医療ニュース
2013年7月23日 火曜日
2009年8月9日(日) 日本と韓国は”法則”の例外
社会・経済が発展すると、晩婚・出産の高齢化が進み出生率はいったん減少するが、発展がある段階を超えると出生率は再び増加に転じる。しかし、日本と韓国はこの法則の例外である・・・
これは、米国ペンシルバニア大学などの研究チームが科学誌「ネイチャー」に発表した研究です。(報道は8月6日の日経新聞、共同通信、読売新聞など)
この調査は世界で豊かとされる24か国が対象となっています。「人間開発指数」と、1人の女性が生涯に産む子供の人数(合計特殊出生率)との関係が調べられています。
すべての国において、人間開発指数の上昇に伴い、出生率がいったんは減少して少子化が顕著になります。しかしほとんどの国では、人間開発指数がある程度上昇したところで出生率は底を打ち、以後は上昇に転じています。
この”法則”の例外となっているのが日本と韓国であり、人間開発指数が一定以上に上昇しても出生率は上がっていないというわけです。
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「人間開発指数」について補足しておきます。「人間開発指数」とは、経済的な尺度だけでは測れない国民生活の豊かさを示す値として、UNDP(国連開発計画)が「人間開発報告書」の中で国ごとに発表している数値です。平均寿命や就学率、成人識字率、1人当たりのGDP(国内総生産)などから割り出します。2007年の発表では1位はアイスランドで、最下位はシェラレオネです。日本は8位、米国は12位となっています。
上記の研究では、その人間開発指数が、平均寿命75歳、1人あたりのGDP25,000USドル、などの目安となる0.9あたりを越えたあたりから、ほとんどの国で出生率が上昇に転じているるけれども、日韓は例外である、ということになります。
(谷口恭)
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|2013年7月23日 火曜日
2009年8月17日(月) 低タールのタバコにしても効果なし
軽いタバコに変えたんだけどかえって本数が増えちゃって・・・
これは喫煙者からよく聞くセリフですし、私自身も喫煙していた頃に経験したことがあります。
この経験則を裏付けるような研究結果が厚生労働省の研究班により発表されました。その研究によりますと、低タール、低ニコチンのたばこを吸っている人ほど吸煙量が多く、タールやニコチンが多いタバコを吸っている人と同程度の有害な化学物質にさらされている、そうなのです。
この研究の対象者は20~65歳の喫煙者約100人で、1日あたりの平均タバコ本数は19本です。いつも吸っているタバコの種類にあわせて、①タール1mg、②3-6mg、③8-10mg、④14mgの4つのグループに分類し、ニコチン摂取量、呼気に含まれる一酸化炭素量などを調べています。
その結果、タール6mg以下のグループは、1回で吸い込む平均吸煙量が58.4mLで、それより高いタールのたばこを吸っている人(50mL)よりも多い傾向がありました。1日当たりの平均吸煙量では、高タールグループより、約4,500mLも多くなっています。
ニコチン量については、表示されたニコチン量が多いほど増える傾向にはありましたが、タール1mgのグループの唾液1mLに含まれるニコチン量は、タール14mgのグループの約3分の1に過ぎなかったようです。
また、たばこの煙に含まれ、動脈硬化などの要因とされる一酸化炭素(CO)はタールやニコチン量による差はなく、ほぼ同量を吸引していたことが分かりました。
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太融寺町谷口医院に禁煙外来で受診されている患者さんには、毎回呼気中の一酸化炭素濃度を測定してもらっています。
これが不思議なことに、吸っているタバコの種類に関係なく、だいたい1日に吸っているタバコの本数に一致した数字となります(単位はppm)。今回の研究結果は、私が以前から感じていた「なぜどんなタバコを吸っていても同じような数字になるのだろう」という疑問に答えてくれたことになります。
タバコはやめてないけど軽いのにしたんです・・・。
禁煙をすすめている患者さんにこのように言われることがしばしばありますが、あまり効果がないということが科学的に実証されたというわけです。
(谷口恭)
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|2013年7月23日 火曜日
2009年8月17日(月) 人口は増加し自然減は過去最大
日本の総人口は2年連続で増加、しかし出生者から死亡者を引いた「自然増加数」は過去最大の減少・・・?
