医療ニュース
2013年8月6日 火曜日
2007年10月16日(火) 酒臭さはガンのもと
飲酒の翌日まで酒臭さが残る人は、食道ガンや咽頭ガンになりやすい・・・
このような報告が国立病院機構久里浜アルコール症センターによっておこなわれました。(報道は10月6日の毎日新聞)
同センターによりますと、酒臭さが残る人は、アルコールが分解されてできるアセトアルデヒドが唾液中から高濃度に検出されることがわかったようです。
一方、唾液中のアセトアルデヒドは、動物実験などからガンを引き起こしやすいことがわかっています。
口の中にはアルコールを分解してアセトアルデヒドを作り出す細菌が生息しています。アルコールを分解する酵素を充分につくれない体質の人は、口の中にもアルコールが長く残り、酒臭さが続きます。その間、細菌の働きで口の中にアセトアルデヒドが作られ続けると考えられます。
同センターは、「飲酒前後の歯磨きやうがいなど、口の中をよく洗うことが、がん予防につながるのではないか」と指摘します。
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お酒が弱い人はアルコールを分解できず口の中にもアルコールが残存→口の中の細菌がアルコールを分解しアセトアルデヒドを生成→そのアセトアルデヒドがガンを発生、という説得力のある報告といえるでしょう。
酒臭い人には、うがいをするようアドバイスしてあげましょう。
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|2013年8月6日 火曜日
2007年10月22日(月) ピルは発癌リスクを低下させる
ピルを飲むと癌(ガン)になりやすいのではないか・・・
そのような印象をお持ちの方は少なくないようです。実際、ピル(経口避妊薬)を飲むとガンになりやすいかどいうかは、これまでも何度も研究されており、様々なデータがでています。
ピルを服用すると、乳癌、子宮頸癌、肝癌のリスクが増大するとの研究結果がある一方で、子宮内膜癌、卵巣癌、結腸・直腸癌のリスクが低下するとの報告もあり、全体としての発癌リスクへの影響ははっきりしません。
今回大規模な研究をおこなったのは、イギリス・アバディーン大学一般医療・プライマリケア科のHannaford氏らのグループです。同グループは、ピルに関する長期試験のデータを用い、非使用者に比べ使用者では全体として発癌のリスクが低下するとの仮説の検証を行いました。(詳しくは、「BMJ」という医学雑誌の9月11日付オンライン版に掲載されています)
同グループは、1968年に開始された試験のデータを用いて発癌リスクを評価しています。
その結果、ピルは発癌リスクを増大させず、むしろベネフィット(利益)をもたらすことが分かりました。
非使用者に比べ使用者では、大腸/直腸、子宮体部、卵巣、部位不明の癌、婦人科癌の併発癌などの発現率が有意に低下していました。使用期間が長くなるに従って、子宮頸癌、中枢神経系あるいは下垂体癌のリスクは有意に増大し、子宮体部癌、卵巣癌のリスクは有意に低下していました。
これらの知見をふまえ、同グループ代表のHannaford氏は、「ピルは全体として発癌のリスクを増大させず、むしろベネフィットをもたらす可能性が示唆された」と結論しています。
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実際には、国や地域ごとに検証されなければならないのですが、今回の報告はピル使用者(あるいはこれから使用を考えている人)にとって有益な情報と言えるでしょう。
子宮頚癌については、原因がHPV(ヒト・パピローマ・ウイルス)であることが分かっており、今後HPVに対するワクチンが普及すれば、いずれ劇的に減少すると考えられています。(ただし現在世界70ヶ国以上で使用されているこの有益なワクチンは、日本では承認すらされていません)
現時点で、ピルが子宮頚癌や乳癌のリスクを増加させるか否かについてはまだはっきりとしないところがありますが、どちらの癌も定期的な検診で大事に至ることは阻止できます。
ピルを飲んでいる、いないにかかわらず、これらの癌の定期的な検診が重要であることには変わりありません。
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|2013年8月6日 火曜日
2007年11月23日(金) インフルエンザ患者数が急増!学級閉鎖は78施設
厚生労働省の16日の報告によりますと、今年のインフルエンザは例年よりも早いペースで蔓延していて、休校や学級閉鎖をした学校数は全国で78施設に上っています。これはこの時期では過去10年間で最多になります。
患者数も11月4日までの1週間で、首都圏を中心に1217人に達し、例年より1~2ヶ月早まっています。
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インフルエンザの予防接種の効果は、接種後1~2週間程度かかると言われています。まだ予防接種をしていない方は早めに医療機関を受診しましょう。
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|2013年8月5日 月曜日
2013年8月5日 一流スポーツ選手とうつ病の意外な関係
