医療ニュース
2013年7月17日 水曜日
2010年3月25日(木) 5キロ以上の体重減少で高い死亡リスク
太り気味が長生きする、という意外な研究結果が相次いでいるということを1年ほど前から何度かお伝えしていますが、今回お伝えする情報も少し似ているかもしれません。
中年以降に5キロ以上体重が減ると、体重の変動のない人に比べ、死亡リスクが男性で約4割、女性では約7割も上昇する・・・
これは、3月23日、厚生労働省研究班が発表した疫学調査の結果です。(報道は同日の日経新聞、共同通信など)
この調査では、ガンや循環器疾患にかかったことのない健康な40~69歳の男女約8万人を対象としています。調査開始時点で体重を測定し、5年後に再び体重を計測しています。この間の体重変化をもとに、男女別に、①大幅減少(5キロ以上)、②小幅減少(2.5~4.9キロ)、③変動せず(2.4キロ以内の変化)、④小幅増加(2.5~4.9キロ)、⑤大幅増加(5キロ以上)の5つのグループに分類しています。
2回目の体重測定後およそ9年間の追跡調査がおこなわれ、この期間中に合計4,232人が死亡しています。体重変化と死亡リスクとの関係を調べた結果、「③変動せず」に比べ、「⑤大幅増加」の死亡リスクは男性で1.29倍、女性で1.31倍となり、「①大幅減少」は男性で1.43倍、女性で1.7倍となっています。
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この結果をまとめると次のようになります。
中年以降の体重の変動はない方がよい。体重が5キロ以上増えても減っても死亡リスクは上昇する。しかし、体重が減ることの方が増えることよりもリスクが高くなる。そしてこの傾向は男性よりも女性で強く認められる。
この調査から見えてこないのは、体重が減少した人は、食べても減っていったのか、減らそうとして(ダイエットをして)減ったのかということです。また、調査開始の時点の体重が適正だったのか、もともと太っていて体重減少により適正体重となったのか、またもともとやせていたのがさらに体重が減ったのか、ということも分かりません。
当たり前のことですが、「中年にさしかかる前に適正体重を保ち、それ以降も極端な体重の増減がないように注意するべし」ということは間違いなさそうです。
(谷口恭)
参考:医療ニュース
2010年2月8日 「70歳以上の太っている人は寿命が長い?」
2009年10月13日 「「太りすぎ」が長生き?」
2009年6月11日 「やはり長生きするのは太り気味か…」
2009年4月30日 「太った方が長生きする!?」
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|2013年7月17日 水曜日
2010年3月31日(水) 大阪府、少なくない危険な「飛び込み出産」
「飛び込み出産」とは、妊婦検診をほとんど受けずに、出産直前になり妊婦さんが医療機関に飛び込んでくる出産のことを言います。大阪府では、2009年1年間に152件もの「飛び込み出産」があったことが、大阪府と府産婦人科医会の調査で分かり、3月27日の読売新聞が報道しています。
報道によりますと、152件のうち約7割に相当する105件が、早産や仮死状態で赤ちゃんが産まれる「ハイリスク出産」に相当したそうです。46件(30%)は赤ちゃんがNICU(新生児集中治療室)に入れられることになり、これは通常分娩のおよそ10倍にも相当します。体重2,500グラム未満の低体重時は40件(26%)、死産も3件あったようです。また、なかには母親が薬物に汚染されており、薬物中毒の状態で産まれた赤ちゃんもいたそうです。
妊婦検診を受けなかった理由については、約3割が「お金がない」と答えています。他には、「妊娠に気づかず」「多忙」「複雑な家庭事情」などが続いています。
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年別の統計データが(私の手元に)ないのではっきりしたことは言えませんが、このような危険な飛び込み出産は年々増えているのではないでしょうか。太融寺町谷口医院にも、おなかが痛い、おなかがはる、などという理由で受診され、「すでに妊娠後期、しかし患者さんは妊娠にまったく気づいていない」という症例がときどきありますし、「お金がないから受診ができない」というのは、妊婦さんに限らず若い男女では珍しくありません。
言うまでもなく妊娠・出産というのは妊婦さんひとりでおこなうことができず、家族、親族、地域社会、行政などの協力が必要です。飛び込み出産と聞くと、「無責任な母親が・・・」という議論になりがちですが、安心して子供を妊娠・出産できる環境がつくれるように、ひとりひとりに何ができるかを考えるべきでしょう。
(谷口恭)
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|2013年7月17日 水曜日
2010年4月2日(金) 喫煙率は「東高西低」
喫煙率は東が高く西は低い・・・
国立がんセンターがん対策情報センターが、3月26日に公表した都道府県別の成人喫煙率からこのようなことが言えそうです。
