医療ニュース
2015年2月28日 土曜日
2015年2月28日 温泉で痛みがとれてぐっすり睡眠
湯治(とうじ)という言葉があります。温泉地に長期間滞在し、温泉につかることで持病を治す、という治療法です。最近はそれほどおこなわれていないとは思いますが、今も一部の温泉ではリウマチなどの慢性疾患の患者さんが訪れるといった話をときどき聞きます。
ただ、こういった治療法は疾患ガイドラインに記載されているわけではありませんし、必ずしも効果が実証されているとは言い難く、標準的な治療とは呼べません。また、通常湯治では長期間の滞在が必要になりますから多くの人にとって現実的ではないでしょう。
しかし、小規模ながら温泉が様々な疾患に有効とする研究もあり、湯治のように温泉地に何ヶ月にもわたり滞在しなくても、今は交通手段も発達していますから、短い期間の温泉入浴が健康に寄与するなら考えてみたいものです。
12日間の温泉治療プログラムで、健康な高齢者の疼痛、気分状態、睡眠、抑うつ状態が有意に改善・・・
このような研究結果が医学誌『Psychogeriatrics』2014年12月16日号(オンライン版)に掲載されました(注1)。この医学誌のサブタイトルは「The Official Journal of the Japanese Psychogeriatric Society」で、日本語にすると「日本の老年精神医学会の公式な医学誌」となりますから、対象とされたのは日本の温泉かと思いましたが、スペインの温泉地での研究でした。
スペイン人の高齢者52名(男性23名、女性29名)を対象とし、12日間の温泉治療プログラムに参加してもらい、疼痛(pain)、気分(mood state)、睡眠(sleep)、抑うつ状態(depression)の改善度が評価されています。
その結果、温泉療法により、全員のすべての症状が改善したそうです。男女差もあったようです。疼痛については男性の方が改善度が高く、抑うつ状態については女性の方が高かったようです。
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この研究は規模がさほど大きくなく、症状の評価は主観によるものであり、科学的確証度(エビデンスレベル)が高いとは言えないかもしれません。しかし、参加した52人の全員の気分が良くなり、痛みがとれ、ぐっすり眠れるようになっているわけで、一方では、この治療による「副作用」は一切ありません。(入浴場で転倒するといったリスクはあるかもしれませんが)
温泉は世界中にあるといえばありますが、温泉地の数、質、衛生度、旅館の心地よさ、周囲の風景、食事、お酒、と、どの観点からみてもおそらく日本が世界一でしょう。日本の次は台湾でしょうか。(今回の研究の舞台となったスペインを含め南欧の温泉も有名なようですが私は詳しくありません・・・)
湯治とまでいかなくても、ぐっすり眠り気分を良好にし、身体の痛みを和らげるために温泉地に長期滞在する、あるいはリタイア後の人生を温泉地で過ごす、という高齢者が今後増えてくるのではないでしょうか。太融寺町谷口医院は旅行医学をおこなっている関係で、リタイア後の海外移住の相談をされる患者さんがときどきいますが、案外、海外よりも日本の温泉地の方が快適に過ごせるかもしれません。
(谷口恭)
注1:この論文のタイトルは、「Effect of a 12-day balneotherapy programme on pain, mood, sleep, and depression in healthy elderly people」で、下記URLで概要を読むことができます。
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/psyg.12068/abstract
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|2015年2月27日 金曜日
2015年2月27日 プラセボは「高価な」方が有効
「プラセボ」または「プラシーボ」という言葉はかなり有名だと思います。日本語では「偽薬」つまり、本当は薬でないのだけれど患者さんに薬と偽って処方する薬のことです。不思議なことにこのようなものでも効くときは効きます。(プラセボは英語ではplaceboで、これを無理にカタカナにすると、プラシーボ(シにアクセント)ですが、なぜか日本語の文章では「プラセボ」とされることが多いので、このサイトでもプラシーボではなくプラセボと表記することにします)
同じプラセボでも「高価な薬剤」と言えば高い効果が得られる・・・。
医学誌『Neurology』2015年1月28日号(オンライン版)にこのような研究結果が報告されています(注1)。研究内容は以下の通りです。
研究の対象とされたのは中等度のパーキンソン病の12名の患者です。2つのグループにわけて、一方には「1回あたり100ドル(約12,000円)の新しい薬」と伝え、もう一方には「1回あたり1,500ドル(約180,000円)の新しい薬」と伝え、同じように注射をしています。両方とも注射の中身は単なる生理食塩水です。
