人はあぶらっこい肉料理を好んで食べて、おまけに喫煙率も高いのに、心筋梗塞など心血管系疾患の罹患率が低いことを表した言葉です。フレンチ・パラドックスの原因として90年代初頭に「赤ワイン」が注目を浴び、日本でも「健康で長生きするために赤ワインを」としきりに言われていた時期がありました。
しかし、その後の研究などで、フランスでの心血管疾患に対する統計の取り方に問題があることなどが指摘されるようになり、実際のところは他のヨーロッパ諸国と心血管疾患の罹病率に大差がないとする研究が発表されました。
これをもって、フレンチ・パラドックスは誤りだった、と多くの関係者や医師は考えたわけですが、世の中には簡単には引き下がらない人たちもいるようで、赤ワインに含まれるポリフェノールの1種のレスベラトロールこそが寿命を延ばすんだ、と主張する人たちがでてきました。レスベラトロールのサプリメントも登場し、いまやアメリカだけでレスベラトロールのサプリメントの市場は3,000万ドル(約30億円)にもなるそうです。
しかし、赤ワインが健康食品として一人歩きしたように、レスベラトロールも有効性が充分に検証されないまま市場に大きく広がってしまいました。(おそらくこの”首謀者”は、赤ワインやサプリメントが好きな医療者や研究者でしょう。マルチビタミンやミネラルなどのサプリメントについては、ここ10年くらいは有害性が次第に指摘されるようになってきていますが、それでもごくわずかとはいえサプリメントを信奉する医師がいるのも事実です)
そんななか、ついにレスベラトロールが心血管系の予防には無関係であるという研究結果がでました。医学誌『JAMA Internal Medicine』2014年5月12日号(オンライン版)で発表されています(注1)。
この研究の対象者は、イタリアのトスカーナ州のキャンティと呼ばれる地域(ワイン生産で有名な土地だそうです)に在住の65歳以上の男女783人です。調査期間は1998年から2009年で、各人につき9年間の追跡調査がおこなわれています。期間中に合計268人が死亡し、そのうち174人が心血管系疾患、34人が悪性腫瘍であったようです。
レスベラトロールの尿中濃度により対象者が4つのグループにわけられています。尿中濃度が最も高いグループと低いグループで死亡率に有意差が認められず、心血管疾患に対しても悪性腫瘍に対しても予防効果はなかったようです。さらに、この研究では、心血管疾患や悪性腫瘍の指標に使われる検査値(C反応性蛋白(CRP)、IL-6、IL-1β、TNFなど)にも、レスベラトロールの濃度による差は一切認められなかったようです。
******************
私がこの研究を初めて目にしたのは医学関連の情報ツールではなく、一般の週刊誌(『週間ダイヤモンド』)でした。この研究は少し対象者が少ないように思われますが、一般の週刊誌が取り上げたということはそれだけ世間から強い関心が持たれているということでしょう。
赤ワインにもレスベラトロールにも長寿や疾患予防への期待はすべきではありませんが、赤ワインを飲んではいけないというわけではもちろんありません。少量の飲酒が心血管系疾患のリスクを減少させるという研究はいくつもあります。ただし、飲み過ぎると健康を害するのは間違いなく、また比較的少量のアルコール摂取でも発ガンリスクが上昇するという研究もあります。
つまらない結論になりますが、赤ワインに過度な期待をするのではなく、少量を味わって楽しく飲むのが一番いいというわけです。
(谷口恭)
注1:この論文のタイトルは、「Resveratrol Levels and All-Cause Mortality in Older Community-Dwelling Adults」で、下記のURLで概要を読むことができます。
http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1868537&resultClick=3
参考:医療ニュース
2011年10月26日「女性は中年期の適量の飲酒で高齢期が健康に」
2011年9月10日 「適度な飲酒がアルツハイマーを予防」
2010年8月23日「飲酒が関節リウマチに有効?」
2010年5月21日「飲酒によりリンパ系腫瘍のリスクが低減」