最新の2007年のデータでは、喫煙率が最も高い都道府県が北海道の31.5%、最も低いのは島根県で21.0%と実に10%以上の差があることが分かりました。
この調査は、厚生労働省がおこなっている「国民生活基礎調査」で、2001年から3年に一度調査している喫煙状況で「毎日吸う」と「時々吸う」と答えた人を集計し分析しています。
喫煙率の全国平均は2001年には30.5%でしたが、2007年には25.6%と大きく下がっています。2007年の喫煙率が高いトップ3は、北海道、青森、宮城で、低いのは、島根、鹿児島、奈良の順です。
男女別では、男性は青森、北海道、福島、女性は北海道、東京、神奈川となっています。
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この調査の詳細は、
http://ganjoho.jp/public/statistics/pub/statistics06.html
でみることができます。
全国の喫煙率をよくみてみると、最も目立つのが北海道の女性です。女性の全国平均が12.7%なのに対して、北海道は20.6%です。2位の東京が14.9%ですから、いかに北海道の女性の喫煙率が高いかがわかります。
寒い地域ではタバコが恋しくなるのでしょうか。参考までにG8の国別喫煙率(2002年)をみると、男性では、1位がロシアで63.2%です。(2位は日本の52.8%です)
また、暖かい地域ではタバコがなくてもやっていける人が多いのでしょうか。きちんとしたデータはみたことがありませんが、一般にアフリカでは喫煙率が低いと言われています。もっとも、アフリカにはカート(チャット、カットなどとも呼ばれることがあります)があり、1日中カートの葉を噛んで中毒になっている人が大勢いますが・・・。
注:「国民生活基礎調査」は1986年から厚生労働省が毎年実施している世帯ごとの調査ですが、3年に一度大規模調査がおこなわれ、そのなかで保健、医療、福祉、介護なども調べられています。最新の大規模調査は2007年に実施されました。
(谷口恭)
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|2013年7月17日 水曜日
2010年4月2日(金) 睡眠障害の自殺リスクは28倍
睡眠障害がある人が自殺する危険性は、ない人に比べて28倍も上昇する!
これは、厚生労働省の研究班が調査した結果で3月18日の読売新聞などが報道しています。
報道によりますと、調査は、2007年12月から2009年12月に自殺をした76人(年齢は15歳~78歳)の生前の様子について、遺族から聞き取り調査を実施し、対象者(一般人)145人と比較しています。
その結果、睡眠障害があれば28倍も自殺のリスクが上昇するという結果がでたそうです。睡眠障害以外のリスクとしては、「飲酒行動に問題がある人」が3倍、「うつ病などの気分障害」が6倍、「死に関する発言」が4倍、などとなっています。
この調査に対するマスコミの報道は毎日新聞もおこなっていますが(3月17日)、同紙では、自殺者の半数が医師から処方された向精神薬を過量摂取していたことに注目しています。自殺予防のためには、処方薬の乱用を防ぐこと及び医師の質の向上も必要というわけです。
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読売新聞の記事を読むと、一度でも睡眠薬を使ったことがある人は不安に思われるかもしれません。しかし、これは睡眠障害があるから自殺のリスク、ではなく、自殺のリスクがある人には睡眠障害が伴いやすい、という可能性もあるわけです。
しかしいずれにしても、睡眠障害を抱えている人が周りにいるという人は注意すべきかもしれません。同時に、毎日新聞の主張のように、我々医師がもっと自殺に注意すべきでしょう。私の診察室にも、毎日のように「眠れなくて・・・」という人が来られますが、全員に充分な時間をとって自殺のリスクを検討できているかどうか・・・。私にも反省すべき点がありそうです。
(谷口恭)
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|2013年7月17日 水曜日
2010年4月2日(金) 肥満児の早期死亡率は2倍
肥満児では、正常体重児に比べ、55歳未満での早期死亡リスクが2倍も高くなる・・・
これは医学誌「New England Journal of Medicine」オンライン版の2月11日号に掲載された論文です。研究はスウェーデンのウメア大学病院(Umea University Hospital)のPaul W. Franks教授を中心としたチームでおこなわれています。
研究では、1945~1984年に生まれた米国先住民の小児4,857例のデータから、体重、血糖、血圧、血中コレステロール、55歳未満の死亡との相関関係が分析されています。およそ24年の期間中での死亡者数は166人です。