その結果、どちらのプラセボも症状改善に有効であり、高価なプラセボは安価なプラセボよりも高い効果が得られた、ことが分かったようです。
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なんだか倫理的に問題のありそうな研究に思えなくもないですが、その後被験者にはその注射がプラセボであったことを伝えたそうです。被験者のなかに、「高価な薬剤だからといって期待はしていなかった」と答えた人が4人いたそうで、この4人では偽薬の効果はあまり出ていなかったようです。
プラセボを上手く使いこなせるのが一流の医者、と昔どこかで聞いたことがありますが、私自身はまだまだその域に達しておらず、とてもそのような芸当はできません。ただ、なんとなくではありますが、医師としての経験が長くなるにつれてプラセボ効果は間違いなくある、というのが実感できるようになってきました。
そういう意味で、私自身は、例えばサプリメントの相談をされたときには「効果が実証できていないだけでなく有害性の報告もありますよ」というような説明をすることが多いのですが、すでに気に入って飲んでいる人には「そのまま続けてもいいのでは」と助言することも少なくありません。
(谷口恭)
注1:この論文のタイトルは「Placebo effect of medication cost in Parkinson disease」で、下記URLで概要を読むことができます。
http://www.neurology.org/content/early/2015/01/28/WNL.0000000000001282.short
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|2015年2月6日 金曜日
2015年2月6日 男性の喫煙は痛風を抑制
私は元喫煙者ですが、現在の立場は「すべての人が禁煙すべき」というものです。自分が喫煙していた頃は、禁煙推進者から「タバコには何のメリットもない」と言われると、「わずか5分間でリラックスできることと、喫煙所で友達ができることは明らかなメリットだ!」と反論していたのですが、医師になってからはこのようなことも言わなくなりました。
喫煙が身体にも精神にも有害だとする研究が相次ぎ、誰もが禁煙すべきというのは自明でしょう。しかし科学は公平でなければならず、盲目的になってはいけません。喫煙が身体に良いという研究があれば伏せてはいけないのです。
男性の喫煙は痛風の発症を抑制する・・・
この意外な結論が導かれた研究が医学誌『Rheumatology』2015年1月号(オンライン版)に掲載されました(注1)。
この研究は、研究開始時に痛風をおこしたことがなかった米国人の男性2,279人と女性2,785人を対象とし、1948年~2002年となんと最長54年間もの追跡データを解析しています。この間に痛風を発症したのは合計399人(男性249人、女性150人)です。発症者を喫煙者と非喫煙者に分けて発症率を分析したところ、全体(男女合算)では、喫煙者の発症リスクは非喫煙者の0.76倍と、なんとタバコを吸うことにより24%もリスクが低減されるという結果がでたのです。
これを男女別々で分析すると、男性ではリスクが0.68倍、女性では0.92倍と、女性よりも男性で有意にリスク低下があることが判ったのです。
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この研究に影響を受けて痛風発作を起こしたことがある人が喫煙を開始する、などということはあってはならないことであり、この論文の執筆者も喫煙をすすめているわけでは決してありません。
しかし、禁煙を開始した人が、その後尿酸値が高くなり痛風発作を起こすリスクがあるというふうには考えるべきでしょう。禁煙を開始するとほとんどの人は食欲が亢進し、一時的ではありますが体重が増えます。すると高血圧、高血糖、高脂血症という生活習慣病のリスクが上昇します。尿酸値も上がるのであれば、禁煙後の健診は非常に大切になってきます。もちろん一時的にこれらの数値が上昇したとしても、禁煙をおこなうことで生活習慣病のリスクが大きく下がることが最も重要なことです。
尚、なぜ喫煙で痛風が抑えられるかというメカニズムについては、プリン体から尿酸が生成されるときに必要となる「キサンチンオキシダーゼ」という酵素が、喫煙により不活化されるからではないかと考えられます。
(谷口恭)
注1:この論文のタイトルは「Cigarette smoking is associated with a reduction in the risk of incident gout: results from the Framingham Heart Study original cohort」で、下記のURLで概要を読むことができます。