この一見矛盾するような統計が8月11日、総務省から発表されました。
日本の総人口(外国人を除く)は、2009年3月31日時点で、127,076,183人です。これは前年比約1万5千人の増加で、2年連続で増加したことになります。
同省によりますと、人口が増えたのは主に海外からの転入や帰化などに伴う「社会増加数」が55,919人と増加したため(前年は41,826人)です。この理由として、同省は「景気悪化に伴う企業の海外撤退などが考えられる」と分析しています。帰化は1万数千人としています。
一方、出生者数は、1,088,488人(前年度比7,977人減)で、3年ぶりに減少に転じています。死亡者数は過去最高の1,134,402人と報告されています。
また、東京、名古屋、関西の3大都市圏の人口は64,012,618人(全国人口の50.37%)で過去最高を記録しています。関西圏(京都・大阪両府、兵庫・奈良両県)は18,233,496人で5年ぶりの増加となります。東京都は12,548,258人で、増加数は対前年比86,062人、増加率は0.69%と、ともに最大で、東京一極集中の傾向が続いていることになります。
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出生数や死亡数が厚生労働省の発表と異なるのは、統計をとっている期間が異なるからです。厚生労働省は「年」を基準としているのに対し、今回発表をおこなった総務省は「年度」を基準にしています。
(谷口恭)
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|2013年7月23日 火曜日
2009年8月17日(月) 依然低調のはしかワクチン接種率
はしか(麻疹)の罹患率がこんなに高い先進国は他にはない・・・
なぜか日本人ははしかワクチンを打たない人が多い・・・
これらは、このウェブサイトで何度も指摘してきたことです。はしかのワクチンがようやく2回接種となり、昨年度から5年間に限り、中1生と高3生が2回目接種の対象となっています。
その2回目ワクチン接種率が厚生労働省のまとめで明らかとなりました。(報道は8月13日のキャリアブレイン)
発表によりますと、中1生、高3生の昨年度(2008年度)の接種率はそれぞれ85.1%、77.3%で、国が目標としている「接種率95%以上」には届いていません。
都道府県別にみると、中1で低いのは、福岡(75.7%)、東京(75.8%)、大阪(77.2%)、高3で低いのは、東京(60.7%)、神奈川(63.6%)、大阪(68.1%)、と大都市での接種率の低さが目立っています。
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接種率がこれだけ低いことに対して厚生労働省は、「従来の定期接種の対象だった1歳児と小学校入学1年前の幼児と比較すると、親の干渉が効きにくく、本人の行動を縛りづらい」、と説明しています。
であるならば、親に頼るのではなく子供自身に訴えかけるようにすればどうでしょう。中1よりも高3で接種率が低く、それが大都市圏で顕著なのですから、まずは都会に住む高校3年生にワクチンの重要性を訴えかけるような対策を試みるべきではないでしょうか。
(谷口恭)
参考:はやりの病気 第46回 はしかの予防接種率はなぜ低いのか
医療ニュース 2009年2月8日「大学入学前にはしか(麻疹)のワクチンを」
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|2013年7月23日 火曜日
2009年8月17日(月) 長期喫煙者の6割がCOPDの疑い
喫煙歴がある40歳以上の男女の6割に、気道や肺に障害が生じて息切れがする「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」の疑いがある・・・
これは、ファイザー製薬が2009年6月にインターネットを使った調査で明らかとなった結果です。調査対象は10年以上の喫煙歴がある40~90歳の男女合計600人です。
「朝起きてすぐに、たんがからむことがよくあるか」「天候により、せきがひどくなることがあるか」など、COPDの疑いがあるかどうかを判定する複数の質問をした結果、全体の62%が「疑いあり」に該当しています。年齢が高いほどその割合は高く、40代では20%ですが、50代では69%、60歳以上になると97%という高い数字がでています。
一方、COPDの疑いのある人に、長期間の喫煙が原因であることを知っているかどうか尋ねた質問では、「知っている」と答えた人は33%にとどまっています。
また、喫煙者全体の65%がニコチン依存症であり、このうち17%がうつ病やうつ状態の疑いがあることもわかりました。