2010年4月8日 「適度な飲酒は女性の体重増加を抑制」
2013年10月4日「女性も多量飲酒で脳卒中のリスクが増加」
2011年4月18日「ビール中ジョッキ1杯で発ガンリスクが上昇・・・」
2009年10月8日 「酒飲みの女性は乳ガンになりやすい」
投稿者 記事URL
|2014年7月4日 金曜日
2014年7月4日 ヒラメの刺身の食中毒にご用心
最近医師の間でしばしば話題になる食中毒に「クドア」があります。
医療者以外の方でこの「クドア」について知っている人はほとんどいないのではないでしょうか。恥ずかしながら、私自身も2~3年前までは「クドア」という病原体の名前すら知りませんでした。ここ1年くらいの間に医療系のサイトやメーリングリストなどでクドアについての記事を目にする機会が増えてきています。先日参加したある寄生虫関連の講演会でも注目の話題になっていました。
クドアとは主にヒラメに感染する寄生虫で、刺身を食べたときに食中毒を起こすことがあります。寄生虫ですから熱すれば死滅します。ですから生でヒラメを食べなければ心配する必要はないのですが、ヒラメの刺身が好物という人も少なくないでしょう。
クドアは正式名を「クドア・セプテンプンクタータ(Kudoa septempunctata)」という舌を噛みそうな名前の寄生虫です。寄生虫というと何やら気持ち悪い生き物を想像する人が多いと思いますが、クドアは気持ち悪いどころか大変美しく花びらのような形をしています。先に紹介した講演会で講演していた医師は、顕微鏡の拡大写真を提示して「女性のワンピースやスカートの柄にすれば売れるだろう」と話していました。これはもちろん冗談ですが、それくらい美しいのです。
クドアによる食中毒と思わしき症例は2000年以降増加しており、正式にクドアが原因と同定されたのが2010年のようです。その後も増加傾向にあり、2014年1~4月でみると、7件のクドア食中毒が発生し、92人が発症したと報告されています。いずれもヒラメ刺身を食べた後の発症だったようです。2013年は21件、患者数244人の報告ですから単純に考えればほぼ同じペースで推移していることになりますが、ピークが8~10月ですから、今年(2014年)は昨年の記録を上回るかもしれません。
クドアを含むヒラメを食べるとどうなるかというと、症状は下痢と嘔吐です。しかし重症化することはほとんどなく、自然に治っていくようです。今のところ薬はありません。
****************
2013年1年間に保健所に届られた報告が21件、244人と聞くと、たいしたことないな、と感じる人もいるでしょう。しかしこれは実態を反映していません。例えば、スーパーで買ってきた刺身を家で食べて軽い下痢をして保健所に届ける人はいないでしょうし、仮に医療機関を受診したとしても診察した医師はまず保健所には届けないでしょう。症状が重症化しませんから医療機関を受診するケースもそう多くないと思います。また専門医の話によると、状況から疑ったとしても患者の体内からクドアを検出するのは困難なようです。以上から、保健所に届られているクドアの食中毒は氷山の一角といえます。
予防法としては、ヒラメは生で食べない、ということになりますが、刺身好きの人に対してはそれでは答えになっていないでしょう。寄生虫ですからおそらく冷凍すれば死滅するはずです。しかし、ヒラメの刺身が解凍したものであれば味が落ちることは必至でしょう。下痢や嘔吐のリスクを背負って生で食べる、という人もいるかもしれません。
ただし、食中毒であることには変わりありませんから、寿司屋などは今後ヒラメの刺身や寿司を出すことを止めるかもしれません。被害にあった人は寿司屋のことを悪く思わないかもしれませんが、例えば集団で発生した場合は診察した医師は保健所に届けざるを得ません。保健所としては食中毒が発生した可能性があれば調査せざるを得ず、クドアが検出されれば一定の期間店を閉めなくてはなりません。そこまでのリスクを背負ってヒラメを供給し続ける店は今後急減するのではないかと私はみています。
(谷口恭)
投稿者 記事URL
|2014年6月30日 月曜日
2014年6月30日 今からでも語学を勉強すれば老化の予防に