http://rheumatology.oxfordjournals.org/content/54/1/91.abstract?sid=5c8d98e7-c04e-4eec-b3a8-002a2714ffe2
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|2015年2月2日 月曜日
2015年2月2日 寝る前のスマホやタブレットはNG
ここ数年、産業医学関連のトピックスで最も大きなもののひとつが「ブルーライトによる睡眠障害」です。具体的に言えば、スマートフォン(以下「スマホ」)やiPADなどのタブレットが放つブルーライトが目を疲労させ睡眠を妨げているという問題です。それを証明するような研究も出てきており、今回はそれを紹介したいのですが、まずは「ブルーライト」のおさらいからしておきましょう。
ブルーライトの定義は「波長が380~495nm(ナノメートル)の青色光」となります。そう言われても、物理が苦手な人などはピンとこないかもしれません。ここでは、すべての光線には「波長」というものがあること、光線は「紫外線」「可視光線」「赤外線」の3つに分類できること、「紫外線」はその波長が最も短いものということの3つを押さえておきましょう。そして、紫外線が身体に有害であるということは聞いたことがあると思います。
ブルーライトは可視光線のなかで最も波長が短い、つまり紫外線に最も近いという特徴があります。紫外線に最も近いわけですから可視光線のなかでは最も人体に悪影響を与えることになるのです。
最近は「ブルーライト」という単語を一般のマスコミなどでも聞く機会が増えてきています。これはLEDの普及によるところが多く、スマホやタブレットに使用されることにより、至近距離でブルーライトに暴露されることが増えているからです。
スマホやタブレットなどの電子書籍で読書をすると紙の書籍に比べ睡眠や生活リズムに悪影響を与える・・・
これは医学誌『Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)』2015年1月27日号(オンライン版)(注1)に掲載された研究結果です。
米国ボストンのBrigham and Women’s Hospitalの研究者の研究で、研究の対象者は男女各6人の成人12人(平均年齢24.92歳)です。彼(女)らに就寝前に紙の書籍または電子書籍を読んでもらい、睡眠や生活リズムにどの程度の違いが生じるかを分析しています。
その結果、電子書籍を読むと、紙の書籍に比べて、入眠までの時間が延長し、熟眠が妨げられ、また起床時にすっきり目覚められなくなるという結果が出たようです。
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この研究は対象者が少ないですから、これだけでブルーライトの危険性を論じることはできないかもしれませんが、電子書籍を寝る前に読むと、紙の本と比べると眠りにつきにくい、という経験をされた人も少なくないのではないでしょうか。
最近は企業などでパソコンやiPADのブルーライト対策を実施することが推奨されています。スマホやタブレットは自宅で(プライベートで)用いるでしょうから、各自が対策を立てるべきです。幸いなことに(少々値段は高いですが)ブルーライトカットのフィルムが販売されていますから使用を検討してもいいでしょう。
ちなみにiPAD用のブルーライトカットのフィルムは私自身も使用しています。フィルムを貼ると全体の色が少し黄色っぽくなりますが文字を読むのに不都合はありません。ただ、私自身は寝る前に本を読むと、それがiPADであっても紙の書籍であっても以前からすぐに睡魔に襲われていましたから、差は感じられませんが・・・。
(谷口恭)
注1:この論文のタイトルは「Evening use of light-emitting eReaders negatively affects sleep, circadian timing, and next-morning alertness」で、下記URLで全文(PDF)を読むことができます。
http://www.pnas.org/content/112/4/1232.full.pdf+html?sid=907ea559-844f-4e03-ad99-1eca5924c568
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|2015年1月31日 土曜日
2015年1月31日 やはりアジア人は太るべきでない
数年前から、少し肥満気味の方が長生きする、ということが指摘されています。最近私が患者さんから教えてもらった言葉に「ちょいメタボ」というものがあります。その患者さんによると、なんでも「ちょいメタボ」が最も健康であるようなことを言う専門家(?)がいるそうです。(尚、「ちょいメタボ」は「ちょいメタ」と呼ぶこともあるそうです)