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COPD(慢性閉塞性肺疾患)という言葉はあまり馴染みがない病名かもしれませんが、タバコを吸う高齢者では非常に多い病気です。以前は「肺気腫」という病名の方がよく使われていましたが、最近では「肺気腫」と「慢性気管支炎」を合わせてCOPDと呼ぶのが一般的です。
この病気を防ぐにはどうすればいいのか。それはもちろん「禁煙」です。ファイザー製薬は禁煙補助薬を販売していることもあって、おそらくこのような調査をおこなったのでしょう。この調査結果がファーザー製薬の売り上げを伸ばすかどうかは別にして、この調査結果をみて禁煙の重要性を認識する人が少しでも増えればこの調査の意味はあったと言えるでしょう。
(谷口恭)
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|2013年7月23日 火曜日
2009年8月17日(月) 喫煙率、14年連続で過去最低更新
JT(日本たばこ産業)が8月14日に同社の喫煙率調査の結果を発表しました。成人の喫煙率は24.9%と、前年に比べ0.8ポイント減少しており、これで14年連続で過去最低を更新したことになります。
この調査は5月に実施され、20,807人から回答を得ています。
男性の喫煙率は38.9%で前年から0.6ポイントの減少、これは18年連続の低下ということになります。女性は11.9%で前年から1.0ポイントの減少となっています。喫煙人口は79万人減少の2,601万人と推計されています。
地域別にみると、最も喫煙率が高いのは男性、女性ともに北海道で、それぞれ45.7%、20.0%となっています。
年代別では男女とも30代が最高で、それぞれ46.9%、16.8%という結果がでています。
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昨年のJTの発表では、女性に関しては「2年連続で喫煙率上昇」でしたから、今回は男女とも減少しており望ましいことだと思われます。
しかしながら、世界的にみれば日本はまだまだ喫煙率が高いと言えます。(正確に言えば男性は世界平均よりもかなり高く、女性は先進国のなかでは低い方です)
最近は、サンパウロや香港といった喫煙者が多い地域でも、一部の喫煙所を除きバーやクラブも含めてすべて禁煙となる動きになっています。
今がまさに禁煙を始めるチャンスだと思うのですがいかがでしょうか・・・
(谷口恭)
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|2013年7月23日 火曜日
2009年8月24日(月) またもやステロイド入り化粧品
アトピー性皮膚炎が劇的に治る天然系の化粧品、実は高濃度のステロイドが入っていた・・・。
数年に一度はこのような事件が報道されますが、最近も発覚したようです。
警視庁生活環境課が8月19日、薬事法違反の疑いで東京都新宿区の化粧品販売会社「ラバンナ」(現イエス・オーケー)の元社長ら5人を逮捕しました。この会社が販売していた化粧品「NOATOクリーム」には高濃度のステロイドが入っていたそうです。(報道は8月19日の共同通信)
この会社は、米国からこの化粧品約4万個を輸入し、およそ2万個を販売しています。自社ホームページのほか、情報交換サイトに第三者を装って「アトピーが完治した」などと書き込み宣伝していたそうです。
国民生活センターには「生後6カ月の娘に使ったが、やめた後はガサガサで色素が抜けたようになった」「使うのをやめると、使用前より悪化した」といった相談が寄せられていたようです。
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逮捕に際して、容疑者は「ステロイドが入っているとは知らなかった」と述べているそうです。「知らなかった」というのが本当とは思えませんが、このようなものの輸入を許可している税関には問題がないのでしょうか。
今回の事件はアメリカで製造されたクリームですが、中国製の化粧品にステロイドが含まれていた、という事件もときどき起こっています。不正な表示をする海外のメーカーがなくなることはないでしょうし、逮捕された東京の会社のような会社(あるいは個人)がこれから出てくることもあるでしょうから、まずは税関での対策をしっかりしてほしいと思います。
(谷口恭)
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|2013年7月23日 火曜日
2009年8月24日(月) よく遊んでよく寝る子供に自尊感
外でよく遊んで、早く就寝する子供は、自分に価値があると感じる「自尊感情」が高い傾向にある・・・。
これは福岡県が小中学生およそ13,000人を対象とした調査で分かったことです。(報道は8月19日の共同通信)
福岡県は、昨年(2008年)12月から3ヶ月間にわたり、県内の小学4年と6年、中学2年と3年を対象に、「何をやっても失敗するのではないかと思う」、「友達と同じくらいいろいろなことができる」、など10項目の設問で自尊感情を評価し、併せて普段の生活を調べました。