以前バイリンガルは認知症になりにくい、というインドの研究を紹介しました(下記参照)。また、決定的なエビデンス(科学的確証)があるとまではいえないものの、語学の習得がアルツハイマーなどの認知症のリスクを下げるとした研究は他にもあります。今回新たに、語学の勉強で脳の老化を防げるという研究が発表されましたので報告したいと思います。
2つ以上の語学が話せれば高齢になったときに脳の老化が予防できる。そして語学の習得は成人になってからでもかまわない・・・。
これは医学誌『Annals of Neurology』2014年6月2日(オンライン版)に掲載された研究です(注1)。
この研究の対象者は1936年にスコットランドで誕生した英語を母国語とする合計853人です。対象者が70代になった2008年から2010年に面談がおこなわれ、語学の習得度と脳の老化との関連性が検討されています。
対象者のうち262人は英語以外に少なくとも1つ以上の言語を話すことができ、そのうち195人は18歳以前に(うち19人は11歳以前に)2つめの(英語以外の)語学を習得していたそうです。残りの65人(注2)は18歳以降の習得だそうです。160人は2ヶ国語、61人は3ヶ国語、16人は4ヶ国語、8人は5ヶ国後を話す、とされています。170人は日常生活では英語だけを話し、残りの90人は専門分野などで2番目の言語を用いているようです。
2つ以上の言語を話す人は、70代になってから受けたメンタルスキルテストの結果が良かったようです。そして、興味深いことに、この傾向は幼少期に語学を習得したグループと成人してから習得したグループで差がなかったようです。
*************
今回の研究結果は、なんで幼少時期に習字とそろばんをさせられて英語を習わせてくれなかったんだ・・・、と英語が苦手なことを親のせいにしているような人には朗報ではないでしょうか。
たしかにリスニングとスピーキングについては、幼少時期から始めた方が有利かもしれませんが、読み書きは必ずしもそうではありませんし、今から初めても老化防止になるなら、やはり勉強した方がいいでしょう。
ただし、論文には、2番目の外国語ができるという表現を「to a degree allowing them to communicate」としています。つまり読み書きだけではダメだということです。なんとか他人とコミュニケーションをとれるレベルにまで持っていく必要がありそうです。
(谷口恭)
注1:この論文のタイトルは「Does bilingualism influence cognitive aging?」で、下記URLで概要を読むことができます。
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ana.24158/abstract
注2:母国語(英語)以外の語学ができる人が262人、そのうち18歳未満でできるようになった人が195人ですから、それ以降にできるようになった人は262-195=67人になるはずですが、なぜか原文では65人になっています。この差の理由は不明です。また何ヶ国後を話すかの合計人数も262人になりませんがこの理由もわかりません。
参考:
医療ニュース2013年11月30日「バイリンガルは認知症になりにくい可能性」
はやりの病気第95回(2011年7月)「アルツハイマーにどのように向き合うべきか」
投稿者 記事URL
|2014年6月30日 月曜日
2014年6月30日 コーヒーで基底細胞癌のリスクが43%も減少
コーヒーは大変身体にいいもので、生活習慣病や多くのガンのリスクを減少させてくれる、という話はこのサイトで何度もしています。
何度もそういうことを述べているからなのか、一部の患者さんから「あたし、コーヒー飲めないんですけど、やっぱりマズイですかね~」などと質問されることがときどきあります。コーヒーが健康にいいことを言い過ぎると、飲めない人は傷ついてしまう・・・、ということがあるのかもしれません。しかし、コーヒーがすべてというわけではもちろんなく、他に健康を維持する方法、というよりコーヒーなどより重要なことはたくさんあるわけで、コーヒーが飲めない人はこのような話は軽く聞き流してください。
さて、今回お伝えしたいのは、皮膚ガンの1種である「基底細胞癌」のリスクがコーヒーを飲むことで43%も減少する、という研究です。医学誌『European Journal Cancer Prevention』2014年5月16日号(オンライン版)に紹介されています(注1)。