強靱な肉体を持つ一流のスポーツ選手はうつ病などとは縁がないに違いない・・・。常識的にはそのように考えられているのではないでしょうか。ところが、まったく正反対の研究結果が報告されました。
医学誌『Clinical Journal of Sport Medicine』2013年7月号(オンライン版)に掲載された論文(注1)によりますと、カナダのオリンピックチーム及び世界選手権大会(World Championship)のチームの選手のうつ病の頻度が調べられ、その結果、上位の選手はうつ病の頻度が高いことが判ったようです。
具体的な数字が上げられて次のような結論が導かれています。
・試合前の調査では、68%の選手が大うつ病エピソード(major depressive episode)を有しており、女性が男性に比べると有意に多かった。(「大うつ病エピソード」とは専門用語ですが、わかりやすく言えば、明らかな抑うつ気分や意欲の減退などが長期間に渡り認められるエピソードのことです)
・ 試合後の調査では、選手の34%がうつ病の診断基準を満たしており、26%が軽度から中等症の抑うつ症状を自覚していた。
・上位25%にいる選手はうつ病の頻度が2倍高かった。そして、成績不振とうつ病には明らかな関連があった。
研究者は、この研究結果から、一流スポーツ選手のうつ病の頻度は従来指摘されていたものよりも高く適切なメンタルケアが必要であろうと述べています。
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冒頭で述べたように、私自身が、スポーツ選手は肉体だけでなく強い精神力をもち精神疾患とはあまり縁がないであろう、と以前は漠然と思っていました。
ところが、太融寺町谷口医院(開院当時は「すてらめいとクリニック」)を開院した頃から、スポーツ選手からメンタル面の相談を受けることが増えてきました。スポーツ選手といっても、プロと言っていい人から趣味を少し超えている程度の人まで様々ですが、私の印象としては、野球やサッカーといったチームスポーツよりも、ひとりで戦わなければならないスポーツ、具体的には格闘家と陸上選手にメンタル面で悩んでいる人が多いように感じています。
陸上、特にマラソンをしている患者さんからメンタル面の相談を受けると、東京オリンピックで銅メダルを獲得した円谷幸吉選手を思い出してしまいます。円谷選手は「もうすっかり疲れ切ってしまって走れません」と書かれた遺書(注2)を残して自殺しました。
一度、ある格闘技をしているという患者さんに、この点について率直に聞いてみたことがあります。「当院にはメンタル面で不調を抱える格闘技をしている患者さんが少なくありません。格闘家というのは肉体だけでなく強い精神を持っているのかと思っていたので意外です・・」と言うと、その患者さんは、「その逆ですよ。つまり弱いメンタルを克服したいから格闘技を始める者もいるのです・・」と答えられました。
私はこのとき目が覚めたような気がしました。スポーツ選手はメンタルトラブルを起こしにくいだろうというのは、私の単なる思い込みであり、そのような先入観が治療の妨げになっていたのではないかと考え反省することになりました。
スポーツで鍛えた根性があれば挫折を乗り越えられる、などと言われることもありますが、今回の研究では、むしろ試合でいい成績を出せなかったという蹉跌がうつ病の引き金になっています。
スポーツを若い頃から積極的におこなうことは大変重要なことと私は考えていますが、スポーツを積極的にしている人であればあるほど周囲の人間はメンタルサポートを考えるべきなのかもしれません。
(谷口恭)
注1:この論文のタイトルは「The Prevalence of Failure-Based Depression Among Elite Athletes」で下記のURLで概要(abstract)を読むことができます。尚、論文の第一著者(first author)はHammond Thomas氏ですが、所属についてはabstractからはわかりませんでした。
注2:円谷選手の遺書は何度読んでも胸に響きます。下記は、沢木耕太郎著『敗れざる者たち』(文春文庫)収録の「長距離ランナーの遺書」より抜粋したものです。
父上様母上様 三日とろろ美味しうございました。干し柿 もちも美味しうございました。
敏雄兄姉上様 おすし美味しうございました。
勝美兄姉上様 ブドウ酒りんご美味しうございました。
巌兄姉上様 しそめし南ばんづけ美味しうございました。
喜久造兄姉上様 ブドウ液養命酒美味しうございました。又いつも洗濯ありがとうございました。
幸造兄姉上様 往復車に便乗さして戴き有難とうございました。モンゴいか美味しうございました。
正雄兄姉上様 お気を煩わして大変申し訳ありませんでした。
幸雄君、秀雄君、幹雄君、敏子ちゃん、ひで子ちゃん、良介君、敬久君、みよ子ちゃん、ゆき江ちゃん、光江ちゃん、彰君、芳幸君、恵子ちゃん,幸栄君、裕ちゃん、キーちゃん、正嗣君、立派な人になってください。
父上様母上様 幸吉は、もうすっかり疲れ切ってしまって走れません。
何卒お許し下さい。
気が休まる事なく御苦労、ご心配をお掛け致し申し訳ありません。
幸吉は父母上様の側で暮しとうございました。
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|2013年8月3日 土曜日
2008年1月22日(火) 4つの習慣で14年間長生き?!