分析の結果、小児期に肥満のあった人では、55歳未満で死亡するリスクが肥満のなかった人の2倍であることが分かりました。小児期に高血糖だった人も、最も低い血糖レベルだった人に比べると、早期死亡リスクが73%増大していました。血中コレステロールと血圧については将来の死亡との有意な関連は認められませんでしたが、高血糖に高血圧を合併した場合は、やはり早期死亡につながる可能性が指摘されています。
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肥満があれば早死にするリスクが2倍、と言われると小さい頃からの体重コントロールが大切になってきます。まだダイエットなどに関心がもてない幼少児に親の教育が大切ということになるのでしょうか・・・。
この論文のタイトルは「Childhood Obesity, Other Cardiovascular Risk Factors, and
Premature Death」で、下記のURLで全文を読むことができます。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0904130
(谷口恭)
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|2013年7月17日 水曜日
2010年4月3日(土) やはりビタミンB6は大腸ガン予防に有効か
男性はビタミン6の積極的摂取で大腸ガンが予防できるかもしれない、という調査結果が日本の厚生労働省から発表されたというニュースを以前お伝えしましたが(下記医療ニュース参照)、スウェーデンでの研究でも似たような結果が出たようです。
ストックホルムのカロリンスカ(Karolinska)研究所のSusanna C. Larsson氏らは、ビタミンB6と大腸ガンの関連性についての過去の研究結果のメタ分析(注)をおこないました。その結果、大腸ガンのリスクは、ビタミンB6の摂取量が多いほど低く、血中ビタミンB6の濃度が高ければそれだけリスクが低下する、という結論が導かれています。
分析は、米国の5つの研究、欧州の2つの研究、アジアの2つの研究の合計6,064例が対象とされています。ビタミンB6は、食事もしくはサプリメントと食事によって摂取されており、サプリメントのみの調査はありません。
分析を通して分かったこととして、ビタミンB6を多く摂取している人は、高齢、身体活動量が多い、喫煙者は少ない、アルコールの摂取が少ない、という特徴があったことがあげられます。
したがって、研究者は、「ビタミンB6の摂取は健康的な生活と関連する傾向があり、それが大腸ガンの発生予防に働いている可能性もある」、と述べていますが、「それを取り除いても、ビタミンB6の摂取及び血中濃度が高ければ高いほど大腸ガンのリスクは下がることが分かった」、と結論付けています。
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この論文のタイトルは、「Vitamin B6 and Risk of Colorectal Cancer」で、下記のURLで一部を読むことができます。
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=185551
ビタミンB6は、大腸ガンだけでなく心疾患にも有効とする疫学的調査もあり、今後さらに注目されることになるかもしれません。では、どのような食品を積極的にとればいいのかというと、例えばビタミンCなら野菜や果物、ビタミンAならレバー、のような分かりやすいものがありません。
ビタミンB6が比較的多く含まれている食品は、玄米、ニンニク、ソバ、鶏肉、豚肉、魚、などですが、いずれも比較的普段から食べているもの、もしくはあまり大量には食べられないものであり、結局は「バランスのいい食事をとりましょう」、ということになります。ではサプリメントでビタミンB6を摂ればどうか、という点が気になりますが、これについては充分な研究がない、というのが現状です。
(谷口恭)
注:メタ分析とは、過去に行なわれた複数の研究結果を統合し、より信頼性の高い結果を求めることを目的とした分析を言います。
参考:医療ニュース
2007年8月4日「大腸がんの予防、男性ビタミンB6、女性はコーヒー」
2008年6月1日「心疾患の予防にはビタミンB6」
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|2013年7月17日 水曜日
2010年4月8日(木) 適度な飲酒は女性の体重増加を抑制
1日に1~2杯程度の飲酒をする女性は、まったく飲酒をしない女性に比べて体重が増加する確率が30%も低い・・・。
お酒好きの女性には朗報となるこのような研究結果が米国ボストンのBrigham and Women’s HospitalのLu Wang氏らにより発表されました。発表された医学誌は『Archives of Internal Medicine』の2010年3月8日号です。(詳細は下記参照)
今回の研究では、BMI(注参照)が正常の39歳以上の女性19,220人が平均で13年間追跡調査されています。全般的には、年月が経つとともに体重が増加する傾向が認められていますが、まったく飲酒をしない女性は体重増加が最も大きく、アルコール摂取が多くなるにつれて体重の増加幅が減少するという結果がでています。