この研究の対象となったのは、米国コネチカット州在住の40歳未満の非ヒスパニック系白人767人です。この研究は前向き研究(これから何人が発症するかをみる研究)ではなく、後ろ向き研究です。つまり、767人のうち、基底細胞癌をすでに発症している377人と、その対照(コントロール)として良性の皮膚疾患を発症している390人を、聞き取りによりコーヒーなどをどれくらい飲んでいたかを調べているのです。
その結果、最もカフェインをたくさん摂取していたグループでは、まったく摂取していなかったグループに比べて、基底細胞癌発症のリスクが43%も低かったそうです。
*******************
この研究はコーヒーだけでなく紅茶(論文ではteaとなっていますが、英語でteaと言えば日本茶や緑茶でなく紅茶のことをいいます)も合わせて検討されています。つまり、コーヒーでも紅茶でもいいからカフェインを多く摂っている人は基底細胞癌のリスクが減少していた、というのが結論です。ですから、今回の研究に関していえば、コーヒーが飲めない人は紅茶を飲めばそれでいい、ということになります。
ところで基底細胞癌というのは、長年の紫外線暴露が最大のリスク要因であり、日本では、例えば農作業に従事していた高齢者などに多いという特徴があります。私がこの論文を読んでまず感じたのは、白人では基底細胞癌を発症する40歳未満がそんなにも多いのか、ということです。私はこれまで40歳未満どころか、50代の基底細胞癌も診たことがありません。
そういう意味ではこの研究は日本人には縁のない話かもしれません。日本人が基底細胞癌のリスクを減らすのに重要なことは、カフェインをたくさん摂る、ではなくて、若い頃から紫外線対策をしっかりおこなう、ということです。
(谷口恭)
注1:この論文のタイトルは「Tea, coffee, and caffeine and early-onset basal cell carcinoma in a case?control study」で、下記のURLで概要を読むことができます。
http://journals.lww.com/eurjcancerprev/Abstract/2014/07000/Tea,_coffee,_and_caffeine_and_early_onset_basal.11.aspx
参考:
医療ニュース2013年4月18日「コーヒーでも緑茶でも脳卒中のリスク低減」
医療ニュース2013年1月8日「コーヒーで口腔ガン・咽頭ガンの死亡リスク低下」
医療ニュース2012年12月3日 「コーヒーも紅茶も生活習慣病に有効」
医療ニュース2012年10月1日 「コーヒーは消化管疾患と無関係」
医療ニュース2010年5月24日 「紅茶で大腸ガンのリスクが上昇?」
はやりの病気第22回(2005年12月)「癌・糖尿病・高血圧の予防にコーヒーを!」
はやりの病気第30回(2006年4月)「コーヒー摂取で心筋梗塞!」
投稿者 記事URL
|2014年6月16日 月曜日
2014年6月16日 梅毒が増えていると言うけれど・・・
ここ1~2ヶ月の間、梅毒が増えているという新聞記事を目にする機会が多いように思われます。記事のタイトルの例(すべてオンライン版)を少し紹介すると・・・
「梅毒、若い男性に増加 妊婦通し胎児にうつる恐れも」 日経新聞(2014年5月23日)
「梅毒、都市部の男性中心に拡大 昨年、21年ぶり千人超」 朝日新聞(2014年6月6日) 「梅毒が東京でアウトブレイク」 読売新聞(2014年5月20日)
「梅毒が若年層に増加 昨年1000人超、「過去の病気」ではない!」産経新聞(2014年4月6日)
「梅毒、なぜか急増 3年で倍、国が注意喚起 検査拡大が必要」共同通信(2014年5月27日)
なぜこのような報道がおこなわれているかというと、2013年の梅毒の届出件数が例年に比べて増加しているからです。
