医療ニュース

2017年9月29日 ビタミンBのサプリメントもがんのリスク

 ついにビタミンBのサプリメントにも発がんリスクの報告がおこなわれました。

 医学誌『Journal of Clinical Oncology』2017年8月22日号(オンライン版)に掲載された論文(注1)に興味深い研究が掲載されています。

 研究の対象者は米国在住の男女77,118人(50~76歳)です。どのようなサプリメントをどれだけ摂取しているかと発がんの関係が解析されました。

 その結果、過去10年間で1日20mgを超えてビタミンB6のサプリメントを摂取していた男性は、摂取していない人に比べると肺がんの発症リスクが1.82倍に上昇していました。同様に、ビタミンB12については1日55ugを超えて摂取していると1.98倍にも上昇していたのです。

 尚、このように発がんリスクが上昇したのは男性だけであり、女性には認められなかったようです。

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 ビタミン剤の発がんリスクといえば、ビタミンEとベータカロテン(以前は「ベータカロチン」と呼ばれていました)が有名ですが、これらは脂溶性のビタミンですからサプリメントの過剰摂取で蓄積された結果ががんにつながるというのはなんとなく想像しやすいように感じられます。

 一方、ビタミンBは水溶性で過剰に摂取しても吸収されず安全と長い間言われてきました。ですが、結果は発がんリスクが2倍にもなるというのです…。

 今のところ、ビタミンのサプリメントでエビデンス(科学的確証)をもって「有用」とされているのは妊娠中または妊娠前の女性が摂取する葉酸だけです。ビタミンDはいくつかの疾患に有用とするものもありますが、逆に有害とするものも多く、現時点では積極的な摂取は推薦できません。

 ビタミンのサプリメントが注目された時代はすでに過去のものになりきった感じがします。

 

注1:この論文のタイトルは「Long-Term, Supplemental, One-Carbon Metabolism-Related Vitamin B Use in Relation to Lung Cancer Risk in the Vitamins and Lifestyle (VITAL) Cohort 」。下記URLで概要を読むことができます。

http://ascopubs.org/doi/10.1200/JCO.2017.72.7735

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