4つの習慣をもつことで14年間も長生きできる・・・。
このような研究を英国ケンブリッジ大学の研究班が米国の医学誌に発表し話題を呼んでいます。(報道は1月8日の共同通信)
この研究班は、英国南東部の45歳から79歳の健康な住民約2万人を対象とし、1993年から1997年にかけて健康調査を実施し、2006年までの死亡率と生活習慣との関係を解析しました。
その結果、①タバコは吸わない、②飲酒はほどほど(ワインなら1週間にグラス14杯まで)、③1日に最低こぶし5つ分程度の野菜・果物をとる、④1日30分程度の軽い運動をする、の4つの習慣がある人は、4つともない人より、同年齢で病気による死亡率が4分の1と低く、これは14年分の寿命に相当することが分かりました。
*************
ワインを1週間にグラス14杯というのは、”ほどほど”ではないように思うのですが、お酒が好きな人には朗報に聞こえるかもしれません。
考えてみると、禁煙、飲酒ほどほど、野菜と果物、運動、というのは当たり前の話であって新しい発見ではないように思えますが、”14年間長生き”というのは、食事療法・運動療法のモチベーションになるかもしれません。
(谷口 恭)
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|2013年8月3日 土曜日
2008年2月1日(金) はしかが今年も大流行の兆し
1月25日に国立感染症研究所が発表した報告によりますと、昨年春にアウトブレイクしたはしか(麻疹)が、今年も多数発生していることがわかりました。(報道は1月25日の日経新聞)
同研究所によりますと、神奈川県の10代を中心に昨年を上回る勢いではしかが流行しています。同研究所は、「春以降に全国レベルで発生するおそれがある」として、ワクチンの接種をよびかけています。
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すてらめいとクリニックは、近くに専門学校などが多数あることもあり、昨年の大流行と同時に、ワクチン希望者、抗体検査希望者が多く来院されました。
これまでの結果を簡単にまとめると、10代のほぼ全員、20代の約8割に抗体ができていませんでした。これは、未接種の人だけでなく、幼少時にワクチンを接種した人も含めてです。
そして、驚くべきことに、30代前半の人でもおよそ半数は抗体を持っていません。(30代後半の人で抗体検査を受けた人はあまりいません)
気になる方、特に医療関係者や教育関係者は一度抗体検査を受けてみることをおすすめいたします。
(谷口恭)
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|2013年8月3日 土曜日
2008年2月4日(月) インフルエンザ罹患者が4万人以上に
全国約4,700の医療機関から国立感染症研究所に報告された今年第3週(1月14日から20日)のインフルエンザ患者数が、今季最多の44,567人(1機関当たり平均9.35人)になったことがわかりました。(報道は1月29日の毎日新聞)
今季は、この20年で最も早い昨年第47週(11月19日から25日)に流行が始まりましたが、学校が冬休みとなった年末年始にいったん、患者数が減っていました。
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私が感じている今シーズンのインフルエンザの特徴は、”症状が重くないケースが多い”ということです。
熱がそれほど上がっていないケースや、倦怠感がそれほど強くないケースもままあり、”念のために”検査をして、インフルエンザ陽性というケースが例年に比べて非常に多い印象があります。
インフルエンザは、小児や高齢者、免疫不全の人にはうつしてはならない疾患で、甘くみてはいけません。気になる人は、「ただの風邪」と決め付けないで、近くの医療機関を受診されてはいかがでしょうか。
(谷口恭)
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|2013年8月3日 土曜日
2008年2月4日(月) 低用量ピルは卵巣癌を予防する
低用量ピル(経口避妊薬)には、卵巣癌の予防効果があり、30年以上にわたりリスクが低減される・・・
医学誌「Lancet」の1月25日号で、このような報告がおこなわれ話題を呼んでいます。