*********
しかしこれは実態を反映していないと私は考えています。つまり、梅毒が突然急激に増えたのではなく単に届けられる件数が増えただけです。感染症の発生動向は、その感染症の種類によって充分に注意をしなければなりません。一般に、重症となりうる感染症については発表される感染者数は比較的正確です。なぜなら診断した医師は届出をおこなわなければならないと考えるからです。HIVがその代表でしょう。ですからHIVについては、医療機関で診断がついた人数と届出された人数にそれほど差はないといえます。(ただし検査を受けておらず感染していることに気付いていない人は大勢います)
一方梅毒は、治療をすれば比較的簡単に治る疾患ということもあり、医師が届けていないことがまあまああるのです。届出を怠れば(たしか)50万円以下の罰金則があったと思うのですが、実際にこれを払った医師というのは聞いたことがありません。届出を怠るのは医師の怠慢ではないか、という声があるでしょうが、届出義務があることを知らない医師も少なくないというのが実情です。
梅毒の届出数が実態を反映していない理由は他にもあります。例えば、医師が梅毒の診断をつけられなかったけれど、リンパ節の腫脹や皮膚症状から抗菌薬を処方して結果的に治った、というケースも少なくないと思われます。また、梅毒がHIVと異なるのは、自然治癒もありうるということです。いつのまにか感染していつのまにか治っていたというケースではそもそも医療機関を受診しません。あるいは細菌性扁桃炎や細菌性腸炎など他の理由で抗菌薬の投与を受け、たまたま感染していた梅毒も治ってしまったと思われる例も少なくありません。
もちろんHIVと同じように、感染していて治療が必要だけれども、無症状のために検査を受けていない、という人も大勢いるに違いありません。
では、現在日本に梅毒に感染している人は実際にはどれくらいいるかというと、発表されている人数の数倍から十数倍にはなるのではないかと私はみています。日本ではHIV陽性者の多くが男性同性愛者であるのに対し、梅毒は女性やストレートの男性にも珍しくありません。実際、太融寺町谷口医院の患者さんをみてみても、梅毒は性別や性指向に関係なくみつかります。
梅毒は簡単に治る病気ではありますが、発見が遅れると、脊髄まで進行して車椅子の生活を余儀なくされたり、母子感染で奇形が生じたりすることもあります。
新しいパートナーができれば性交渉を持つ前に検査、が最善ですが、突然生まれるロマンスもあるでしょう。今からでも遅くはないので交際しているカップルは二人で検査を受けるべきです。現在パートナーがいないという人でも思い当たる行為のある人は検査を受けるべきでしょう。
(谷口恭)
投稿者 記事URL
|2014年6月2日 月曜日
2014年6月2日 オリーブオイルで心房細動が予防できる可能性
不整脈というのは治療を要しない軽症のものまで含めると多くの人が持っていますが、重症のものであれは時に致死的になることもあります。比較的よくあるもので重症化するのが心房細動と呼ばれる不整脈です。長嶋茂雄さんが脳梗塞をおこされリハビリに励まれているのは有名ですが、この脳梗塞の原因が心房細動と言われています。
心房細動の病態は心臓の一部が細かく震えるということですが、これが続くと小さな血の塊ができて、その血の塊が脳の血管を詰まらせてしまい、脳梗塞を発症するのです。心房細動がやっかいなのは、元々心臓の病気を持っている人が起こしやすいのは事実ですが、そのような心臓の病気を持っていなくてもほとんど誰にでも起こりうるということです。
高齢になればなるほど発症しやすいのは事実ですが、30代でも珍しくありません。また喫煙や肥満、高コレステロール、高血糖、高血圧などのいわゆる心血管系疾患のリスクがまったくなくても発症します。運動をしてもリスクが減るわけではなく、むしろ激しいトレーニングをしているアスリートのリスクが上がることが指摘されています。長嶋茂雄さんに発症したことからもそれは分かるでしょう。
さて、その心房細動の予防については(私の知る限り)ほとんど有効なものが報告されていないのですが、最近、オリーブオイルが有効かもしれない、という研究が発表されましたので報告します。
医学誌『Circulation』2014年4月30日号(オンライン版)に掲載された論文(注1)によりますと、オリーブオイル摂取で心房細動のリスクが有意に低下するそうです。
この研究はスペインのナバラ大学(University of Navarra)公衆衛生学教室のMiguel Á. Martínez-González氏らによっておこなわれています。