その結果、小学生では外で1時間以上遊ぶ児童の42%が「自尊感情が高い」とされたのに対し、1時間未満しか遊ばない子では29%にとどまっています。同様に、午後10時までに就寝する児童では45%が自尊感情が高く、夜更かしをする児童では34%となっています。
中学生も同じ傾向だったようです。
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「自尊感情」が高いのは生きていく上でとても大切なことです。勉強ができる、などより遥かに重要なことです。今回の調査結果が正しいとすれば、塾になど通わず、屋外で遊んで、帰宅してからもゲームやテレビに熱中するのではなく早く寝ることが大切、ということになります。
これは、我々大人が一般的に「健全な子供」としてイメージする像に一致するのではないでしょうか。
個人的には、この調査の有効性が社会に広く認識されるようになり、「健全な子供」が増えてほしいと願います。
(谷口恭)
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|2013年7月23日 火曜日
2009年8月24日(月) 中国黒龍江省のペスト騒ぎ
先日、中国青海省海南チベット族自治州興海県で、12人が肺ペストに罹患し死者も相次いでいる、というニュースを紹介しましたが、今度は黒龍江省でペストの騒ぎがありました。
8月19日の共同通信によりますと、黒竜江省の伊春市保健当局は8月17日、同市内で7人の出血熱発症例が報告されたと発表しました。出血熱の原因となる病原体については発表がありませんが、7人は森林地帯の住民で、7月28日から8月3日の間に発症していたことが判っています。すでに治療を受けており全員の容態が安定しているそうです。
当局の発表では、全員がネズミにより汚染された食べ物を食べたり、水を飲んだりしたことが原因である、とされています。
この騒ぎに対して、インターネット上では肺ペストの噂が出回っていましたが、保健当局はこれを否定しています。
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肺ペストは致死的な病気ですから、流行すればその地域や国が壊滅する恐れもあります。実際、ヨーロッパの歴史は、ペスト菌により何度も作り変えられているといっても過言ではありません。
それだけに、もしもペスト菌が内陸に位置する青海省から東北部にある黒龍江省まで波及すれば、世界史に残る大惨事になるに違いありません。
今回の噂は、黒龍江省の患者がネズミから感染したことから出たのかもしれません。
しかし、このニュースは「ペストじゃなくてよかったね」で終わらせるのはちょっとまずいように思えます。なぜなら出血熱は一般的に感染力が強く重症化することも珍しくないからです。
当局には、この出血熱の原因となった病原体が何なのか、そして今後感染が蔓延する可能性がないのかどうか、といったあたりについても発表をしてもらいたいと思います。
(谷口恭)
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|2013年7月23日 火曜日
2009年9月9日(水) この夏の食中毒は過去10年で最少
今夏(6~8月)の食中毒患者数が前年より激減し、過去10年間で最少であったことが厚生労働省の速報で明らかとなりました。(報道は9月8日の日経新聞など)
今夏の食中毒患者数は826人にとどまり、これは前年(2008年)の約6分の1に相当します。1,000人を割ったのは過去10年間で初めてだそうです。発生件数も52件で、これは前年の約8分の1にあたります。
厚生労働省は、「8月の気温が平年より低かったことに加え、食品の衛生管理が向上している」と分析しています。
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「食品の衛生管理が向上している」という厚生労働省のコメントは、企業の不祥事が今年はなかった、ということを示唆しているようです。実際、過去10年間で、夏場で最も食中毒が多かったのは、雪印乳業の集団食中毒事件が起こった2000年です。そして、この事件以降、メーカーやスーパーなどでは食品の品質管理が徹底されるようになってきています。
私がこのニュースをみたとき、「たしかに言われてみれば今夏はインフルエンザを含めて上気道炎の感染症が多く、胃腸炎は少ないかな・・・」とも感じましたが、それでも、おなかをこわして受診という患者さんが少ないわけではありません。
食中毒という診断がつかなくても、感染性胃腸炎は少なくないというわけです。もっと言えば、感染症でない下痢や嘔吐の患者さんも少なくありません。
(谷口恭)
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