たしかに海外では以前から肥満のグループの方が普通の体重よりも長生きするというデータがあることが指摘されていますし、日本でも、例えば約44,000人を対象とした東北大学の研究でもBMI25~30(注1)のグループが最も長生きした、というデータがあります。
しかしこのようなデータには「落とし穴」があります。それは数字だけを見ていても分かりません。実際に多くの患者さんをみて初めて分かることがあるのです。その「落とし穴」とは、多くの日本人にとってBMI25を越えると、肝機能障害や高血圧、高脂血症、糖尿病が増える、という事実です。つまりBMIが25~30が統計上長生きするのが事実だとしても、「健康」には生きていない人が少なくないということです。
では、なぜBMIが25~30の肥満傾向にあるグループの方が平均寿命が長くなるのでしょうか。それはこの程度の肥満であれば薬を使うことによって生活習慣病の合併症を防ぐことができるからではないか、と私は考えています。また、このグループの人たちは定期的に医療機関に通院している人が多く、例えばガンなどが早期発見されやすい、ということもあるかもしれません。
しかし人間は単に長生きすればそれでいいというわけではありません。やはり「健康に長生き」すべきです。私の印象で言えば「健康で長生き」している人は肥満のグループではなく「適正体重」の人たちです。また、これも私の印象ですが、特に90歳以上で健康な人たちのほとんどは適正体重であり、肥満者はめったにいません。
先に述べたように、私が日頃みている患者さんでいうと、ちょうどBMIが25を越えたあたりで一気に肝機能障害、高血圧、高脂血症、糖尿病などが増え出します。これらは生活習慣以外に「遺伝」で決まっている面もあり、日本人はこれら生活習慣病などに罹患しやすい遺伝子を持っていると言われています。
それを裏付けるような発表が米国糖尿病学会(American Diabetes Association)(以下ADA)から2014年12月23日に発表されました(注2)。
ADAは糖尿病のスクリーニング検査を推奨するBMI値を従来は25としていました。しかし、今回の発表で「アジア系アメリカ人」の住民については23に設定しなおしたのです。これは、多くのアジア系米国人が一般的なアメリカ人に比べると、BMIが低くても糖尿病を発症していることを示すデータがあるからです。
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この発表では「アジア系アメリカ人(Asian Americans)」のきちんとした定義が述べられておらず、どの程度アジア人の遺伝子が入った人かはわかりません。また、この発表では「アジア系アメリカ人」と「アジア人」の比較については言及されていません。しかし、常識的に考えて、低いBMIでも糖尿病になりやすいのは、アジア人>アジア系アメリカ人>一般的なアメリカ人、となるはずです。
ということは、やはり我々日本人は欧米人よりも糖尿病には気をつけるべきであり、「ちょいメタボが長生き」などと呑気なことを言うべきではありません。
おそらく「ちょいメタボが長生き」と主張する人たちは、公衆衛生学的な観点からしかみておらず、実際の患者さんを診ていないのでしょう。こういう人たちも、BMIが25程度で(2型)糖尿病がすでに進行してしまい、白内障や腎機能障害をおこしてしまっている患者さんを何人か診察すれば、「ちょいメタボが長生き」などという無責任な説をすぐに撤回するに違いない、と私は思います。
(谷口恭)
注1:BMIはBody Mass Indexの略で、体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割って算出します。例えば、体重88キログラム、身長2メートルの人であれば、88÷2の2乗=88÷4=22となります。
注2:ADAのこの発表のタイトルは「American Diabetes Association Releases Position Statement on New BMI Screening Cut Points for Diabetes in Asian Americans」で、下記URLで全文を読むことができます。
http://www.diabetes.org/newsroom/press-releases/2014/american-diabetes-association-releases-position-statement-on-new-bmi-screening-cut-points-for-diabetes-in-asian-americans.html
参考:医療ニュース
2012年8月27日「太っているだけなら早死にしない?」
2009年10月13日「「太りすぎ」が長生き?」
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|2015年1月30日 金曜日
2015年1月30日 妊娠中のアセトアミノフェンの是非は?