一般的には、男性はお酒を飲む人の方が太りやすい、と考えられています。しかし、今回の研究では、女性に関してはお酒を適度に飲む方が太りにくい、という結論が導かれています。
この理由に対して、研究者は、「男性が食事にアルコールを加えるのに対して、女性は食事の代わりにアルコールを摂取する傾向があるようだ。適度な飲酒の習慣のある女性はアルコール以外からのエネルギー摂取量が少なく、また、アルコール摂取が、アルコール自体から摂取したエネルギーよりも多くのエネルギー消費を誘発する傾向があることから、適度な飲酒習慣が結果としてカロリー消費につながるのではないか」と述べています。
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この研究は「女性の飲酒は身体によい」ではなく、要するに、「アルコールを摂取するときに、あまり食事をとらなければ体重は増加しない」、ということだと思われます。したがって、よく食べる人が食事の量を減らさないでやせる目的でお酒を飲もうとしても、余計に太る可能性が強いというわけです。
尚、今回の研究では、「適度にお酒を飲む人」が太りにくいという結果がでていますが、「大量にお酒を飲む人」に関しては、サンプル数が少なく充分に検証できなかったようです。
今回の研究では、お酒の利点が述べられているわけですが、逆に女性の飲酒は病気のリスクになるという研究もあります(下記医療ニュース参照)。ひとつの研究だけをみて飲酒習慣を変えるのはあまりにも短絡的です。ただし、常識的に考えて、「一度に飲みすぎないこと」「休肝日を週に1~2回はつくること」は守るべきでしょう。
この論文のタイトルは、「Moderate Alcohol Consumption in Women May Reduce Risk
of Becoming Overweight or Obese」で、下記のURLで概略を読むことができます。
http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/short/170/5/453?home
(谷口恭)
参考:医療ニュース
2009年10月8日「酒飲みの女性は乳ガンになりやすい」
2007年2月6日「女性の飲酒はC型肝炎をより悪化させる」
注:BMIはBody Mass Indexの略で、体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割って算出します。例えば、体重88キログラム、身長2メートルの人であれば、88÷2の2乗=88÷4=22となります。
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|2013年7月17日 水曜日
2010年4月12日(月) やせていてもメタボには注意を
腹囲が基準値未満でも、血圧、血糖、血中脂質の検査値の異常が重なると、脳卒中や心筋梗塞を発症しやすくなる・・・
これは、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の腹囲の基準を検証している厚生労働省研究班が発表した研究結果です。(報道は4月4日の読売新聞)
現在の日本のメタボリックシンドローム(以下「メタボ」)の診断基準は、腹囲(男性85センチ以上、女性90センチ以上)が必須で、血糖・脂質・血圧の3項目のうち2つ以上に異常があればメタボという診断がつきます。要するに、腹囲が正常であればメタボにはならないわけです。
今回の厚生労働省の研究では、全国の40~74歳の約31,000人を対象とし、腹囲と脳卒中や心筋梗塞発症の関係が調べられています。その結果、腹囲が大きくなるほど、発症のリスクは高くなる傾向にありましたが、腹囲が基準値未満であっても、血糖・脂質・血圧の検査値の異常が重なると、メタボと同じようにリスクが高くなることが分かりました。
血糖・脂質・血圧の検査値が3つとも異常であれば、腹囲が基準値未満でも、リスクは男性で2.2倍、女性で3.0倍になっています。腹囲が基準値を超えている場合のリスクは男性で2.5倍、女性で3.2倍ですから、あまり差がないことになります。
********
腹囲をメタボの絶対的な診断基準にすることが反対される他の理由として、「腹囲が基準値を超えていても健康な人は少なくない」というものもあります。
腹囲が基準値を超えていればいるほど心疾患や脳卒中のリスクが上昇するというのは、”おしなべて言えば”正しいと言えるでしょう。実際、肥満というものを甘くみてはいけません。メタボ以外にも、肥満があれば事故に合いやすい、あるいは事故をしたときの重症度が大きいという報告もありますし、腰痛や膝の痛みなど整形外科的疾患のリスクにもなります。
しかし、腹囲をメタボの絶対的な基準にしてしまうことは見直しをすべきかもしれません。もとより、アメリカのメタボの診断基準は、腹囲は絶対的な指標ではなく、5つの指標のうちの1つに過ぎません。(他の4つは、中性脂肪、HDLコレステロール、血圧、血糖値です)