研究者は、21ヶ国の女性10万例以上の個人データを解析し、「ピルを10年間使用すると、卵巣癌の発生率が使用者100例あたり1.2から0.8に減少し、卵巣癌による死亡率は使用者100例あたり0.7から0.5に減少する」、との結論を導いています。
さらに、「ピルが利用されてきた過去50年間において、全世界で約20万例の卵巣癌および約10万例の死亡が未然に防がれてきた」、との推論もおこなっています。
「Lancet」は、「このような命にかかわる悪性腫瘍を強力かつ長期的に予防する薬物はほとんどない」、と論説を加えています。
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ピルは、子宮内膜癌と大腸癌(結腸直腸癌)の予防効果があることもこれまでの研究で明らかになっています。しかし、一方では、子宮頚癌と乳癌のリスクが増加するとの報告もあります。
今回の研究は、ピルの安全性だけでなく、癌予防としての有用性も強く訴えるものであり、将来的にピルをOTC(医師の処方せんなしで薬局で買える薬)にしようとする動きに拍車をかけることになるかもしれません。
実際、若い女性の3人に1人がピルを飲んでいると言われているイギリスでは、以前からピルのOTC化が望まれています。
(谷口恭)
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|2013年8月3日 土曜日
2008年2月4日(月) 経口禁煙薬が承認
すてらめいとクリニックでも禁煙外来の患者さんが増えてきていますが、主要な禁煙補助薬はパッチ(貼り薬)で、場合によってはガムを使うこともあります。
米国や欧州では、経口の補助薬(飲み薬)が一昨年あたりから登場し、広く使用されるようになっていましたが、日本でも近いうちに使用できることになりそうです。
1月30日の共同通信によりますと、ファイザー製薬は1月29日、経口補助薬「チャンピックス」の製造販売承認を取得したことを発表しました。
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ニコチンパッチは使いやすくて便利な薬ではあるのですが、「かぶれやすい」という欠点があります。そのため、毎日貼る場所を変えたり、あらかじめステロイド外用薬を塗布してもらったりすることもありますが、患者さんによってはどうしても使えないという人もいます。
実際に、今回承認がとれたこの飲み薬がいつから患者さんに処方できるようになるのかは現時点では分かりませんが、それほど遠いことではないでしょう。
禁煙方法の選択肢が広がることで禁煙を試みる人が増えることを期待したいものです。
(谷口恭)
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|2013年8月3日 土曜日
2008年2月4日(月) ボツリヌス毒注射の副作用で16人が死亡
シワ取りなど美容外科領域で使われることもあるボツリヌス菌毒素の注射による副作用で、米国では少なくとも16人が過去9年間の間に死亡していることがわかりました。
この発表をおこなったのは、米国の消費者団体「Public Citizen」です。(報道は1月29日の読売新聞)
ボツリヌス毒素は神経を一時的に麻痺(まひ)させ筋肉を弛緩させます。筋肉の弛緩によりシワがとれることから近年日本でも美容領域でもよく使われる薬剤です。
この消費者団体は、製薬会社からFDA(米国食品医薬品局)に提出された自発的な副作用を分析しています。麻痺の影響で飲食物が誤って気管に入ったことによる肺炎(「誤嚥性肺炎」と言います)が、1997年11月から2006年12月に米国内で180件あり、そのうち16人は死亡しています。死者のうち4人は少年で、シワ取り治療でも1人が亡くなっています。
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最近はボツリヌス菌が大変有名になり、シワ取り目的で注射を希望する人が増えています。当院の患者さんからも何度か問い合わせを受けたことがあります。
極めて専門性の強い治療になりますから、興味のある方は施術前に危険性をしっかりと認識すべきでしょう。(すてらめいとクリニックではこの注射をおこなっていません)
(谷口恭)
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