過去にこのサイトでお伝えしましたように(注1)、妊娠中のアセトアミノフェン使用が産まれてくる子どものADHD(注意欠陥・多動性障害)のリスクになるのではないか、との報告があります。
鎮痛剤には複数の種類がありますが、アセトアミノフェンはそのなかで最も安全性が高いとされているものであり、伝統的に最も頻繁に使われています。今後アセトアミノフェンがもしも妊娠中に使えなくなると、痛みのコントロールが大変困難になります。
2015年1月9日、FDA(アメリカ食品医薬品局)は妊娠中の鎮痛薬使用のリスクについての見解を発表(注2)しましたので、ここで簡単に紹介しておきます。
まず、妊娠中の痛みを放っておくリスクですが、FDAは「激しい痛みが持続すると、抑うつ状態や不安感、高血圧をひきおこすことがある」としています。これらは胎児に悪影響を与える可能性がありますから、妊娠中の激しい痛みは取り除くべき、ということになります。
FDAは鎮痛剤を3つのグループにわけて検討しています。1つはオピオイド(麻薬に近いもの)、2つめはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)と呼ばれる鎮痛剤で、日本で有名なものをあげれば、ロキソニン、ボルタレンなどです。薬局で売っている薬ではイブ、ナロンエース、リングルアイビーなどが相当します。そして3つめがアセトアミノフェンです。
まず1つめのオピオイドですが、これは日本では妊婦さんに使用されることはほとんどないと思います。FDAは胎児に「神経管欠損」と呼ばれる先天異常が起こるリスクを指摘しています。
次にNSAIDsについてですが、FDAは確定的ではないものの、「流産」のリスクがある、としています。日本でもほとんどのNSAIDsは、薬局で売っているものも含めて妊娠中は飲んではいけないとされています。
問題のアセトアミノフェンについては、以前の医療ニュース(注1)で紹介した研究についても言及しています。FDAの見解としては、この研究をどのように解釈するかは困難であることを指摘し、現時点では妊娠中のアセトアミノフェン使用と産まれてくる子どものADHDとの関連性を示す確定的な確証(エビデンス)はない、としています。
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FDAも述べているように、妊娠中に耐えがたい持続する痛みが生じれば取り除くべきです。しかし、いくら飲んでも安心という薬はなく、リスクの少ない薬を必要最低限使用するということになります。
日本での妊娠中の使用については「おくすり110番」のサイトがうまくまとめられています(注3)。このサイトによると、やはりアセトアミノフェンが最も安全とされています。オーストラリア基準では唯一「A」が付けられています。
妊娠中にどうしても鎮痛剤が必要なときはやはりアセトアミノフェンの使用を考えるべきでしょう。しかし、痛みがでればアセトアミノフェン、と考える前に注意点を2つ紹介しておきたいと思います。
1つめは、痛みの予防をきちんとおこなうことです。特に頭痛の場合は、ストレスを避けて「同じ時間に起きて同じ時間に寝る」ということを心がけるだけでかなり防げる人もいます。
もうひとつは、同じ妊娠でも妊娠20週以降でアセトアミノフェンのリスクが上昇するという見方があります。つまり、20週以降は特に予防に注意すべきである、ということです。
(谷口恭)
注1:下記医療ニュースを参照ください。
医療ニュース2014年4月4日「妊娠中のアセトアミノフェンがADHDを招く?」
注2:FDAは「FDA has reviewed possible risks of pain medicine use during pregnancy」というタイトルでレポートしています。下記URLで全文を読むことができます。
http://www.fda.gov/downloads/drugs/drugsafety/ucm429119.pdf
注3:下記URLを参照ください。尚「おくすり110番」は鎮痛剤以外の薬についても妊娠中の使用の危険性をまとめており参考になります。
http://www.okusuri110.com/kinki/ninpukin/ninpukin_04-010.html
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|2015年1月17日 土曜日
2015年1月16日 イソフラボンが潰瘍性大腸炎のリスクに
潰瘍性大腸炎という疾患は、厚労省から「難病」に指定されており、年々患者数が増加しています。現在日本では約12万人の罹患者がいると言われています。それほど珍しい疾患ではありませんが、安倍晋三氏が一度目の首相を退陣せざるをえなくなった原因疾患として報道されたときは世間の注目を浴びました。