すでに国際糖尿病連合は、2009年10月、腹囲を必須条件とせず、総合的にメタボを診断する方式に基準を変更しています。
当分の間、メタボの診断基準をめぐって様々な議論が重ねられることになるでしょう。
(谷口恭)
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|2013年7月17日 水曜日
2010年4月12日(月) HPVワクチンの公費助成、次々と
新潟県魚沼市を皮切りに、兵庫県明石市、栃木県大田原市、東京都杉並区などで、HPVのワクチンが公費で負担されることになったというニュースをお伝えしてきましたが(下記医療ニュース参照)、この動きは全国的に広がりつつあるようです。
4月9日の読売新聞によりますと、群馬県北群馬郡榛東村(しんとうむら)でも、今年度から中学1年の女子生徒を対象にHPVワクチンの全額助成を開始するようです。群馬県内では榛東村が初めてだそうです。
希望者にはワクチン3回分に必要な費用およそ5万円が全額助成されるようです。今年度の対象者は86人で、具体的な導入方法はまだ固まっておらず、村は今後、医療機関と話し合って決めると発表しています。
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「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」によりますと、今年度、全国ですでに32の市区町村がHPVワクチン接種の公費助成を決めているそうです。(報道は4月9日の読売新聞の別の記事)
他のワクチンに比べて、HPVワクチンを啓発する盛り上がりは突出しているように感じられます。もちろん悪いことではないのですが、私個人的には、ポリオウイルスの不活化ワクチンの導入や、B型肝炎ウイルスワクチンの国民全員への接種、肺炎球菌やインフルエンザ桿菌(HIB)のワクチンの啓発も同じように広がってほしいと考えています。
(谷口恭)
参考:
はやりの病気第77回「子宮頚ガンのワクチンはどこまで普及するか」
医療ニュース2010年2月3日「杉並区、大田原市でもHPVワクチン全額助成」
医療ニュース2010年1月23日「魚沼市に続いて明石市でもHPVのワクチン無料」
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|2013年7月17日 水曜日
2010年4月14日(水) 歩くのが速い女性は脳卒中を起こしにくい
1分間に80メートル以上で歩く女性は、普段歩かない女性と比べ脳卒中を発症する危険性が約4割低い・・・
これは米国ハーバード大学の研究者による大規模調査の結果です。医学誌『Journal of the American Heart Association』2010年4月6日号に論文が掲載されています。(詳細は下記参照)
研究は、米国在住の健康な女性39,315人(平均年齢54歳)を対象に、およそ12年間、歩行距離や歩行速度などを2~3年おきに申告してもらうことによりおこなわれています。調査期間中に脳卒中を発症した対象者は579人です。
分析の結果、歩く頻度を問わず、分速80メートル以上の人が脳卒中になる危険性は、普段歩かない人と比べて37%低いことが分かりました。分速53メートル以下のゆっくりと歩く場合では、危険性は18%の減少にとどまっていました。
しかし、週に2時間以上歩く人は、速度に関係なく、歩かない人に比べ30%低いという結果もでています。
さらに細かく見てみましょう。一般に「脳卒中」というのは「脳出血」と「脳梗塞」に分けることができます。(文脈によっては「くも膜下出血」を入れることもあります) 概して言えば「脳出血」の方が「脳梗塞」よりも死亡率が高いと言えます。その「脳出血」だけでみてみると、分速80メートルの人は、歩かない人に比べ危険性が68%も低く、週2時間以上歩く人は(速度に関係なく)歩かない人に比べて57%低いという結果がでています。
*******
これらをまとめてみましょう。まず、頻繁にそして速く歩くことで脳卒中を予防できる可能性が高く、速く歩けない人でもこまめに歩く習慣をもてばリスクを減らすことができる、ということになります。
分速80メートルは、時速で言えば4.8キロになります。フルマラソンを4時間で走る人でだいたい時速10キロです。意識して早歩きをするとすれば、男性なら時速6~7キロ、女性は時速5~6キロくらいだと思います。年齢やどのような病気をもっているかにもよりますが、時速4.8キロ(分速80メートル)はそれほどむつかしいことではないと思われます。ならば、日頃から少しだけ意識して、「できるだけこまめに、そして速めに歩く」、というのを心がければどうでしょうか。
尚、別の研究で男性について調べられたことがあるそうですが、男性では、歩行の頻度・速度と脳卒中の間に関連性は認められなかったそうです。
この論文のタイトルは、「Physical Activity and Risk of Stroke in
Women」で、下記URLで概略を読むことができます。
(谷口恭)
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