研究の対象は、追跡開始時点で心房細動を発症していなかった6,705人です。対象者は、オリーブオイルを積極的に摂取するグループ(2,292人)、ナッツ類を積極的に摂取するグループ(2,210人)、カロリー制限食を実施するグループ(2,203人)の3つにわけられ、平均4.7年間の追跡調査がおこなわれました。
その結果、心房細動を発症したのは、オリーブオイルのグループで3.1%(72人/2,292人)、ナッツのグループで3.7%(82人/2,210人)、カロリー制限のグループで4.2%(92人/2,203人)だったそうです。これらを統計学的に解析すると、カロリー制限のグループに比べ心房細動のリスクが、オリーブオイルのグループでは38%、ナッツのグループでは11%低下するという結果になったそうです。
****************
この研究を受けて、というわけではないと思いますが、私がときどき行くレストランのサラダバーのドレッシングのコーナーにオリーブオイルが置かれていました。早速試してみると、不味くはないのですが、酸味と辛さが物足りなく感じました。しかし、オリーブオイルを中心にして、酢と塩こしょうで味を調えれば、オリジナルのオリーブオイルドレッシングをつくることができるのではないかと思いました。(まだ試していませんが・・)
和食は今でも世界一の健康食と考えている人は少なくありませんが、最近の医学論文を読んでいると、そのような和食の栄光も「今は昔・・」というような気がします。最近もてはやされるのは地中海食ばかりです。そしてその主役が、今回紹介した研究でも取り上げられているオリーブオイルとナッツです。
私は食べ物とかグルメ関係の情報には疎いのですが、現在の日本で地中海食というのはどの程度注目されているのでしょうか。そもそも「地中海食」の定義はどのようなものになるのでしょう。ギリシャ料理とポルトガル料理ではあまり似ていないような気がしますし、ギリシャのパスタは不味いけれどフェリーで15時間のイタリアに入ったとたんに突然美味くなる、という話を複数の知人から聞いたことがあります。モロッコやチュニジアの料理も地中海料理になるのでしょうか。また、トルコ料理はどうなるのでしょう。
一度このあたりで日本人の食に詳しい人に地中海料理について解説してほしいのですがそのような人はいないのでしょうか・・・。
(谷口恭)
注1:この論文のタイトルは「Extra-Virgin Olive Oil Consumption Reduces Risk of Atrial Fibrillation: The PREDIMED Trial」で、下記URLで概要を読むことができます。
http://circ.ahajournals.org/content/early/2014/04/30/CIRCULATIONAHA.113.006921.abstract?sid=e50b739c-6b2b-4578-b683-1e170ea5cbcc
参考:
医療ニュース2014年1月6日「ナッツを毎日食べると健康で長生き」
メディカルエッセイ第109回(2012年2月号)「糖質制限食はダイエットにどこまで有効か」
投稿者 記事URL
|最近のブログ記事
- 2025年6月29日 食物アレルギーがある人の搭乗、重症化したり拒否されたり……
- 2025年6月1日 一度の採血でがんを診断し治療薬まで決められる「革命」
- 2025年5月30日 若者の半数がネットのない世界を望み7割がSNSで病んでいる
- 2025年5月6日 大気汚染は認知症のリスク
- 2025年4月28日 認知症予防目的に帯状疱疹ワクチン
- 2025年4月10日 ビタミンAの過剰摂取に注意
- 2025年3月24日 魚の油のサプリメントは無効
- 2025年3月20日 女性のADHDが増えている
- 2025年2月13日 睡眠薬により脳内に老廃物が貯まるメカニズム
- 2025年2月6日 肉食ダイエットはほどほどに……
月別アーカイブ
- 2025年6月 (2)
- 2025年5月 (2)
- 2025年4月 (2)
- 2025年3月 (2)
- 2025年2月 (2)
- 2025年1月 (2)
- 2024年12月 (2)
- 2024年11月 (2)
