医療ニュース
2011年2月2日(水) 夜間の明るい照明が高血圧や糖尿病のリスク
日没から夜間にかけて明るい人工照明にさらされると、睡眠の質が低下し、高血圧や糖尿病のリスクが増大する・・・
これは、米国ブリガム&ウィメンズ病院のJoshua Gooley氏らの研究内容で、医学誌『Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism』の2010年12月30日号(オンライン版)に掲載されています(注参照)。
研究では、18歳から30歳の健常者116人を、照明が明るい部屋のグループと暗い部屋のグループに分けて、5日連続で就寝前の8時間、各部屋で照明に曝露してもらっています。部屋滞在中は、睡眠に関わる脳内ホルモンであるメラトニンのレベルを30分から60分おきに調べています。
その結果、明るい部屋のグループでは、暗い部屋のグループに比べ、メラトニン産生時間がおよそ90分も短いことがわかりました。さらに、就寝している時間も明るい照明を曝露した実験では、照明がないときに比べてメラトニンの産生が50%以上抑制されていることがわかりました。
メラトニンは、脳の松果腺(松果体)で夜間に産生されるホルモンで、睡眠をつかさどり、さらに血圧と体温の調節に関わることが知られています。
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この研究では、夜間の人工照明がメラトニン産生を低下させることを明らかにしているだけですが、メラトニンの分泌が不十分であれば高血圧や糖尿病のリスクになることが以前から知られています。また、メラトニンの産生低下は、ガン(特に乳ガン)のリスク上昇につながることが指摘されています。
ということは、夜間、室内灯に長時間さらされるシフト勤務者は、こういった疾患のリスクにさらされているということになるのかもしれません。
(谷口恭)
注:この論文のタイトルは、「Exposure to Room Light before Bedtime Suppresses Melatonin
Onset and Shortens Melatonin Duration in Humans」で、下記のURLで概要を読むことができます。
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