潰瘍性大腸炎とは下痢や血便をきたす慢性の大腸の炎症性疾患ですが、原因はいまだにはっきりしていません。自己免疫が関与していると言われていますが、決定的な要因は不明です。しかし、万人が認めるわけではありませんが、女性ホルモンのエストロゲンが潰瘍性大腸炎発症に関与することが指摘されています。(このため、低用量ピルの内服を開始しだして下痢が生じれば一度は疑わなければなりません)
エストロゲンは更年期障害のホルモン補充療法の薬剤として用いられていますから、女性にとってはときに有用なホルモンということになります。ただし、ホルモン補充療法(つまりエストロゲンの投与)には副作用のリスクもあり、特に乳癌のリスクには充分注意しなければなりません。
エストロゲンのようなホルモンそのものを内服することには抵抗があるけれど、もっと安全なかたちでなら摂取したい、と考える人たちの間では大豆などに含まれる「イソフラボン」が人気です。イソフラボンは分子レベルでの構造がエストロゲンと似ているため、エストロゲンと同じような効果が期待でき、しかも安全性も高いのではないかと期待されていたのです。しかし、イソフラボンのサプリメントには有効とするデータはほとんどなく、摂取するなら大豆などを積極的に食べることを考えるべきです。(下記「医療ニュース」も参照ください)
さて、前置きが長くなりましたが、今回お伝えしたいのは「イソフラボンの摂取で潰瘍性大腸炎のリスクが上昇する」というものです。
医学誌『PloS one』2014年10月14日号(オンライン版)に掲載された論文(注1)によりますと、「日常の食事におけるイソフラボンの摂取が、とくに女性における潰瘍性大腸炎リスクを上昇させる」可能性があるようです。
研究の対象となったのは、合計126例の潰瘍性大腸炎を新たに発症した症例です。自己記入式質問票を用いて過去の食事内容を検討しています。その結果、潰瘍性大腸炎を発症していない人に比べて、発症した人は日頃の食事からイソフラボンの摂取量が多いことが判ったそうです。
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潰瘍性大腸炎を発症した人は、イソフラボンのサプリメントでなく、大豆など通常の食事からイソフラボンをたくさん摂っていたということになります。大豆は高タンパクで栄養価に富んだすぐれた食品で、ほとんどの人が積極的に食べるべきです。しかし、積極的に食べると潰瘍性大腸炎のリスクが上昇するなら皮肉なものです。
ただし、この研究は、エストロゲンがリスクならイソフラボンもリスクになるとしているわけで、理論的には正しいといえるかもしれませんが、症例数がさほど多くないことと、「後ろ向き研究」でありますから、この論文を読んで大豆を控えるのは時期尚早でしょう。(より信憑性が高いのは「前向き研究」といって、発症していない人を数年にわたり追跡して食事と疾患のリスクを調べる研究です)
どれほど健康にいいとされているものも「ほどほどに」して、バランスよく多くのものを食べるのが重要です。今さら言うことでもありませんが・・・。
(谷口恭)
注1:この論文のタイトルは、「Pre-Illness Isoflavone Consumption and Disease Risk of Ulcerative Colitis: A Multicenter Case-Control Study in Japan」で、下記のURLで全文を読むことができます。
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0110270
参照:
はやりの病気第101回(2012年1月20日)「増加する炎症性腸疾患」
医療ニュース2011年9月5日「イソフラボンは骨密度にも更年期にも無効」
医療ニュース2010年2月8日「イソフラボンで肺ガンのリスクが低下」
医療ニュース2008年3月12日「イソフラボンで乳がん減少」
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|2015年1月9日 金曜日
2015年1月9日 食塩摂取の朝日新聞報道の混乱
2014年12月8日、朝日新聞は「日本人が1日にとっている食塩量は約13グラムとする推計を厚生労働省研究班がまとめ、英国の専門誌に論文が掲載された」と報道しました(注1)。
日本人の食塩摂取量については厚生労働省が毎年1 2月に発表しています。2013年12月19日に同省の健康局がん対策・健康増進課が公表したデータによりますと、「(2012年の)成人の食塩摂取量の平均値は男性11.3g、女性9.6gであり、前年と比べて、男女とも変わらない」とされています。
厚労省の表現では「男女とも変わらない」とされていますが、掲載されたグラフをみてみると過去10年間でゆるやかに減少していることが分かります(注2)。朝日新聞の報道は、タイトルに「1日2g多かった」としていますから、減少傾向が一転して増加したということになります。
ところが、です。朝日新聞の発表の翌日の2014年12月9日に厚労省が「平成25年「国民健康・栄養調査」の結果」をウェブサイト上で公開したのですが(注3)、食塩摂取量については、なんと「(2013年の)成人の1日の食塩摂取量の平均値は、男性11.1g、女性9.4gであり、男女ともに、10年間で減少傾向にある」、としているのです。