- 2024年10月 (2)
- 2024年9月 (4)
- 2024年8月 (1)
- 2024年6月 (2)
- 2024年5月 (2)
- 2024年4月 (2)
- 2024年3月 (2)
- 2024年2月 (3)
- 2024年1月 (1)
- 2023年12月 (2)
- 2023年11月 (2)
- 2023年10月 (2)
- 2023年9月 (2)
- 2023年8月 (1)
- 2023年7月 (3)
- 2023年6月 (2)
- 2023年5月 (2)
- 2023年4月 (2)
- 2023年3月 (2)
- 2023年2月 (2)
- 2023年1月 (2)
- 2022年12月 (2)
- 2022年11月 (2)
- 2022年10月 (2)
- 2022年9月 (2)
- 2022年8月 (2)
- 2022年7月 (2)
- 2022年6月 (2)
- 2022年5月 (2)
- 2022年4月 (2)
- 2022年3月 (2)
- 2022年2月 (2)
- 2022年1月 (2)
- 2021年12月 (2)
- 2021年11月 (2)
- 2021年10月 (2)
- 2021年9月 (2)
- 2021年8月 (2)
- 2021年7月 (2)
- 2021年6月 (2)
- 2021年5月 (2)
- 2021年4月 (4)
- 2021年3月 (2)
- 2021年1月 (2)
- 2020年12月 (3)
- 2020年11月 (3)
- 2020年9月 (2)
- 2020年8月 (2)
- 2020年7月 (1)
- 2020年1月 (2)
- 2019年12月 (2)
- 2019年11月 (2)
- 2019年10月 (2)
- 2019年9月 (2)
- 2019年8月 (2)
- 2019年7月 (2)
- 2019年6月 (2)
- 2019年5月 (2)
- 2019年4月 (2)
- 2019年3月 (2)
- 2019年2月 (2)
- 2019年1月 (2)
- 2018年12月 (2)
- 2018年11月 (2)
- 2018年10月 (1)
- 2018年9月 (2)
- 2018年8月 (1)
- 2018年7月 (2)
- 2018年6月 (2)
- 2018年5月 (4)
- 2018年4月 (3)
- 2018年3月 (4)
- 2018年2月 (5)
- 2018年1月 (3)
- 2017年12月 (2)
- 2017年11月 (2)
- 2017年10月 (4)
- 2017年9月 (4)
- 2017年8月 (4)
- 2017年7月 (4)
- 2017年6月 (4)
- 2017年5月 (4)
- 2017年4月 (4)
- 2017年3月 (4)
- 2017年2月 (1)
- 2017年1月 (4)
- 2016年12月 (4)
- 2016年11月 (5)
- 2016年10月 (3)
- 2016年9月 (5)
- 2016年8月 (3)
- 2016年7月 (4)
- 2016年6月 (4)
- 2016年5月 (4)
- 2016年4月 (4)
- 2016年3月 (5)
- 2016年2月 (3)
- 2016年1月 (4)
- 2015年12月 (4)
- 2015年11月 (4)
- 2015年10月 (4)
- 2015年9月 (4)
- 2015年8月 (4)
- 2015年7月 (4)
- 2015年6月 (4)
- 2015年5月 (4)
- 2015年4月 (4)
- 2015年3月 (4)
- 2015年2月 (4)
- 2015年1月 (4)
- 2014年12月 (4)
- 2014年11月 (4)
- 2014年10月 (4)
- 2014年9月 (4)
- 2014年8月 (4)
- 2014年7月 (4)
- 2014年6月 (4)
- 2014年5月 (4)
- 2014年4月 (4)
- 2014年3月 (4)
- 2014年2月 (4)
- 2014年1月 (4)
- 2013年12月 (3)
- 2013年11月 (4)
- 2013年10月 (4)
- 2013年9月 (4)
- 2013年8月 (172)
- 2013年7月 (408)
- 2013年6月 (84)