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2009年11月16日(月) 炭水化物抜くと憂鬱に

 最も効果的なダイエット方法は何でしょうか。これは日頃患者さんからよく質問されることです。すべての学者が賛同しているわけではありませんが、現在最も効果的とされているダイエット方法のひとつが、「アトキンス・ダイエット」と呼ばれるものではないかと思われます。

 ここでは詳しくは述べませんが、アトキンス・ダイエットとは、要するに炭水化物の摂取量を少なくするダイエット方法のことです。「低GIダイエット」とか「低インスリンダイエット」とか呼ばれるものも、だいたい同じような方法です。

 しかし、炭水化物の摂取量を少なくすることによって、気分が憂鬱になったり怒りっぽくなったりすることを示す研究が報告され話題を呼んでいます。この研究は、米国医学誌『archives of internal medicine』にオーストラリアの研究チームが発表しています。(報道は11月13日の共同通信)

 研究では、24~64歳の肥満の人106人を対象とし、肉や乳製品などタンパク質や脂質を中心としパンなどの炭水化物を抑える「低炭水化物」のグループと、炭水化物を多く取る「高炭水化物」のグループに分けて、体重や精神状態を1年間にわたり調査しています。尚、総摂取カロリー量は2つのグループとも同じにしています。

 その結果、両方のグループで、1年後の体重減少は平均13.7キログラムで変わりはありませんでしたが、「高炭水化物」のグループはダイエット前に比べ精神状態が改善したのに対し、「低炭水化物」のグループは気分の落ち込みや不安を示すようになったそうです。
 
 この理由に対して、研究者らは「炭水化物を多く含む食品が、感情をコントロールする脳内物質に良い作用を及ぼすのが一因ではないか」とみているとのことです。

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 私自身はご飯も麺類も大好きなので、低炭水化物にするなど考えたこともありませんが、もし「米もうどんもラーメンも禁止」などと言われると、その日からイライラするに違いありません。

 この研究で私が興味深いと感じるのは、高炭水化物のグループも低炭水化物のグループと同じように体重減少に成功していることです。

 ならば、なにも低炭水化物にする必要はなく、一番大切なのは「総摂取カロリーの抑制」ということになります。ということは、わざわざ偉い先生に言われるまでもなく、食事の総量を減らして適度な運動をする、という当たり前の行動が最も効果的なダイエットとなるのではないでしょうか。

(谷口恭)

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