朝日新聞は、厚労省の研究班が「食塩摂取量が増加したことをまとめた」と報道し、厚労省のウェブサイトでは「減少傾向にある」とされています。いったいどちらが正しいのでしょうか・・・。
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厚労省は朝日新聞の報道に対して公的なコメントはしていないようですが、翌日という発表のタイミングを考えると、朝日新聞に抗議をしているのではないかと勘ぐりたくなります。
その後朝日新聞は(私の知る限り)この件になんのコメントも発しておらず、また「英国の専門誌」がなんと言う専門誌なのかについても発表していません。
閑話休題。私は報道のあり方や政治的な駆け引きをここで言いたいわけではありません。世界的には食塩摂取の基準は5~6グラムですし、国によっては3グラムを目標としているところもあります。それに比べて日本は11グラムでも13グラムでも高値であることには変わりません。
ですからみなさん、がんばって塩分を減らしましょう・・・、となるわけですが、事は簡単ではありません。和食中心の食生活では極めて困難なのです。私はこれまで何人もの栄養士に効果的な減塩レシピについて尋ねていますが、カロリーを減らすこと、野菜を摂る工夫、効果的な糖質制限、などについては熱弁をふるってくれますが、1日6グラム以下の食塩となると自信を持って答えてくれた人はいません。
『食塩1日6グラム未満でも美味しいレシピ』というタイトルで分かりやすい本を書いてくれる人が現れないでしょうか・・・(注4)。
注1:この記事のタイトルは「日本人の食塩摂取、1日2g多かった 尿測定で13g」で、下記URLで閲覧することができます。
http://www.asahi.com/articles/ASGD35SKCGD3ULBJ011.html
注2:この発表は下記URLで閲覧することができます。
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000032813.pdf
注3:この発表は下記URLで閲覧することができます。
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000068070.pdf
注4:分かりやすい本は見たことがありませんが、「塩を減らそうプロジェクト」というウェブサイトは有用だと思います。下記URLをご参照ください。
http://www.shio-herasou.com/
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|2014年12月27日 土曜日
2014年12月17日 認知症に効くサプリメント
サプリメントというのは以前考えられていたほど有用なものではなく、有効であることを示した研究はほとんどなく、逆に有害性の報告は少なくないために、摂取するメリットはほとんどないですよ、ということを私はよく患者さんに伝えています。私自身もサプリメントの摂取は10年以上前にやめています。
ただし私は、気に入って飲んでいるという人に対して「やめましょう」とまでは言いませんし、もしも有効であるとされる研究が出てくれば検討したいと考えています。
大豆レシチンから生成されたホスファチジルセリンとホスファチジン酸を配合したサプリメントが、高齢者の記憶・気分・認知機能を改善し、アルツハイマー病の症状改善にも有効である・・・
医学誌『Advances in Therapy』2014年11月21日号(オンライン版)にこのようなことを主張する論文(注1)が掲載されました。サプリメントを摂取したグループとしていないグループ(対照グループ)にわけて3ヶ月間の調査がおこなわれています。研究結果をまとめると以下のようになります。
・サプリメントを摂取したグループ(31人)は対照グループ(26人)に比べると、記憶力が改善し冬季うつ病の症状が改善した。
・アルツハイマー病の患者でサプリメントを摂取したグループ(53人)は日常生活機能が維持されたのに対し、対照グループ(39人)では生活機能が低下した。
・サプリメント摂取グループでは、日常生活機能が安定していたのは90.6%で、悪化したのが3.8%。一方、対照グループでは、安定が79.5%で悪化が17.9%。
・サプリメント摂取グループで全身状態の改善を自覚したのは49%で、対照グループでは26.3%。
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論文の著者は、このサプリメントで、「気分や認知機能が改善しアルツハイマー病の症状改善にも有効」としていますが、調査の規模がそれほど大きくなく、調査期間も短いために、これを普遍的なものと捉えるのは時期尚早と思われます。
しかし、有害性の報告もないようですから、度を超さない程度にこのホスファチジルセリンとホスファチジン酸のサプリメントを日常摂取することには問題ないと思います。ただし、サプリメントではなく大豆をいろんな料理から積極的に摂取する方がはるかに安全で美味しいのは間違いありません。これは大豆由来のイソフラボンについても同様です。
(谷口恭)
注1:この論文のタイトルは「Positive Effects of Soy Lecithin-Derived Phosphatidylserine plus Phosphatidic Acid on Memory, Cognition, Daily Functioning, andMood in Elderly Patients with Alzheimer’s Disease and Dementia」で、下記URLで概要を読むことができます。
http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs12325-014-0165-1#page-1
参考:医療ニュース
2011年9月5日「イソフラボンは骨密度にも更年期にも無効」
2010年2月8日「イソフラボンで肺ガンのリスクが低下」
2008年3月12日「イソフラボンで乳がん減少」
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|2014年12月26日 金曜日
2014年12月26日 夜勤は肥満のリスク
「同じ時間に起きて同じ時間に寝る」ことの重要性はこのサイトで何度か述べていますし、日々太融寺町谷口医院(以下「谷口医院」)を受診される患者さんにも伝えています。
「同じ時間に起きて同じ時間に寝る」ことがなぜ重要かというと、まず生活習慣病の予防になります。規則正しい生活をするだけで血糖値やコレステロールの値が改善していく人は少なくありません。また、片頭痛が劇的に改善する人もいますし、うつ病は早起きして早寝するということを実践するだけで改善する人も少なくありません。
ただ、世の中には「同じ時間に起きて同じ時間に寝る」ことをしたくてもできない人もいます。それはシフト勤務の人です。谷口医院には片頭痛の患者さんが少なくありませんが、治療に難渋する代表的な職業が2つあります。それは(病院勤務の)看護師と客室乗務員です。この2つの職業はどうしても夜勤(や時差)を避けるわけにはいかず、片頭痛のコントロールがむつかしいのです。
「早寝早起き」という言葉は、私は小学生には用いますが、成人に対しては「早起き早寝」という表現を使います。成人の「早寝」は簡単でない場合があり、寝ようと思うと余計にプレッシャーになって眠れないということがよくあります。そこで、私は「まず早起きしましょう。前の晩眠れなかったとしても無理矢理にでも起きてみてください」とよく言います。その日1日は睡眠不足になりますが、そのおかげでその晩は早寝ができます。そして次の日も多少無理してでも早起きするのです。
前置きが長くなりましたが、今回紹介したいのは「夜勤をすると代謝が遅くなる」、つまり「夜勤は肥満の元」であることを示した論文です。
医学誌『Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)』2014年11月17日号(オンライン版)に掲載されています(注1)。
研究者らはボランティア14人に6日間研究所で暮らしてもらっています。最初の2日間は正常なスケジュール(朝起床夜就寝)で過ごしてもらい、その後、夜勤スケジュールに変更し、夜間に起きて日中に眠ってもらっています。食事は厳格に管理し毎日同じカロリーを摂取してもらっています。
その結果、夜勤スケジュールの日は消費カロリーが平均で3%低下したそうです。
************
この研究は、被験者が少なく、調査期間が短いようですが、おそらく「シフト勤務が肥満を招く」というのは私が患者さんを診ている経験からいって間違いないと思います。
ただし夜勤シフトのある職場で働いている人が「太りたくないから夜勤のシフトから外してください」とは言えないでしょう。それに、看護師や客室乗務員だけでなく夜に働いてくれる人がいなければ社会は回らないわけで、誰かがやらねばなりません。
今やるべきことは、夜勤がどれだけ健康に害を与えるかという研究を広げ、ひとりあたりの夜勤の量を最小限にして、夜勤勤務者は日頃健康のことでどのようなことに注意すべきかについての指導を受ける、といったことだと思います。
(谷口恭)
注1:この論文のタイトルは「Impact of circadian misalignment on energy metabolism during simulated nightshift work.」で、下記URLで概要を読むことができます。
http://www.pnas.org/content/111/48/17302.abstract?sid=4c4f3230-a9ae-4ffc-926a-535c2eac38ba
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